ライス誕生日記念

ライスシャワー誕生日おめでとうと言いにくいものである。
俺はお兄さまだ。ライスシャワーは唯一無二の相棒でライスがいたからウマ娘に真面目に向き合ってると思っている。
しかしライスシャワーにお誕生日おめでとうと素直に言えなかった。だってライスの本体というか前世というか実馬は死んでいるのだから。
死んだものを慮るのは命日である。そんな気持ちが拭えないのだ。
ライスシャワーというキャラの誕生日が3/5だからそれでいいではないか。それを祝えばと思う気持ちもある。
しかし、ライスシャワーが俺の心にこんなに刺さって抜けないのは彼が走りながら死んだからなのだ。

ライスシャワーは強い馬だった。ミホノブルボンとマックイーンを破りその強さは疑いようがなかった。
でもそれはステイヤーとしての強さだった。そして時代は長距離よりも中距離、マイルの強さ、つまりスピードのある馬の血が求められていたのだ。
彼がその血を残すには中距離以下での実績が求められていた。そして彼はいつものようにその試練に立ち向かい、その命をレースに捧げた。

彼が立ち向かうところには必ず試練があった。すべての生命は、すべての存在は、生まれる時と場所を選べない。彼の試練は常に運命と隣り合わせだった。ミホノブルボンの三冠阻止、マックイーンの春天三連覇の阻止、それは彼が彼の生まれ持った力、ステイヤーの強さを存分に発揮する以上、避けられない運命だった。そしてその結果ファンからどんなことを言われようともそれも試練なのだ。
彼には試練があった。その試練と戦った。その運命と戦った。
しかし、彼が種牡馬として引退して幸せなゴールを与えられることなく、戦って、戦って、戦いながら死んだ彼の姿が俺の心に刺さってついに抜けないのだ。
だからまだまだ戦い続けよう。ライスシャワーの戦いは終わらない。終わらせてなどやるものか。死んでも戦い続け。俺の心に刺さったその姿が俺の心から消えるその日まで。
なるほどライスシャワーはまだ死んでなどいないのだ。だから言ってもいいのだ。
ライス誕生日おめでとう。

相棒よ誕生日おめでとう

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