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全訳トム・ケニオン「The Upper Rooms(上層室)」

記事の概要

 ハトホルのチャネラーであり、サウンドヒーラー、エリクソン催眠療法家のトム・ケニオンの記事の全訳をお届けします。

 この記事では、脳の構造、私たちが物事を見ている時に脳に何が起きているか、そして、脳内の第三脳室・松果体・脳下垂体の量子的潜在能力を活性化する脳トレについて、述べられています。


トム・ケニオン

「The Upper Rooms(上層室)」

原文:

瞑想使用音源:”Spatial Cognizance Sound Meditation (Basic)” (05:55)
翻訳者:jacob_truth 翻訳完了日:2021/09/20(月)

 その重さは約3ポンド(約1360グラム)で、約1,000億個という驚異的な数の神経細胞が詰め込まれています。この小さな情報処理装置は、複雑で、びっくりするようなネットワークで結ばれています。神経細胞間のつながりは、既知の宇宙の星の数を超えると推定されています。もちろん、私が言っているのは、人間の脳のことです。

 脳は、その複雑さゆえに、私たちが自分自身や世界について経験する感覚・精神・感情を製造しています。「製造(manufactured)」という言葉に、注目して下さい。ほとんどの人は、自分が世界を直接体験していると思っています。しかし、実際はそうではありません。私たちの脳は、知覚・思考・感情・記憶の全てを、一種の神経混合物として合成します。私たちはそれを世界として解釈します。私たちは、世界を自分とは別のものとして経験しています。しかし、実は、世界の経験は、脳が創造したものなのです。

 あなたの世界の経験は、あなただけのものです。あなたと全く同じように「世界」を体験している人はいません。これは、あなたの脳が胎児期と子供の頃の形成期に、どのように発達したかによるところが大きいのです。

 胎児の頃、幹細胞は脳の様々な場所に移動しました。そして、どこに移動したかによって、どのような種類の神経細胞になるかが決まります。不動産業界の古い格言――「場所、場所、場所」――は、神経学的な境界線に関しても当てはまります。

 例えば、皆さんも御存知のように、目が見えるのは脳の奥(後頭葉)にある神経細胞のおかげです。目からのスーパーニューロンハイウェイは、ここで終わっています。目からの神経的な印象は、後頭葉に逆さまに入ってきます。そして、この脳の特殊な領域で、イメージが真逆に反転します。脳にこの部分がないと、たとえ目が完全に見えていても、見ることができません。

 この言葉を読んでいる時、自分では意識していませんが、目から後頭葉にかけての神経ネットワークが非常に活発に動いています。

 同時に、ウェルニッケ領野と呼ばれる脳の別領域(左のこめかみ付近にある)が、これらの単語の意味を理解し、その意味を抽出しています。

 神経科学は、脳の特定の領域や、自分自身と世界の両方の経験をつかさどる神経領域とネットワークのマッピングを急速に進めています。

 ここでは、神経科学がますます詳細に研究している人間の脳の領域の一つを、簡単に見てみましょう。興味深いことに、何千年も前の賢者たちは、この脳の領域について知っていました。ただ、彼らはそれを別の名前で呼んでおり、そこには広大な意識の拡大状態の秘密があると信じていました。

 脳のこの部分は、生理学者によって「第三脳室(Third Ventricle)」と呼ばれています。脳室とは、脳の中にある開口部のことで、神経学的なスイスチーズのようなものです。そして、この脳室の開口部には、脊椎を循環する重要な種類の液体が入っています。これは「脳脊髄液(cerebral spinal fluid)」と呼ばれるもので、脳の機能やパフォーマンスに大きな影響を与えています。古代インドのヨギやヨギーニも第三脳室の存在を知っていましたが、彼らはそれを「ブラフマーの洞窟(The Cave of Brahma)」と呼んでいました。

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:上図の第三脳室(Third Ventricle)は、脳のほぼ中央に位置する領域です。脳室の左下には脳下垂体(the Pituitary gland)が、右上には松果体(the Pineal gland)が位置しています。

 「ブラフマー(Brahma)」はヒンドゥー教の創造神です。古代ヨーガのテキストによると、ブラフマーはOMという音――万物をつかさどる根源的な原初の振動――を発して宇宙を創造したとされています。神話は異なりますが、ヒンドゥー教の天地創造は、ユダヤ教やキリスト教の天地創造と共鳴する部分があります(「...そして神は、「光あれ」と言われた」[旧約聖書創世記1:3])。

