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出展側から見た「東京ゲームショウ2023」の感想

例年、東京ゲームショウはメディアとして取材することがほとんどなのだが、今年は初めて出展側として参加することになった。これは想像以上に面白い仕事で、メディア側からは見えてこないことも色々あったので、ちょっと書き留めておこうかと思う。



2023年のTGS総括

まず今年の東京ゲームショウ全体の感想を少し話したい。コロナ禍やE3の開催中止、ソニーを含むプラットフォーマーたちの消極化もあって、昨今のゲームの展示会はどこも不景気感が漂っていたのであまり期待していなかったのだが、幸い今年のTGSはそれなりに盛り上がっていたと思う。


理由は主に2つある。1つは国内サードパーティが(思ったより)豪華なブースを作って盛り上げてくれたこと。具体的にはカプコン、セガ、コナミ、スクウェア・エニックス、コーエーテクモ、バンダイナムコなど、日本を代表する企業がちゃんとデカいブースを借りて、セットもちゃんと作ってくれたので、ひとまず「日本のゲームショウ」という体裁はしっかり守れていたように感じた。

率直に言って、今のTGSに大きく投資するメリットやリターンはあまり期待できない。E3が中止になったのも、プロモーションや流通の変化に対してリアルイベントの必然性が失われているからなのだが、TGSとてその例外ではない。それでもサードパーティがここまで投資したのは、日本の市場や露出をある程度尊重していること、広報担当者にとって未だにTGSが晴れ舞台であること、何より彼らのことごとくがTGSを主催するCESAの理事になっていて、良くも悪くも「お付き合い」を大切にしているから……などと邪推もできるが、何にせよ彼らが身銭を切る限りTGSは安泰だろう。

個人的には期待大のドラゴンズドグマ2。ただし試遊する暇はなかった

もう1つ、大きく目立ったのが中国と韓国の出展である。例年、中韓はTGSへのコミットメントを強めてきたが、今年は特に際立っていたように思う。基本的に、幕張のホールは巨大なウナギの巣みたいな空間を、それぞれホール1~8で正方形に区切っているのだけど、CESAが中央のホール4~6を占領しているのに対し、ホール1~3は中国、ホール7~8は韓国で、中:日:韓みたいにメインホールが東アジアに三分割されているのだった。

もちろんブースもそれなりに豪華で、中でも目を惹いたのが中国側のHoYoVerseブースと韓国側のサムスンブースである。HoYoVerseは未リリースの「ゼンレスゾーンゼロ」に加えてノベリティが大変Otakuでよかったし、逆にサムスンブースはめちゃんこ広い割に展示物はほとんどなく、一体どういう稟議で通したのか疑問になるほどだった。他にも韓国はインディーゲームを詰め込んだブースを用意したり、渦中にあるProject Moonが大手パブリッシャー並の規模で出展したりと、中国だけでなく韓国のゲームビジネスの盛り上がりをひしひしと感じさせた。

ギュッと詰められた韓国ブース。さながら祭りの屋台だ

総じて「何とかCESAの団結で残る日本サードパーティ」と「バブルめいた好景気を感じさせる中韓」が印象づく今年のTGSだったが、一方で不安になる点も少なくない。

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