激しく動揺したので記録しておこうと

 昨日のこと。とある僕が愛好する作品の新刊案内で、誰かが死ぬことを示唆するアオリがついていた。
 もしかして――
 この時僕は、主人公の死を予感してしまった。その時、自分でも信じられないほどの動揺と、作者への憎悪が沸き起こったことに心底驚いた。
 まさか、ここまで己の心が強烈に揺さぶられるとは夢にも思わなかったのだ。それが、ひどく恐ろしかった。この二十年くらいの間で、ここまで魂が締め付けられるような事態は発生しておらず、それがよりによって創作物で引き起こされるなんて、今でも信じられない。

 だが、よくよく考えてみると、商業的にそのキャラクターを殺すことは、とてつもないデメリットを発生させる。もとよりメインの売りにしている以上、それはあり得ないと判断出来た。
 急ぎ暴れる心臓をどうにかなだめることに成功した僕は、本当にどうかしてる自分に呆れてしまった。

 曰く物書きは人間の心を描くことを生業とするものだと誰かが言ったような気がするが、この激情は起こそうと思って起こせるものではないため、こうして急ぎ書き付けている次第である。

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