 ヨギの哲学によると、世界の経験やマーヤー(二元性の幻想)を作り出すのは、ここ「ブラフマーの洞窟」(第三脳室)です。

 ヨギの立場からすると、あなたの洞窟の中のシャクティ(微細エネルギー)のダンスは、あなたの自己認識と世界認識に影響を与えます。そして、ヨーガのテクニックの多くは、このシャクティの流れに影響を与えます。それによって、あなたの内なる知覚領域と、潜在的には外なる知覚領域を変化させるのです。

 「ブラフマーの洞窟」を「秘教の間(The Esoteric Chamber)」と呼ぶ伝統もありますが、見方は似ています。第三脳室には、自分自身や言葉についての認識を生み出し、また再構築することができる微細エネルギーのダンスがあります。

 第三脳室には、松果体と脳下垂体という、2つのとても重要な生理機構があります。脳下垂体は、私たちの健康に欠かせない重要な神経構造である、内分泌系全体を制御しています。

 松果体は、いくつかの理由から、少しわかりにくい存在です。生理的には、松果体はメラトニンを生成する役割を担っています。このメラトニンは、安らかな眠りと私たちの概日リズムに欠かせない重要な化学物質です。しかし、松果体には他の目的もあると考える研究者もいます。

 松果体は、体の中で唯一、結晶構造を持つ腺であり、特に炭酸カルシウムの結晶に包まれています。17世紀に活躍した物理学者アイザック・ニュートン卿は、松果体が魂の座であると熱烈に信じていましたが、現代の脳科学では否定されています。

 最近では、ブルース・リプトンという優れた細胞生物学者が、カーボナイトの結晶は、高周波のエネルギーを拾うアンテナのような役割を果たしており、その非日常的な情報を脳に伝達していると提唱しています。

 松果体とその異常なまでの高周波エネルギー吸収能力についての彼の見解は、古代インドの賢者たちの見解と同じです。

 脳が高次のエネルギーの受容体であるという考えは、インドだけでなく、東南アジア、チベット(タントラや体内エネルギーの探求)、中国(特に道教)、さらには世界各地の先住民族のシャーマニズムなど、多くの種々のヨーガに共通しています。

 この数十年間、私はこれらの多様な伝統の見方や方法を研究し、比較してきました。それらの間には明確な違いがある一方で、決定的な共通点もあります。

 その共通点の一つは、私たちは微細エネルギーの宇宙の中で生きており、そのエネルギーを利用して自分自身の意識を拡大し、健康と幸福感を高めることができると考えていることです。

上層室

 「上層室(The Upper Rooms)」とは、「第三脳室」(ブラフマーの洞窟)に由来するものを含む高次脳機能を表す比喩です。そして、この言葉は比喩的な装置として、非常に正確です。人間の脳/心のシステムには、実際に多くの「部屋」があり、それは固有の能力を意味しています。

 脳の多くの不思議な能力の一つに、自分以外のエネルギーや情報とつながっているように見えるというものがあります。私の経験では、このような微細エネルギーや超越的な情報は、時間や場所・状況の制限に縛られることなく、私たちの通常の時間・空間の両方の知覚を超えた広大な情報領域につながっています。

 2019年、私はこの情報を共有するためのワークショップを発表しました。なぜなら、この新しいミレニアムに深く入っていくためには、私たちの高い潜在能力へのアクセスが重要になると感じたからです。そのワークショップを「上層室(The Upper Rooms)」と名付けました。

 このワークショップの録音セットの詳細については、こちらを御覧下さい。

 ここでは、この集中イベントで行われたエクササイズの基本的な形を御紹介します。このエクササイズは、あなた御自身の「秘教の間(Esoteric Chamber)」や松果体・脳下垂体の量子的潜在能力を活性化するものです。

黄金正八面体

正八面体

 正八面体は、プラトン立体と呼ばれる五つの立体のうちの一つです。ピタゴラス派やプラトン派の哲学では、これらの五つの幾何学的形状には神秘的属性が込められていました。生徒たちは、これらの幾何学的形状の意味を観想し、意識の異次元への道を開くために使用することを奨励されました。

