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白内障日誌👁 2022/12-2023/3

【異変】
これはおかしい、と最初に気づいたのは、このツイートをした時だ。
👇

👆明日は午前十時の映画祭で「恋におちたシェイクスピア」を観ようと思い、以前ロンドンで撮ったシェイクスピア・グローブ座の写真でも貼るかな… と写真を選んでいたときのこと。

ふと左目をこすった瞬間、右目の視界が白っぽく霞んでいることに気づいた。

👆この写真が、
👆右目だけで見ると、こんな風に少し靄がかかったように見えるのだ。

目やにでもついてるのかと目を洗ってみても変わらず、目薬をさしてみても変わらず、こんなの初めてだな… 右目だけ疲れ目なのだろうか?なんて思いながら、その日はそのまま寝た。

翌朝は目のことはすっかり忘れていたのだが、映画を見終わったあとふと右目のことを思い出し、左右の視界を見比べてみたら、やはり右目だけ霞んでいた。

気になってスマホで乱視のセルフチェックをやり、やっぱり右目は乱視があるから霞むのかな?なんて勝手に自己診断したりした。

👆こんなやつ。乱視だとある角度の線だけがボケて見える。

この時点では白内障の可能性など疑いもしなかったが、乱視は昔からあったわけだし、片目だけ霞むなんてこれまで一度もなかったよな、とだんだん気になってきて、とりあえず眼科に行くことに。

家のすぐ目の前にも眼科はあるのだが、営業時間を調べるとGoogleのクチコミがえらく評判がわるいことを知った。Googleのクチコミがすべてだとは思わないが、家から1駅のところにかなり評価の高い眼科があったのでそこに行ってみた。

【眼科での診断】
矯正視力は眼鏡をかけて左右とも1.2はあり、問題はないようだった。
その後、目に傷がないかと色のついた目薬をつけて検査したり、目の中の画像を撮ったり、瞳孔を開いて眩しい光を当てて目の中を見てもらったり、といろんな検査を一通りやった。

「特に悪い病気はないみたいです」と明るく言われ少し安心したが、つづけて「右目はちょっと白内障がありますね。手術も含めて検討されたほうがいいかもしれません。もしご希望でしたら総合病院へ紹介状書きますよ」とのこと。

この眼科でも白内障手術はやっているのに、なんで総合病院を?と思ったが、こういうことらしい。
・典型例な白内障とはちょっと違う。
・年齢的にも若く、過去に目や頭を打ったりといったことが原因で白内障になっている可能性もある。
・その場合、通常の白内障手術より広範囲なリペアが必要になることもある。一度総合病院で相談したほうが良い。

【総合病院での診断】
総合病院に行くにはかかりつけ医の紹介状が必要、ということすら今回始めて知ったほど世間知らずなのだが、ともかくおそるおそる総合病院へ行って再度検査を受けた。

検査の結果・・・

先生:僕だったら絶対手術はしませんね。まだ視力が1.2も出てるでしょう。手術したとしてこの視力が維持できる保証もないし、ごくわずかとはいえ失明するリスクもあります。Godfatherさんいまおいくつですか。
私:4X歳です。
先生:Godfatherさんと同じ年齢で白内障手術をしたケースもないわけではありませんが、その人は0.3以下まで矯正視力が落ちてました。どのくらいだと手術すべき、という基準があるわけではありませんが、普通は1.2も見えてるのに手術はしません。
私:でも右目だけだとPCの文字も霞んで読みづらいです。
先生:それは眼鏡が合ってないんじゃないですか?一日中PCを見るお仕事されてるんでしょう?目薬出しときますので、まずは眼精疲労の可能性を排除してから、それでもまだ霞むのかどうかを見てみましょう。来月末にまた来てください。

うーん、疲れ目で目がかすむとか、眼鏡が合っていないとか、そういう種類の見づらさとは種類が違うのだ。ピントが合わなくて「ぼやける」のではなく、靄がかかったように文字通り「霞む」のだ。この違いを訴えたつもりだったが、手術はしませんと言い切られてしまった。

