フィクション日記『陽介』

雨が嫌いだ。

でも、今日のような快晴はもっと嫌いだ。
ちいさい窓から杭のように差し込んでくる眩しい光。
逃げるようにカーテンを引いた。

引き篭もって何ヶ月経つだろう。
何もできなくなって、布団からも起き上がれず。
蛆のように丸まってただ生きている。
仕事に忙殺されていた頃の自分が羨ましいほどに今俺は何もできなくなっていた。

快晴が嫌いだ。まるで太陽が笑っているような気がするのだ。
「陽介」なんて名前をもらって、太陽から逃げているこの俺を。
本当は悔しくてたまらないのだ。でも、どうすればいいかわからないのだ。

たまには立ち向かってやろうか。
俺だって前までは、陽の元で笑っていたんだ。
無性に腹が立ってカーテンを勢いよく開け放った。

目に突き刺さる光と共に、
視界に蛆のような影がパッと散った。
その瞬間に、これがお前だと突きつけられた気がした。

快晴が嫌いだ。俺のことを笑っているから。
俺はまた、開け放ったカーテンをそっと閉じた。

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