 この活性化エクササイズでは、あなたの「秘教の間」(第三脳室)の中に、輝く黄金正八面体を想像します。意図の力で、正八面体を、自分にとって自然と感じられる任意の方向に回転させます。好みがない場合は、正八面体を時計回りに回転させます(上から見下ろす視点で)。そうすると、正八面体が、「秘密の間」全体と松果体と脳下垂体に、強烈な金色の光を放射します。

 これらの場所に加えて、金色の光を脳全体に照射することで、脳の神経ネットワーク全体に張り巡らされたマイクロフィラメント(microfilaments)や微小管(microtubules)の複雑なネットワークを活性化します。聞き慣れない言葉かもしれませんが、脳内の微細チャンネル――マイクロフィラメントや微小管と呼ばれる――は、神経細胞レベルよりもはるかに高速で拡張された機能、すなわち「量子レベル(quantum level)」と呼ばれる脳機能領域に関与しているのではないかと提唱する研究者が増えてきています。私の考えでは、この人間の脳の量子的な可能性が、私たちの靈的・超越的体験の多くに影響を与えています。

:脳内のアルファ/シータ波活動を高める心理音響学的な録音を聴くことで、「黄金正八面体」の体験を大きく深めることができます。この一般的な目的(意識変容)のために私が製作した心理音響学的な録音を、ウェブサイトの「Listening」セクションにアクセスし、タイトルをスクロールして「Spatial Cognizance: A Hathor Sound Meditation」が表示されるまで進めれば、聴くこともダウンロードすることもできます。このサウンド・メディテーションは、効果を最大限に発揮するために、ヘッドフォンやイヤフォンで聴くことをお勧めします。

 チベタンボウルを叩くたびに、ボウルからの音の衝動が正八面体を優しく叩き、第三脳室の中心で回転していると想像して下さい。

 また、このワークショップの配布資料「The Upper Rooms - Class Handouts」は、ウェブサイトで、無料で見ることができます。これらの資料には、マイクロフィラメントや微小管に関する一般の方向けの記事や、科学的な抄録や資料へのリンクが含まれています。(訳注:この資料は後日掲載する予定です)

 深い直感力で「ブラフマーの洞窟」を発見した昔の賢者たちは、実は自分の脳の量子レベルに引っかかっていたのではないかと思うのです。

 また、自分自身の脳の量子的な可能性と相互作用し、それを使いこなすことは、靈的進化のための必須条件であり、また、急速に相互接続性と複雑性を増している世界で生き残るための鍵となるかもしれないとも、私は考えています。確かに、脳の量子的な可能性の強みを活用することで、私たちは世界を新たな見方で見たり、世界の問題に対する新たな解決策を生み出したりすることができるのかもしれません。

「問題を作った時と同じ考え方では、問題は解決できません。」――アルバート・アインシュタイン

※なお、音楽は、運転中や複雑な機械を扱う作業中には聴かないでください。操作を誤る可能性があります。瞑想や静かなワーク、あるいは、リラックスのためにお聞きください。

※瞑想音源は、個人使用に限り、無料で使用できます(トムの公式サイトの「リスニングセクション」注意書きより)。

コメント

 もしかすると、「第三脳室の中で輝く黄金正八面体を任意の方向に回転させるエクササイズ」の説明を読んで、トムの著書『新・ハトホルの書』「第Ⅱ部 意識の幾何学 22章〈黄金正八面体〉のワーク」を思い出された方がおられるかもしれません(p,196-206)。

 黄金正八面体を脳内で回転させるところは似ていますが、今回の記事の方が格段に簡単です。

 とはいえ、この種の脳トレを全くやったことのない人にとっては、「第三脳室の中に、輝く黄金正八面体を想像し、任意の方向に回転させる」だけでも、最初はむずかしく感じられるかもしれません。

 脳にとっては、大変な離れ技であるので、『新・ハトホルの書』からいくつか、トムの助言を引用・紹介したいと思います。

速度:ゆっくりやる、急がない

 まず、正八面体はゆっくりと回転させてください。急ぐ必要はありません。

"ゆっくりとパターンをたどれば、それだけ効果も上がり、脳や精神活動にポジティブな変化が起こりやすくなります。脳内に新たな神経回路網を築こうとしているのですから、ペースはゆっくしている必要があるのです。"(p,169)

