RPGに役立つ・背負い袋にこの一冊!第六回

※一部分が無料です。単体テキストかマガジンを購入すると全文読めます。
※2003~2006年に雑誌『RPGemer』に掲載された記事です。

第六回:「パイド・パイパー 自由への越境」

 ~さあ旅に出よう! プレイヤーたちと~

(本のデーター)
「パイド・パイパー 自由への越境」
ネビル・シュート 著
(原題:PIED PIPER) 池央耿 訳
東京創元社 発行
(※データは掲載当時のものです)


やっぱり、トラベラーって難しいの?

 こんにちは、謎のメカ侍・伊豆平成です。
 私、相変わらず、再燃したトラベラー熱に浮かされてレフリーをやっておりますが、そんな中、ちょっと面白いことがありました。
 プレイヤーに、RPG初心者のとっても若い娘さんがいるのですが、彼女が、RPGをする知人に「近頃私もRPGを始めて『トラベラー』とかいうのをやってるの」と話したら、えらく驚かれたそうです。「やったことないが、あれは初心者には難しいのでは?」という感じに。
 でも実際には、彼女は普通にトラベラーやってます。なんの不思議もなく「RPGってこういうもんか~」と、できてしまうみたいで。
 RPGではどっちかといえば老兵側の私は、「そうか、古いRPGに誘うのは初心者のほうがいいのかも」と思ってしまったのでした。
 なにしろ、老人と子供が旅に出る――というシチュエーションは、それ自体、なかなか感動的な物語になりますので……。
 てなわけで今回は、「マスターとプレイヤーの理想の関係」を考えさせる名作、『パイド・パイパー』です(創元文庫が続いてしまって守備範囲の狭さが露呈してますが、ご勘弁!)。

子供はいいなあ

 私は子供が大好きです。
 昨今、子供好き――なんて言うと、それだけであらぬ誤解を受け、眉をひそめられたりしてしまうような困ったご時世ですが、どうか勘違いしないでください。
 突拍子もない発想とか、何か素晴らしい発見をしたときの笑顔とか、些細なことでもすっごく喜んだり興味をもってくれるところとか……子供って本当に微笑ましいですよね。
 でも、気分屋だし、泣くとうるさいし、すぐ疲れるし、人の物は欲しがるし、とにかくなにかと面倒見てやらなきゃいけないし……小さい子と四六時中一緒なのは、なかなか疲れます。
 両面のどちらを重く見るかで、子供好きか子供嫌いかに分かれるような気がします。
 なぜ急にこんな話をしたかといいますと……「プレイヤーって、要するに子供なのでは?」と言いたかったからなのです。
 本人の人格がではなく、「RPGという遊びの構造上、プレイヤーの行動は確実に子供じみたものになる」という意味です。
 積極的に動かないとシナリオが解けません。だからプレイヤーは色々なものに興味を示し、熱心に探り回ります。
 その結果、マスターさえ思いもかけなかった素晴らしい発見をしたり、些細なことに妙にこだわったり、ときには自分勝手な行動をとってしまったりするわけです。
 では、その子供たち(=プレイヤー)を相手に、マスターはどうすべきなのでしょうか? プレイヤーとマスターの理想の関係とは?
 『パイド・パイパー』を読めば、きっとその答えのひとつが得られるはずです。

『パイド・パイパー』はこんなお話し

続きをみるには

残り 1,639字
この記事のみ ¥ 100

この記事が参加している募集

推薦図書

テキストを読んでくださってありがとうございます。 サポートについてですが……。 有料のテキストをご購読頂けるだけで充分ありがたいのです。 ですので、是非そちらをお試しください。よろしくです。 ……とか言って、もしサポート頂けたら、嬉しすぎて小躍りしちゃいますが。