なんだか釈然としない気持ちで病院を出たorz

👆とりあえずこんなことをつぶやき
👆映画を見て気を紛らわせるしかなかった

ネットでしらべると、白内障手術してほしいのに先生がまだ早いと手術してくれない、と困っている人はかなり多いようだ。
私が思うに、医者はどの程度見づらくなっているかを視力から判断するが、それは実際の見えづらさとは一致しないからだと思う。

👆おそらく先生は、視力が1.2もあるのだからこれの右側程度には見えているのだと思っている。
👆実際には私の右目はこれの右側のように見えていた。たしかに下のほうまで見えてはいるんだけど、そういう問題じゃないんだよな…

【その後の経過】
眼精疲労を取る目薬を差しながら、ひょっとしたらほんとにただの眼精疲労なのかもしれない、なんて期待もしてみたのだが、

👆はじめてのお薬手帳w

右目の霞みは急激に進行していった(^_^;)
初めは左目を閉じたときだけ気づく程度のものだったが、年の瀬には両目で見ててもはっきりと右目に膜がはったような気持ち悪い見え方になっていた。

もう限界だ、と思ったのはこの時だ👇

👆正月の仕事が終わり、地元に帰り夕陽の写真でも撮ろうかと思ったのだが・・・

夕陽に向かった瞬間、光が拡散し、あまりの眩しさに右目を開けていられなかった。
この写真は右目をつぶって撮る羽目になった👇

👆左目だとこんな風に見える景色が、
👆右目だとこんな見え方になっていた。

【手術決定】
正月明け総合病院に電話し、次の診察は月末の予約だったが、目のかすみが急激に進行しているのでもう少し早く診てほしいとおねがいした。

矯正視力もさすがに落ちており、この時点で0.7だった。

先生:あれからどうですか?
私:霞みがどんどんひどくなっていて、今はPCの文字も右目をつぶって左目だけで見てる感じです。とにかく光が拡散するんです。ライトなんかも右目だと後光が射したみたいな見え方になってます。
先生:たしかに右は「かる~い」白内障はありますけどね。
私:それにしては霞むんですよね(-_-;)
先生:そうですか… 念のためもう一度画像撮ってみましょうか。

先生:うーん、一日中霞みますか?夜になると霞むとかじゃなくて。
私:はい。朝起きてから夜寝るまでずっと右目だけが霞んでます。
先生:Godfatherさん老眼は感じてます?白内障手術すると近くは見えなくなりますよ。
私:老眼鏡をかけても見えなくなるんですか?
先生:いや、老眼鏡をかければ見えます。ただ、白内障手術は水晶体の代わりに人工のコンタクトレンズを入れるようなイメージなので、ピント調整はできなくなりますよ。
私:それは承知しています。
先生:Godfaterさんの場合、水晶体の大部分は全然濁ってないのですが、水晶体の前の部分に濁りがあるので霞みを感じやすいのでしょうね。手術のデメリットをわかった上で、それでも霞みが気になるというのでしたら手術してもいいですよ。

というわけで、ようやく手術が決まった。
血液検査とかいろいろやって、コロナの検査キットをもらい、手術前週の術前説明のときにもってくるように言われた。普通の簡易検査キットとちがい、何重にもパッキンのあるやたらしっかりした検査キットだ。

【術前説明】
先生:今もまだ見えづらさはあるんですよね?
私:はい。もう一日中右目に膜が張ったような見え方です。半透明のフィルターを通したような感じになってます。

実は眼精疲労でないのか?という疑いが先生のなかにはまだあるようだった。
そこまでくると、目のかすみの原因は白内障以外にあるんじゃないかって気がしてきて、手術後にもまだ霞んでたらどうしようという不安も湧き上がってきたが今更心配しても仕方ない。

術後の生活制限は病院によってさまざまだが、ネットで調べると術後1週間は入浴禁止というところが多いようだ。
私の病院はそこまで厳しくはなく、首から下のシャワーなら当日からOK、洗顔は術後3日空けた4日後からOKとのことだった。
それでも夏場だったら辛かったろう。やはり白内障手術は冬場がいい。

