CHO抜粋2

異議あり!?「経営のやりがい搾取」に強制ストップをかけられる健康裁判長(CHO)制度を紹介 #ミラティブ社

昨日、世界初のバーチャルカラオケ空間「エモカラ」をリリースしました。ミラティブはプロダクトがすべての組織なので、世界初のものを出す時には社内に高揚感があふれる感じがあります。昨日はささやかにケーキでお祝いをしました。(むちゃくちゃ熱い機能だと思っているのでぜひ触ってみてください!とりあえず↓の動画見てください!)

各所から嬉しい反響も!


ミラティブは、40人で10億超のユーザーに価値提供する米Whatsappのようなプロダクト中心の組織を理想形として、採用・組織戦略に取り組んでいます。

最近、経営陣のテーマのひとつになっているのが、働く環境についてです。
今クオーターの経営のOKRでも、メンバーが健康に長く働ける環境づくりというKRにコミットしています。


その中で直近の施策として、「健康裁判長制度(CHO)」「デクレア制度(翌月の働き方宣言制度)」という2つが世の中にない制度で気に入っているので、2daysに分けて紹介してみます。

健康裁判長制度(CHO)

「Chief Health Officer」という役職は昨今いくつか設置している事例が出てきているようですが、ミラティブのCHOは既存のものとはまったく違う性質を持っています。
それは、「CHOは、経営に対して、無条件で業務量調整等の命令を従わせることができる」という非常に強い権限を持っている点です。
また、CHOはメンバーからの推薦・投票で選びます。


きっかけ・課題感

なんとか経営を軌道に乗せるのに必死な創業1年目は正直みんな忙しく、長時間労働も常態化していました。
幸い誰も倒れたりすることはなく乗り切ったのですが、ずっとこの状態で走るのは続かないなと思っていました。

そんな折、3月末に社内NPS調査(匿名)で「ミラティブ社で働くことを友人・知人に薦めますか?」というアンケートを取ったところ、悪くないスコアを叩きだしながらも、
「すごくいいチームで仕事が楽しい!ただ、仕事はとても忙しいのでそのあたりを考慮すると気軽に誘いづらい面もあります。」
「プロダクトも会社も素晴らしいのでお勧めしたい。しかしハードワークであるので積極的に進めることはできない」(ともに原文ママ)
といった「忙しさ」に対する声が多くあがりました。


障害発生等で一次的な波が起こりうることは今後も避けがたいと思うのですが(&たくさん働いて成長したい、という意欲には寄り添っていくのですが)、「メンバーそれぞれが長く健康に働ける環境づくり」が、最終的な勝利(ミッション達成)のためにも、採用競争力の観点でも、重要だと判断して、今クオーターは経営でフルコミットして取り組んでいくことにしました。

*余談ながら、イタリアの学者の「静かなものは健やかに行く。健やかなものは遠くまで行く。」という詩を城山三郎氏が引用しています。
が、僕は忌野清志郎が好きなので「ドカドカうるさく健やかに行く。健やかなものは遠くまで行く。」とメンバーには話しましたw。


考え方の背景

インターネット以前、特に大量生産が前提の時代では、経営と労働のパワーバランスは長らく「経営の方が強い」時代だったと考えています。
給料払ってるんだからおまえら働け、という世界観です。情報が少ないために転職の自由度・人材の流動性も低いので、一方的な搾取構造も資本主義の闇として生まれてきました。


これがインターネット以降は180度変わった、というのがミラティブの経営の大前提です。
優秀な人は、どんな会社でも仕事はできるし、その中であえて会社を「選ぶ」。
個人の方が圧倒的に強い、個人にパワーバランスが移った時代
です。


そうなると、相手に選んでもらえる会社にしないと競争力が生まれません。しかも、採用の瞬間に「一時的にいいカッコする」ではダメで、転職も容易なので、「常に相手に選んでもらえる」状況づくりが必要です。
そのために経営側が努力する、常にやりがいを提供できるよう模索が続く、というのは良い兆候だと考えています。


