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ジャマイカで降りてはいけない

ニューヨーク・マンハッタンの弁護士 P.K. の事務所で遊んでいる時にロングアイランドに有る P.K. の家に1人で行くことになった。路線はよく覚えていないが、この図にあるように ペンステーションから乗ったので  LIRR だと思う。その際 P.K. に、くどく言われたのが「絶対にジャマイカで降りてはいけないよ」理由を聞くと「腎臓が無くなるから。麻酔を嗅がされるか殴り倒される。運が良くて目が覚めることができた時は腎臓が1個残ってるけど、運が悪く目が覚めない時は2個とも取られてる」と笑えない冗談を言った。けど冗談ではないらしい。 LIRR に乗り込んで「絶対にジャマイカでは降りないぞ」と緊張しながら座っていると目の前に座っている目付きのすごく悪い男が私の顔を睨みつけている。視線を合わせるのが嫌なので目をつぶったところ、旅の疲れからか熟睡したみたいで、目が覚めたら外が薄暗い。roslyn で降りる予定が大分遠くへ来たみたいだ。3時間は経過している模様。 お腹が空いていて「寿司が食べたいな」などと考えた。roslyn にある寿司屋『鶴の舞』は日本人が握る本物の寿司で本当に美味しかった。いや今はそれどころじゃない。慌てて列車から飛び降りた。降りたのは私一人。駅名は覚えていない。ホームは薄暗くて見通しが悪い。

薄暗い中、ホームの先頭側と後尾側から中央に降りた私を挟むように、ユラリと身長2mほどありそうな黒人達が寄ってくる。薄暗いのに目だけがいやにギラリとしている。挟み込まれたら絶体絶命、逃げ道を探すが、初めての場所で勝手がわからない。あわてながらも周りを見渡すと5m くらい先に四角い切り欠きが見えた。あかりも漏れている。そこへ猛ダッシュ。階下へ降りる階段だった。階下は乗客用待合室であり鉄道事務所だった。明るく人も数人いた。 P.K. に電話をしたところ、「間違いなく私か」と何度も何度も確認された。てっきり死んだと思って、日本へ死亡の連絡準備をしていたところだった。

そこを「絶対に動かないよう」に指示されて、 P.K. の到着を待った。2時間後に一緒に車で駆けつけてくれたお母さんの目が真っ赤だった。『鶴の舞』で寿司を食べながらしっかり肴にされた。「金曜日の夜は寿司dayで健康な体を。」と言う風習が流行り始めたのは、この頃だ。ただ最近は日本人でない寿司職人が増えている。

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