👆手術2日前からさすように、と抗菌剤の目薬をもらった。

白内障手術で失敗することは稀であるが、1/1000ほどは失明するケースもあるようだ。手術後に細菌が入って眼内炎になるのが主な原因らしい。
なので、抗菌対策は万全にせねばならない。手術数日前から抗菌剤を点眼するのも、目の中を徹底的に無菌化しておくためだろう。

【手術日】
いよいよ期待と不安の当日である。
4種の目薬を30分おきに差しながら午前中を過ごす。
その後、抗生物質の点滴を打ったりもした。
手術するのはどちらの目ですか?と確認され、右目だと答えると、右手にマジックで大きく○を付けられた。なるほど、間違い防止のためにここまで徹底して確認するのかと感心した。

👆「気持ちを落ち着かせる薬」を術前に1錠くれるw

術衣に着替えると、車椅子に載せられ手術室のある階まで移動した。
感染防止のためか、途中で別の車椅子に乗り換え、そこから手術室へと入っていった。

手術台に横になると、指に脈を測るような機器をつけられ、機械からピッ・ピッという音が聞こえてきてくる。いよいよか、という感じだが、さっき飲んだ薬のおかげかあまり緊張はしなかった。

「手術は目にメスが近づいてくるのが見えるから怖いよ!」と経験者にさんざん脅されたのだが、それは嘘だとわかって安心した。
メスは黒目と白目の間から入ってくるし、目の前にあるわけでなく目の中に入ってくるので、そもそも最初から最後までメスなんて見えないのである。

👆術中はこんな感じのライトをずっと見ている。実際にはかなり眩しい!

目に麻酔をするので痛くはないのだが、何かが目をガチャガチャといじってる感覚はある。ただ、まばたきできないようにまぶたを固定される上、超眩しいライトを至近距離で見つめ続けないといけないのが何気に辛い。
先生と助手の「もう少し右の方を… あ、ごめん、左だった」なんて会話を耳元で聞きながら、今は何をしているのだろう、と想像していた。
時折なにかを吸引するような音が聞こえるのは、砕いた水晶体を吸い出しているのだろうか(´-`).。oO
徐々に視界がぼやけていく。

👆最初はくっきり3つ見えていたライトがだんだんぼやけて眩しい光以外何も見えなくなる。

突然グルンと視界がまわったような感じのあと、ぼやけていた3つのライトが再びくっきりと見える。

👆たぶんこの瞬間に眼内レンズが挿入されたのだろう。

手術はたしかに痛くはなかったのだが、最後にお土産のように目にブスリと刺された注射はけっこう痛かったw 多分抗生物質だろう。
まぶたに軟膏みたいなのを塗ったあと眼帯をつけ、手術は終了。
30分程度と聞かされていたが、40分くらいはかかったと思う。
病院によっては10分程度で終わるところもあるらしいが、なにがそんなに違うのだろう。

手術後は椅子に移動ししばらく安静にしてくださいと言われたが、さっきの薬のせいか眠気に襲われそのまま1時間ほど眠り込んでしまった。

帰りに家の近くの定食屋に寄ったが、目にゴツい眼帯をつけてるのを見てお店の人がぎょっとしていたw

【手術翌日】
昔TVで見た「独眼竜政宗」でこんなシーンがあった。
目を怪我した正宗が、刀に自分の顔を映しながらやっと治ったとワクワクして眼帯を取ると・・・なんと失明していることを知りショックを受けるようなシーンだ。

前述した通り、私は「かる~い」白内障と言われたにもかかわらず視界はかなり霞んでいたので、もし他に霞みの原因があったら嫌だなと思っていた。
眼帯を外しても相変わらず白く霞んだ見え方だったらどうしようと思った。
例の「独眼竜政宗」の悲しいシーンを思い出しながら眼帯を外す。

・・・何ヶ月ぶりかに見るまったく曇りのない視界が広がっていた。
矯正視力は1.5まで回復したが、なにより感動したのは黒がちゃんと黒に見えるようになっていたことだ。ボケボケの8ミリフィルムからIMAXシアターに移動したような感激だ。

