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初歩き・奥越高原牧場

 待望の雪が降った。スキージャム勝山や福井和泉スキー場はもう滑走可能ということだが、六呂師はまだオープン前で全く情報がない。しかし、アルペンはだめでもクロスカントリーは大丈夫だろう。そう思うと、忘年会の最中も気が気でなかった。アウトドア仲間で越前海岸の民宿に1泊してカニを食べるという毎年恒例の行事だが、今年は落ち着かない。朝の食事も早々に、これも恒例になっているバードウォッチングの誘いも断って帰宅。ちょっとした用事を済ませてから六呂師に向かう。妻も誘ってみたが、染織の作品展が近付いていてとても行けないというので、1人で車を走らせた。
 いつものように円山公園の駐車場に停め、スキーを履いて公園を横断。公園内も雪は十分だ。高台から奥越高原牧場を望むと、スノーモービルの轍が見える。クロスカントリー競技の練習コースなのか単にスノーモービルが走っただけなのかわからないが、とにもかくにも都合は良い。新雪に自分のシュプールを付けるのは気持ちが良いが、やはり疲れる。固められたコースの方が歩きやすい。斜面を下って牧場の方へ向かうが、勘が戻っていない。バランスを崩して転倒。雪が柔らかいので、立ち上がるのにも苦労する。歩き出してものの5分も経っていないのに、もう雪まみれ。でも、気温が高いので苦痛ではない。適当に払うだけでまた歩き出す。
 ミニ動物園(今の季節は動物はいない)の脇を通って、外周のサイクリングロードに出る。この辺りは段差があるのでスノーモービルはこれに沿ってしばらく走っているが、スキーなら大した障害ではない。そのまま牧場に入る。公園内と違い広々として見晴らしが良い。妻や他の人と一緒なら話しながらゆっくり歩くのだが、1人の時はついつい早足になってしまい、気が付くと汗が首筋に垂れている。シーズンに向けての下見と足慣らしのつもりで来たので、飲み物も何も持っていない。のどが乾いたらいつでも引き返そうと思っていたのだが、ついつい歩を進めてしまう。緩い下りから登りに移り、ますます汗が出てくる。
 やや急な斜面を登りきると、眼前にクロスカントリー競技の練習コースが広がり、その向こうに六呂師高原スキー場が見える。リフトは動いていないが、数人が滑っている。子供のようだ。クロスカントリーの方は、中学生の選手だろうか、先生に指導されて練習をしている。スノーモービルの轍は途中で分かれて、1本は練習場の方へ、もう1本は牧場の外周の雑木林に沿って真っすぐ箕輪林道の方へ向かっている。私もそちらの方を辿る。
 ゲレンデでは、リフトが動いていないので、子供たちは歩いて登っている。アルペンの板で斜面を登るのは大変な労働だ。私の子供の頃は締め具がカンダハだったし、靴も革製で柔らかかったので、もう少しマシだった。それに、リフトも少なかった。だから、結構歩いて登ったものだが、今の用具では頼まれたっていやだ。その点、歩くスキーは違う。ちょっとした傾斜でもスイスイと楽に登ってしまう。登りが辛いくらいの斜面だったら、下りの方が心配だ。
 しばらく歩くと、小川に出る。堰堤の下に橋があって、それを渡るとすぐに“林道みのわ線起点”の標識が見え、スノーモービルの轍が続いている。だらだらの登りだ。それを登って行くと視界が開け、左側には伐採された太い木が積まれている向こうに荒島岳が見える。右は段々畑だろうか。後ろを振り返るとスキー場。ここはゲレンデのほぼ中段ぐらいの高さだろうか。誰も滑っていない急斜面の三角山ピステが光っている。
 足慣らしのつもりが、ちょっとしたツアーになってしまったが、今日はこれくらいでと、汗を拭いて帰途についた。

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