リラックスしてやる

 根詰めてやるものではなく、リラックスしてとり組んでください。

 最初は効果が感じられないでしょうが、焦らず、くつろいで取り組んでください。

 もしやっている最中に頭痛や不快な感じがしたら中断し、翌日以降に再開してください。

姿勢

 ワークをやる時は、椅子にゆったり座ってやってください。

 横になってやっていると、集中が途切れるか、意識が内側に行っているので、そのまま眠ってしまう可能性があります。

タイミング

 このワークは、御自身が取り組める状況にあれば、いつやってもかまいません。

 但し、満腹の時と就寝前は避けた方がベターです。

 食べた直後は、意識を内側に向けると眠りやすくなり、エクササイズへの集中が途切れがちになります。

 また、このエクササイズをすると、脳が刺激され、落ち着くまでに時間がかかるので、就寝前は避けた方が良いのです。

 さらに、車の運転中や機械の操作中も、事故の元になるので、やめましょう。

余韻

 エクササイズを終えた直後の時間はとても大切です。

 これまで集中させていた注意力を手放してリラックスする時間を取りましょう。

 このくつろぎの時間には大きな意味があります。

 というのも、この時間のなかで頭脳は体験を統合するからです。

補足

 トム自身は言及していないのですが、この記事と関連のあるトムの記事がこちらだと思われます。

 こちらでは、脳機能や脳・意識と音楽の関係について触れられています。

私の体験

 2021/09/20に翻訳を完了して以降、毎日、「黄金正八面体回転ワーク」をやっています。

 劇的な体験は今のところ、ありません。

 少し前から山田貢司さんの脳トレをやっていますが、これをやっている時は、脳の後頭葉や側頭葉が動いているのを感じます。

 黄金正八面体回転ワークの際、脳のどこが動いているかに気づいているようにしたら、脳の真ん中や後頭葉・側頭葉付近だとわかりました。

 記事「頭脳と体の分離を促進する現代社会に覚える危惧」で述べましたが、現代人は、常時、前頭葉優位状態で、脳の全域を使っていない状況にあります。言い換えれば、非常に限られた能力しか使っていないということです。

 前頭葉優位状態は体を固くし、また病気を発症させるだけでなく、狭く浅い思考にさせる要因ともなります。

 俗にいう「頭が固い」というものです。

 さらに、連日のメディアの報道で恐怖・不安が基本感情になっていると、爬虫類脳が活性化されている状態になり、ますます多角的・多次元的な思考がむずかしくなります。

 この「黄金正八面体回転ワーク」をすることで、前頭葉優位状態から離脱し、もっと深い思考ができる脳の状態にするのを助けてくれると考えられます。

 もちろん、習慣にすることを前提しての話です。

 この記事と関連すると思われる記事を以下に掲載します。

ワークの前・最中に聴く音源について

 トムは、「黄金正八面体を回転させるワーク」の注で、「脳内のアルファ/シータ波活動を高める心理音響学的な録音を聴くことで、「黄金正八面体」の体験を大きく深めることができます。」と述べ、自身の作曲した「空間認識」の音源を推奨しています。

 しかし、山田さんの「θ波誘導inguitar」を聞いて、脳波をθ波に下げ、脳幹主体状態にしてから、ワークをやっても大丈夫です。

 私は最近、こちらを聞いてから、「黄金正八面体回転ワーク」をやるようにしています。

 こちらは、ヘッドホンではなく、スピーカーで聴いてください。

 ヘッドホンで聞くと、脳と体の分離が進行するからです。

 ヘッドホンやイヤホンでの聴取を推奨するトムは、おそらくこのことを知らないのではないかと思われます。

 山田さんの音源で行う場合は、こういう手順になります。

 スピーカーで「θ波誘導inguitar」を聞く⇒θ波になる⇒「目を開けてください」の後に動画を止める⇒黄金正八面体回転ワークをやる⇒ワークを終えて、数分、何もしない

 良かったら、ワークをやってみて、何か、気づいたことや体験したことがあれば、コメント欄で教えてください。

 ワークの前後で知覚が変わったというような、何かしらの変化でも構いません。

 山田さんの音源は、こちらにまとめてあります。

以前の翻訳記事

 トム・ケニオンやハトホルの以前の翻訳記事はこちらにまとめてあります。

 



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