👆術後の目薬は3種類もある。それぞれ5分ほど間隔を開けないといけないので、1回の点眼には10分以上かかる。

術後1週間くらいは保護メガネをつけるように言われる病院が多いらしいが、先生にきいたらそんなのは必要ないですとキッパリ言われた。
とはいえ、なにかがうっかり目に当たったりするのも怖いので、ダイソーでこんなメガネを買って4~5日はつけていた。

👆普通のメガネの上から右のメガネをかけて会社に行ったら、お… おしゃれなメガネですねw と笑われた。

【術後検診】
翌週の検診で総合病院の眼科は終了、以後の術後検診はその先生がやっている別の眼科で受けることになった。

先生:あれからどうです?手術してよかったと思いますか?
私:それはもちろんです。綺麗に見えるようになりましたから。
先生:それはよかった!私Godfatherさんは正直かなり迷ったんですよ。

白内障の症状の出方は個人差が大きく、かなり水晶体が濁ってるのにまったく自覚症状のない人もいれば、ほとんど水晶体が濁ってないのに霞みを訴える人もいるそうで、先生曰く、過去最高レベルに水晶体が綺麗なのにも関わらず強い症状を訴えた患者が私なのだという。
同じ眼科の部長から、これ手術してほんとに治るのか?って聞かれたらしいw

つまり、白内障は水晶体のどの部分が濁るかによって症状の出方がまるで違ってくるということだ。医者の想定を超えるパターンもあるのだろう。

【術後の見え方1 - ハロー・グレアについて】
白内障手術で多焦点レンズを選択すると、近くも遠くも眼鏡なしで見えるかわりに、ハローやグレアといった副作用もあるらしい。

👆眼科のWEBサイトなんかでよく見る絵。

私は単焦点レンズにしたのでこのような現象は起こらない… と思っていたのだが、術後しばらくの間は、ハローがはっきりと見えていた。街灯の灯りが、どれも輪っかがついたような見え方をするのだ。
なぜ単焦点レンズなのにハローが見えるのかは謎だが、もっと謎なのは数週間ほど経つといつの間にかハローが見えなくなったことだ。
眼内レンズがなじんだせいだろうか。

【術後の見え方2 - 青視症について】
白内障手術をすると、それまで黄色く濁っていた水晶体がいきなり透明のレンズに置き換わるので、視界が青く見えるらしい。祖父も昔白内障手術をしたとき、世界がすごく青く見えると言っていた。
今はその症状を抑えるため、黄色く着色した眼内レンズを入れるのが主流らしい。

それでも青く見える現象はあり、手術してしばらくは左右の目の色の見え方がこれくらい違っていた。明らかに手術した右目の視界の方が青みがかっていた👇

👆術後しばらくは、右目の方がこれくらい青みがかって見えていた。

面白いのは、これも数週間経つと左右の目の色合いの違いが徐々になくなり、いつの間にかほぼ同じ色合いで見えるようになったことだ。
目の構造自体は変わってないので、これは脳が色の信号を補正するようになったということだね。

【術後の見え方3 - ダークモード/ライトモード】
PCやスマホにはダークモードとかいって、背景を黒にするモードがある。
手術前は、背景の白い光が拡散してまぶしく、ダークモードの方が圧倒的に見やすいなと思っていた。あやゆるアプリをダークモードにしていた。
ところが手術後は面白いことに、ライトモードの方が見やすいと感じるようになった。
私が思うに、ダークモードって厨二病なデザインなのではなく、白内障の進んだ高齢者にも見やすいバリアフリーなデザインなのではないか。

👆手術後は通常のライトモード(左)の方が見やすく感じるようになった。

【左目は】
結局のところ、右目が若くして白内障になった原因は謎である。
先生は、左目はいつになるかわからない。たぶん30年後くらいでしょうけど、30年後の白内障手術がどんなものなのかは想像もつきませんねと言ってた。
ただその頃には人間の水晶体並に高性能なレンズが開発されてると思う。

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