2018/2/2(金)

昨夜からみぞれ雪。朝の電車で講談社の『本』。毎月楽しみな青山拓央の連載「心と時間」から。今回はチョイス・ブラインドネス(選択盲)に関する話。

チョイス・ブラインドネスとは、辞書的には「選択の意図と選択の結果の違いを検出できないこと。選択する理由が、実際の選択に反映されていないことに気づいていないこと」ということになるが、次の心理実験が有名だ。「被験者は提示された2枚の顔写真のうち魅力的だと思う方を選択し、選んだ写真は裏返しで手渡され、それをめくった被験者は自分が選択した理由を述べる。だが、手渡された写真は実は被験者が選択しなかった方の一枚だった」。つまり、人は、自らが選んだものでないものを自ら選んだものだと誤認し、さらには自ら選んだ(わけではないのだが)理由付けまでしてしまう。

ここから続く、人がそこで選択していると思っているその行為(という言い方もヘンだが)は「選択」ではなく、実は評価に過ぎないのであるが、自分には選ぶ力が備わっていると信じるというある種の自己欺瞞により、チョイス・ブラインドネスという別種の自己欺瞞を回避できる、という議論はいかにも青山らしい(ここで青山は因果連関から生じるリスクの有無により、「選択」と「評価」を区分けしている)。例えば、選挙においては、投票者がしていることは投票先を選んでいるのではなく評価しているに過ぎないのだが、選択していると信じ込むことにより投票行為におけるチョイス・ブラインドネスの回避に繋がる、というように(ここでこの事例を持ち出すことには民主主義制度に対する皮肉が込められているように思われるが)。

さらに今号の『本』には、千葉雅也によるマルクス・ガブリエル「なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ) 」の書評も掲載されていて、これも興味深い。早速図書館にリクエストを入れた。

今日もほぼ一日、検査仕事。人の手伝いをしているわけだから、大手を振って、自分の仕事は先送りできる。

夜、自宅へ帰ってきて、牡蠣と豆腐と白菜の鍋。とビールを850ミリリットル。やっぱり金曜夜は、家で飯食うのがベストだ。