"USB"を理解しよう! -第4回 USB Type-Cとは何者?-

今までの記事でもちょくちょく出てきた"USB Type-C"。最近のスマートフォンやタブレット端末で採用例が進み、MacBookシリーズやiPad Proにも搭載されたことから話題となっている端子だ。
ここでは、従来のUSB端子と比較しUSB Type-Cが勝っている点、USB Type-Cでのみ利用可能な規格等にさらっと触れようと思う。

第1回でも述べたとおり、USB Type-C端子はリバーシブルタイプとなっており、利用者は端子の上下を気にせずに差し込むことができる。また、USB Type-C端子は抜き差しに強く、従来のUSB Standard-A端子は抜き差し可能回数が1,500回とされているが、USB Type-C端子は10,000回以上の抜き差しに耐えうるとされている。

前回の充電規格編でも紹介したが、USB Type-Cでは"USB Type-C Current"という充電規格に対応しており、1.5A、もしくは3Aでの電力供給が可能となっている。
このため、コンピュータからスマートフォン等を充電する際はUSB Type-C端子を使用してやることで充電速度を高められる可能性がある(スマートフォン側の充電速度に依存する)。

以下はオプションの機能となっており、USB Type-C対応機器であったからといって必ずしも対応しているとは限らない。

・アナログオーディオ出力
最近謎に流行っているスマホのイヤホン端子撲滅ブーム。特にハイエンド機で動きが激しい。
このイヤホン端子撲滅ブームに乗っかり、USB Type-C to 3.5mmミニジャックアダプタなるものが世の中に出回り始めたが、このアダプタにも実は2種類あることをご存知だろうか。
1つ目はデジタルタイプ。これは純粋にDACとアンプを組み込んだものであり、大半のUSB Type-C端子を搭載した機器で動作する。
2つ目がアナログタイプ。これが厄介で、スマホ側のDACを使用しUSB Type-C端子からアナログ信号を出力、アダプタ側のアンプで調整して出力しているのだが、このアナログ出力、実は対応必須ではない。対応した機器はXperia XZ2シリーズ、Huawei機の一部等少ない。
ちなみにApple純正アダプタは前者のデジタル出力タイプである。
また、USB Type-Cを搭載したイヤホンなるものも最近出始めいているが、これについてはUSBIFが"デジタル出力タイプでなければいけない"と定めたため、アナログ出力タイプは存在しないはずである。

・USB PD
前回の充電規格編で紹介したUSB PDはオプションとなっており、必ずしも対応しているとは限らない。
特にUSB Type-Cを搭載したラップトップコンピュータはUSB Type-Cでしか充電できないもの(MacBookシリーズ等)、USB Type-C端子を搭載しているが専用充電器でしか充電できないもの(大学指定Mouse computer製PC等)、USB Type-C端子を搭載しており専用充電器でもUSB Type-C端子からでも充電できるもの(Microsoft Surface Book 2等)があり、機器によって対応が分かれるので確認が必要である。

・Alternate Mode
USB Type-CではAlternate ModeというUSB以外のデータ転送を行う機能を搭載することが可能である。
Alternate Modeを利用した代表的な規格がThunderbolt、DisplayPort、MHL、HDMI等である。
Alternate Mode内の規格も個別に実装の有無を選択でき、Thunderboltに対応しているがDisplayPortには対応しない、DisplayPort出力には対応するがMHL出力には対応しない、など機器によって対応の可否が分かれるため注意が必要である。

USB PDとAlternate Modeは同時利用可能なことから、対応した機器であれば"USB Type-Cでディスプレイに映像出力しながらディスプレイからUSB PDで電源供給を受け機器を充電する"などケーブル1本で様々なことがこなせてしまう。USB Type-Cは機器、利用方法によっては大変便利な端子と化す。

ちなみに余談だが、Alternate Modeにおける映像出力規格はHDMIよりもDisplayPortのほうが先に制定されていたこともあり、現在発売されているUSB Type-C to HDMIアダプタは基本的にUSB Type-Cから一旦DisplayPortに変換し、アダプタ内部でDisplayPortからHDMIに再度変換して出力されていることが多い。
映像出力インターフェース的にDisplayPortはHDMIと比較しデイジーチェーンに対応している、DisplayPort to HDMIは制定されているがHDMI to DisplayPortは制定されていない、など利点が多いため、あえてHDMIを直接実装する必要があるのかどうかは疑問である。

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