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奇跡の大逆転勝利という劇薬(2023.10.22 藤枝MYFC vs 大宮アルディージャ)

2013年、J1リーグで中盤戦まで優勝戦線をリードしていた大宮アルディージャ。
その大宮が10年後の今J3降格の危機に瀕し苦しんでいる。

J2リーグが残り7試合になった段階で残留圏内の20位には大きく勝ち点を離され、
一時はJ3降格が確実だと思われるほどチーム状態も悪かった。

しかし、シーズン途中から指揮を任された原崎監督のもと少しずつチーム状態は上向き、残り7試合になったところから3連勝。
依然として21位と降格圏内にいるが残留圏内のチームとの勝ち点を少しずつ縮めて来た。
そんな状態で迎えたこの日のアウェイ藤枝MYFC戦は青空のもと奇跡のJ2残留を信じ多くの大宮サポーターが藤枝に集まった。

試合前から鼓舞する大宮サポーター

試合前からホームさながらの雰囲気を作り波に乗るチームを後押しする。
対する藤枝もJ2残留確定まで勝ち点1と迫っており、
相変わらずの楽しくも緊張感のある雰囲気を試合前から作り上げる。

試合は秋の絶好のスポーツ日和の中キックオフ。
残留に向けてひとつも負けられない大宮は立ち上がりから硬かった。
元々個人の能力は高い選手が揃っているが硬さからかミスが目立ち自分たちで試合を難しくしてしまった。
対する藤枝はこの前延期となっていた試合で群馬に5-1で勝利したことによりその勢いをこの試合にも持ち込むことに成功した。
19分の榎本のボレーシュートは大宮GK志村のファインセーブで難を逃れるも、
そこで得たCKを用意されたトリックプレーで翻弄され久富に最後は決め藤枝が先制。

そのあとも藤枝がチャンスを作るがアンデルソン、横山の決定的な連続シュートはまたしても志村のファインセーブで追加点を許さず。
前半はそのまま1-0で藤枝がリードして終える。


後半は徐々に藤枝に疲れが見え始め一進一退。
両チーム大きなチャンスはなかったもののお互いのゴール前までボールを運ぶシーンが目立つ。
そんな中での58分、藤枝榎本が左サイドからクロスを上げるとFW矢村が難しい体勢からシュートを放つ。
ボールは矢村の狙い通りではなかったと思うがこれがループ気味にゴールに吸い込まれ意外な形で藤枝に追加点。

万事休す。
静まりかえる大宮サポーター。
しかし、この不運で大宮ベンチはある程度この試合に対する考えを割り切れた。
2点取られて負けるも5点取られて負けるも負ければ同じ。
守備の比重を下げて攻撃に比重を上げる采配を採る。
結果的にこの采配がこの試合の展開を大きく変えた。

68分に中央突破から途中出場の中野が反撃の狼煙を上げるゴール。
その後もほぼ一方的に藤枝ゴールを攻め立てる大宮。
84分に決定的場面で藤枝DF小笠原のファールを中野が誘い小笠原はこのプレーでレッドカード。
数的優位になり大宮がさらに攻め立てる。

攻撃が実ったのは89分。
藤枝が小笠原の退場で前線の選手を減らしたことにより大宮左SB袴田が自由を得る。
畳み掛けるような攻撃でこの袴田が右からのクロスを圧倒的な高さで合わせて同点。
引き分けではいけない大宮はさらに攻勢を仕掛け5分のロスタイム提示された状況での90+6分、
ダイナミックな攻撃から藤枝ゴール前に猛襲を仕掛け再び袴田が押し込んで大宮が逆転。

子供の産まれた黒川のためのゆりかごダンス

試合は直後に終了し大宮が3-2で大逆転勝利を収める。

大逆転に沸く大宮サポーター


サッカーの世界で奇跡の優勝や残留が起こった際には必ずと言って良いほど分水嶺になる試合がある。
そういう意味では、気が早いかもしれないが大宮が奇跡の残留を果たし後世に伝えられる時に間違いなく語種になるであろう試合となったと言える。

大宮アルディージャの奇跡の残留。
その奇跡を信じたくなるし実現可能にする劇薬のような試合。
J2リーグ残り3試合、大宮アルディージャの動向から目が離せない。



OJA

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