Muneyuki Oyama(PJAM)

ゴーストアーキテクト まちが輝くための環境づくりを担う 1988年生まれ/埼玉県出身…

Muneyuki Oyama(PJAM)

ゴーストアーキテクト まちが輝くための環境づくりを担う 1988年生まれ/埼玉県出身/都市と建築と読書。 日常生活の議事録的フリーペーパー 「Field of Voice」編集長 ※準備中 資格|一級建築士/屋外広告士/防災士/被災応急危険度判定士/技術士補/食品衛生責任者

最近の記事

道路空間の屋上論

幸せな空間、時間、体験2022年10月10日で、青葉通の社会実験は終了を迎えた。 終了した今でも、あの幸せな空間、時間、体験はいったい何だったのだろうと思い返している。たぶん、そう感じているのは私だけじゃなく、あの場に関わった人、訪れた人は皆、これに近いわだかまりを感じているのではないかと思う そのわだかまりを、言葉に変えることで少しでも前に進める糧にしたい。 前に進むために、私なりあの空間を言葉にすることが大事なんだと思う。 少なくともあの社会実験に関わるにあたって

    • 『公園が主役のまちづくり』を読んで

      本書を読み終えて、まず感じたのは、行政にも、民間にも、最近の公園(公共空間)の利活用が気になっている方にも刺さる内容だと思った。 パブリックスペースの「質」を可視化する方法として、Contingent Valuation Method(仮想的市場評価法)が紹介されていた。p.19~ 例示されていたのは、1杯のコーヒーの価格の決め方。 同じコーヒーでもシチュエーションに応じていくらまで支払えるか。言われればなんてことない手法だけれど、確かに!と共感してしまう。 事業化実現

      • トンテンカンテン 〜東北に居た転勤族に関する10の質問〜

        はじめに 仙台市での暮らしも2022年の夏で早8年が経とうとしています。私自身も転勤族として仙台市にやって来てから、たくさんの方と出会いそれと同時に、異動の季節がやってくるたびに何人もの方との別れを経験してきました。 このアンケート調査では、そうした思い出を心の中で留めておくのではなく、そこに居たことを形に残して共有し、これから将来、仙台を訪れる転勤族に向けて少しでも寄り添うものに残しておきたいと思って実施しました。 「転勤」って少し不安だという方も多いと思います。 そ

        • 近所フィールドワーク

          220102 埼玉県八潮市の葛西用水、大原公園を見る 調査地1:葛西用水江戸時代から生活用水として整備され、かつては、泳いで遊べるほど綺麗な小川だったと親から聞いたことがある。 上流部は、桜並木やせせらぎなどの名残があり、ドラマの撮影などでも使われる。 しかし下流は鋼矢板で堰き止められ、親水空間というよりもザリガニ釣りができる程度の"昔からただそこにある場所"だった。 その後、管理者が用水組合から行政に移管され、近年、遊歩道がある親水空間として再整備された。 その姿は

        道路空間の屋上論

          漂うゴーストアーキテクトの時代に

          連さんの記事「雨のみちデザイン」を拝読し、こんな言葉を思い出した。 「死んでこそ、浮かぶ背もあれ、ノモンハン」 戦で対岸へ渡ろうとして亡くなった者達の背が水に浮かび、飛石のようにして対岸に橋がかかる情景が目に浮かぶ村上春樹氏のある小説に出てくる言葉だ。 私も、プロジェクトに関わることが多い一方で、メディアや雑誌で個人名が出ることは無い。(出せない)ことが多い。 建設コンサル時代にも、あるプロジェクトに対する企画をコンサル(私)がつくり、設計を建築事務所が行うという公共

          漂うゴーストアーキテクトの時代に

          一級建築士の製図道具について

          武器を、友人に託す。 本日は、一級建築士の学科試験ですね! 先日は二級建築士の学科試験があり、知人から受験し、自己採点で通過したと連絡があった。 製図試験に向けて、道具を借りたいと相談があり、製図版含め、製図道具を貸した。 道具環境について・料理をつくるように書く  道具環境を整えて、動作に無駄がない作図 ・使う道具の動く、動かないを意識して整理する  よく使う、使わない、ある工程でまとめて使う等 ・ストックは常に入れておく。  芯や消しゴム、無駄な買い足しの心配

          一級建築士の製図道具について

          とある消費者Aと企業の攻防戦

          実話です。 妻と話して2階に上がらなくても洗濯物が干せるように、また冬場は集熱効果を期待してサンルームを増築した。もうすぐ"2回目"のサンルーム増築工事が終わるところである。 自宅工事で地元ホームセンターを通じてサンルームの増築を行った。 ホームセンターから下請けの協力会社(商社)へ、資材手配を依頼し、そこから孫請け業者として、職人が施工した。 その商社が現場管理を怠り、孫請け業者である職人が施工不良を起こした。 軽微な施工不良ならまだしも、大判の窓ガラスが割れ、窓サ

