柳淳也(やなぎじゅんや)J.YANAGI

「ふつーじゃない」ゲイ(164/54/29)。にじいろらいと。多様な性の教員研修/子ども向け授業をしています。大阪市立大学経営学研究科D2。関心分野:Queer, Gender, Sexuality, Politics。製菓専門卒。元ソムリエ。元セックスワーカー。

動揺するのは楽しい? カミングアウトとエロティックな「動揺」

カミングアウトは、された側をもかき乱す。
私が母へカミングアウトしたとき、彼女は、過去の記憶の、余っていたジグゾーパズルのピースの場所を見つけたかのように、ある遠い親戚の叔父のことを語っていた。
その人は、母の田舎の外れの方でひっそりと生活していたらしい。
一人暮らしをしていたその叔父は、田舎の外れの土地で、一人で暮らし、人付き合いも少なく、しかし稀に男性と会っていたらしかった。
母も実際には、そ

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「柳さんの想いを教えてください」ー当事者、私、語る私ー

「今度の講演では、柳さんの率直な想いを教えていただきたいのですよね」
というような電話での打ち合わせを終えて、私は大きなため息をついた。膝の上に座っていた猫は驚いて、どこかへ行ってしまった。

私の想いからすべてをはじめなければならない、という最近の脅迫めいた想いはある。
それとほぼ同時に、ゲイ当事者として飛騨市役所での講演を行った繁内氏のニュースをみて、想いを語ることの危険性をやはり感じている。

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青森産のにんにくが買える人と買えない私

僕がよく会うセフレは、タワーマンションにすんでいる。
僕の1年の稼ぎ(相当低い)が、1ヶ月の家賃で飛んでしまうその人の家はとても快適だ。
マッサージチェアがある。広いバスタブもある。大きなテレビもある。コンシェルジュがいて、いつも「おはようございます、いってらっしゃいませ」と声をかけてくれる。
部屋に入るまでに3回も鍵を使わなければならなくて、少し不便だけれども、そのことを僕が愚痴っぽくもらすと、

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アルバイトが決まりませんー私たちがマラソンで同じコースを走らせろと議論しているときに、コースの整備をしている人々ー

「アルバイトが決まらないんです、うちの生徒」
この前の打ち合わせで、僕は絶句してしまった。
「だから、面接の練習をしたり、電話のかけかたを指導したり…」とその担当の先生は教えてくれた。
「自己肯定感とかはどうですか?」
私は念の為、聞いておく。
「定時制高校で、学び直しなんです。自己肯定感は低いですよね、やっぱり」
彼女はそう続ける。

アルバイトが決まらない、ということを、私はどう捉えたらよいか

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私が『取り乱す』えんどう豆の中の虫

さやえんどうを貰った。
ご近所さんの庭で栽培されているそれは、とても艷やかな色をしていた。
僕は、友達の家で料理をする機会が直後にあり、そのさやえんどうを、きっちり200g持参した。
二合の豆ごはんを作るのに、僕は毎日磨かれている機能的なキッチンの前にたって、自家製のさやえんどうから、豆を取り出そうと剥いた。
私はイメージしていた。
そこには、グリーンピースのような豆が整然と並んでいる姿を。
しか

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