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千葉丈太郎と高橋滉也の友情


Criacao Shinjuku の選手の中には、大学のサッカー部でも同期だった組み合わせがあります。早稲田の恩田と川井、関学の村下と井筒、そして 東京学芸大学の千葉丈太郎(以下ジョー)、高橋滉也(以下滉也)です。

新天地で、新しい自分をデビューさせるのは、社会権で保証された権利のひとつです(嘘です)が、「同期と同じ進路」というのは、この秘めたる決意を公に晒されるリスクになります。だから当事者は忌避し、傍観者はオモシロコンテンツとして重宝するわけです。

僕が、Criacaoの仲間に入れてもらったすぐあとに、練習参加に来たのがジョーと滉也です。上記の理由からにわかに信じがたいのですが、彼らは示し合わせて一緒に、Criacaoというチームを選んでくれたことになります。


ものの数ヶ月で何が分かるんだという批判は重々々承知で申し上げると、滉也は何事にも器用です。サッカー面でも、サイドを切り裂いて、いわゆる成果を持って帰ってくる選手です。

一方で、ジョーは不器用に見えます。

引用:名古屋グランパスエイト公式サイト

(※)怪我中で写真が少ないので代用


そんなジョーが大切しているエピソードは、大学時代の「サッカー部を本気でやめてやろうと思った」ときの話です。

教育実習を機にAチームのサブチームに追いやられ迎えた合宿中に、事件は起きます。正確な事情は分かりませんが、彼からすれば「当然にスタメンチームが持っていってくれるべき荷物」が、サブチームの試合後に残っていたそうです。何もかもが嫌になって、悲しくなって、一人で大浴場へ駆け込んだらしく、この頃から不器用だったことがうかがい知れます。

そんなとき、キャプテンと滉也だけが彼のあとを追いかけ、そして風呂場で60分も話をしてくれた。滉也曰く「自分たちに非があることは分かっていたので」と、やはりこの男は器用です。ジョーは「自分はサッカーをやめていたかもしれない」と、この出来事における滉也への感謝を、滉也がいる前でも隠そうともしません。18、9 のときに自分のを置き忘れて以来の「友情」を久しぶりに生で見させられました。

平気でこういうことを語れるのが、ジョーの良いところです。彼は真っ直ぐに、フットボールと仲間が好きなのです。

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僕は、このストーリーを聞いてすぐに、先月のリーグ戦前日のセットプレー練習を思い出しました。守備の確認をしていたのですが、最初は翌日サブになる(おそらくなるであろう)メンバーが相手役をしてくれていました。

役割を交代して今度はサブが守備、スタメンにいた僕は攻撃の動きをする必要があったのですが、ボールが飛んできているにも関わらず、僕は守備のやり方について喋っていました。

ボールは虚しく通過して(攻撃する人がいないので)、つまりサブにとって何の練習にもならなかったわけで、直後に亮さんが怒ってくれるまで、僕はその間違いに気づくことすらできなかった。今でも思い出すと恥ずかしくなります。

きっと僕は「スタメンのための練習」で、だから「守備のやり方の議論は優先されるべき」と思っていたのです。心のどこかで「結果を出せればいい」みたいに思っていたのです。

フットボールができることへの感謝も忘れて、フットボールっぽい行為、とりわけこの場合は「セットプレーの戦術を語る」ことに酔っていた、とも言えます。

亮さんに謝ると、亮さんらしくさらりとかわしてくれましたが、各位、あのときは本当にごめんなさい、反省しています。

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僕がした失敗や、ジョーが感じたような悲しさは、フットボールの面白さから、一番遠いところにあると思います(誰かを否定するつもりはありません、こういうことはよくあります)。

Criacaoは、これから大きくなっていくので、その分だけチームも複雑になっていきます。勝利を強く求めていく中で、たくさんの感情が渦巻くわけですが、少なくとも誰かが悲しい想いをするくらいなら、弱っちいチームのままの方がずっとマシです。

そのことを、いつまでも忘れずにいようと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。