一方で、この構造が「やりがい搾取」につながりやすいのも事実です。
「成長環境と高い報酬を提供してるんだから死ぬ気で働くのが当たり前でしょ」みたいな雰囲気だったりとか。

あるいは、どんなに仕事が楽しい人に対しても、働きすぎで倒れてしまうような状況を作らない、というのは経営の責任だと思っています。
一方で、経営側はそもそも会社を大きくすることに一番のインセンティブがあるので、本当の意味で「メンバーの健康第一」で考えるのは「構造上」なかなか難しいと思っています。(もちろん、嘘ではなく第一で考えてるつもりなのですが、「構造上」。 実際に去年、当社も危ない瞬間がありました。→「経営陣個々人の努力」とかでなく、仕組みで解決へ)

フェアな分立へ

そこで、三権分立的に第三者に経営への強制ストップ権を付与しているのが当社のCHO制度です。


重要視している点がいくつかあって、
労働組合的なものとは目的が違い、あくまで「ミッション達成のための存在」であること(*労働組合を否定しているわけではありません)


経営に忖度しない人が選ばれる構造なこと
・私情を挟まず客観的に業務状況等を判断できること(それこそ、性悪説に立つとCHOにワイロ渡して、とかできてしまいうるので。)
・誰からも相談されやすいキャラ(セクハラ等に対応するために、補佐役の異性をつける、というルールにはしている)
などです。

第1回のCHOはO野氏という、DeNAでゲームの事業部長としてぶん回したあとメルペイで活躍して当社に来た、とにかく誰にも歯に衣着せない(けど何か不思議なやさしさもある)、忖度度ゼロのやつがやっていますw。


実際に動かしてみて

経営の権限を抑える仕組みなので、実施に勇気のいる判断ではありました。
ただ、とにかく「フェア」だし、経営側のスタンスをはっきりさせてメンバー側にも理解と相応しいアウトプットを求めて、双方の事情や都合をリスペクトしながら推進していく構造ということで、やってみる価値はあると判断しました。


実際に稼働して1か月で、まだ権限の行使ケースは出ていませんが、こうした制度が存在すること自体が抑止力になる側面もあると思っています。

経営サイドに「メンバーの人生に寄り添うぞ、搾取しないぞ」という意識を植え付けている効果もありそうです。言行不一致は現代の組織運営で最悪の形なので、適切な緊張感が生まれるのはとても重要だと考えています。

また、起案から第1回CHO選出までは2週間ほどでした。「前例もないし想定外もあるだろうから途中で軌道修正するかも」という点はメンバーに正直に伝えてまずやってみる、こうしたリーン検証のスタンスはプロダクト開発と同様で、組織開発もこうした変化対応を前提に進めることを意識しています。(これも、仲間との信頼関係、経営側にもメンバーへの心理的安全性がないとできないことだったりします)


そんな風に楽しい試行錯誤を繰り返しながら、ミラティブ社は今日もドカドカうるさく健やかにプロダクト開発をしています。

最高の仲間を探しています

ミラティブ社は絶賛採用強化中です。こうした発信をして退路を断っていくことも含め、働きやすい環境づくりにコミットしていくつもりです。(特にエンジニアやものづくりにかかわるメンバーの働きやすさを重視しています)
手前味噌ですが、メンバーの優秀さに関しては本当に自慢したいことばかりの最高のチームにつき、興味を持っていただけた方はぜひ気軽に話を聞きに来てください!エモカラや次なる新規事業の募集も行っています!!
→話を聞きたい・応募はこちらから採用ページhttps://www.mirrativ.co.jp/recruit/

最近、デザイナー向けの資料も作りました。


明日は、有給休暇等とは別で「来月はノー残業でいきます」「集中してインプットしたいのでフルリモート期間にします」などの翌月の働き方をメンバーが自由に宣言する「デクレア制度」について紹介します。よかったらフォローやシェアで明日も読んでもらえると嬉しいです。それではまた。

追記:2daysの2日目、デクレア制度についてアップしました!


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