フィクション日記『葉菜』

或る6月の水曜日。
今日はたまたま1限代講。
いつも起きない時間に目を覚ます。
外はしとしと雨が降っていた。

身支度を整えた。
前髪にアイロンをかける。
簡単に化粧をして、外に出る。
朝の気だるさと鼠色の風景に少し気が重くなる。

赤い傘をさしてみた。
少しでも気分が上がるように。
走り去ったトラックに水をかけられた。
赤い傘さえ鼠色。

大学に辿り着いた。
たった3キロが万里に感じた。
「なんでこんな日に1限代講なんだろ。」
教授にしこたま腹が立った。

教室に辿り着いた。
君の姿を見つけた。
鼠色の風景のそこだけに色がついた。
教授にちょっと感謝した。

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