          とある消費者Aと企業の攻防戦

          まちづくりに、ポジティブな衝動はあるか。

          つくらない都市計画 山口周氏の話を聞いた。 衝動という言葉は、衝動買いやつい衝動に駆られて…のようにネガティブなイメージが強い言葉だが、本来、内発的気持ちで突き動かされる人間らしくある要素だと思う。 それをポジティブな衝動と呼んでみる。 チクセントミハイ氏「ゾーン」 クリエイティビティ、フローと体験 全ての人がアーティストであることについて 自分のうちから出る衝動に基づいて何かをやってる人、仕事にのめり込んでいる人、経営、研究、好きなこと等の色んな場面でのめり込んで

          まちづくりに、ポジティブな衝動はあるか。

          まちづくりに関わる建築家、関わらない建築家【まとめ】

          2021年2月18日(木)21時〜22時半 2月18日、clubhouseで「まちづくりに関わる建築家、関わらない建築家」について話し、約70名もの方が聴講してくれた。 この回を企画した経緯としては、SNSなどを通じて、全国のまちづくりの取り組みを知る機会が増え、その中で建築家や建築出身者が多様な人と連携しながら活躍する姿を目にした。 一方で、自分の街に目を向けると、他の自治体と比べて自治体規模も小さくない、市内に建築系学科を有する大学がない訳でもない、ましてや毎年3月

          まちづくりに関わる建築家、関わらない建築家【まとめ】

          祖母が目指した緑色

          2016年の秋、母方の祖母が亡くなった。 亡くなる直前、ちょうど仕事で気仙沼市へ出張していたので、上司に事情を伝え、ゆらゆらと1人だけのバスに乗り込み、岩手県にある病院へ向かった。 先に来ていた親戚に話を伺うと、意識が朦朧としていて、お見舞いに来た古い友人や親戚が声をかけても誰だか分からず怪訝そうな表情を繰り返していたそうだ。 そんな状態の祖母なのに、私の母(祖母から見れば実の娘)を見た瞬間、涙を流して微笑んだ。 どんなに意識が朦朧としていても実の娘はわかることに私は

          祖母が目指した緑色

          大学研究室とは、なんだったのか?

          2021年2月5日(金)の夜22時から、clubhouseでこのテーマについて、友人と話し合った。 ことの発端は、私が所属していた研究室が、師が退官した(別の大学に着任した)ことで、事実上、存在しなくなったからだ。 SNSやアプリ等でコミュニティは作れ、時々、恩師とOBOG数名がやりとりする程度で、それを積極的に活かした活動はまだない。 研究室が存在しなくなったことで、なくしてしまっていいものなのか、急な切断に対して、整理がついていないだけなのかは、わからない。 なく

          大学研究室とは、なんだったのか?

          クロニカvol.1 施設と建築、デジファブの木目の違和感

          施設か、建築か これは、建築家の坂本一成さんが、2012年頃にとある卒業設計展の講評会で言っていた言葉だが、当時の私はうまくその言葉の違いを理解できないでいた。 その後、三浦展さんの『愛される街』と『人間の居る場所』を読んだ。 その中で、実母が介護福祉施設に入ることになったエピソードがあり、「施設」とは法律に人の行動を当てはめること。確かに行きたくない場所は、〇〇施設と呼ばれる場所が多いと書かれていた。 そのとき、坂本一成さんが言っていた「施設と建築」の違いが少しだけわ

          クロニカvol.1 施設と建築、デジファブの木目の違和感

          誰にも頼まれない仕事をする

          公務員が一番、パブリックマインドを忘れがちだと戒めている。 まちづくりの成果には、時間がかかる。 やった分だけ成果にならないことの方が多い。 だからこそ、私は1日の仕事始めを、床の掃き掃除から始める。やった分だけキレイになる。 掃き掃除しながら、その日のスケジュールなど、頭の中を整理できるから助かっている。 たとえ小さなことでも、そこに自分が居たことで変化が起きる(成果が起きる)ことを実感できる事ほど嬉しいものはない。 ゴミが多かった日の理由を考えたり、吹き溜まる箇

          誰にも頼まれない仕事をする

          『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』/ドミニク・チェン

          p.1 私たちが世界を知り尽くす事は無い。それはただ世界が広大だからと言うだけではない。常に終わりが別の始まりの源泉となりその繰り返しの度に新しい言葉が生まれるからだ。 p.46 書くことによって世界はただ受容するものであるだけではなく自ら作り出す対象でもあるとわかったのだ。そして、世界を作り出す動きの中でのみ自分の同一性が形作られるのだと言う事。 p.85 私たちは日常的に使っている言葉だけではなく使う技術によっても、個として世界の認識の仕方、そして他者との関係性の築き

          『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』/ドミニク・チェン

          『増補 広告都市・東京』

          p.61 ふたつの街メタファー 第一には、西武百貨店パルコといった箱の内部を街のように演出していくこと 第二には、ハコ・建造物が置かれた都市空間(街)を西部パルコの広告空間として再編成していくこと p.67 パルコ、東急による渋谷展開は、都市に広告を出す旧来の屋外広告の方法と異なり、「都市広告にする」という新たな都市と広告との関わりを作り出す試みであった p.68 投資そのものが広告であり広告でないものが存在しないようなジーヘヴン的空間。そこでは歩く人のファッションも含

          『増補 広告都市・東京』

          『近江商人の哲学』/山本昌仁

          p.6 過去の風景を再現するだけでは意味がないので、建築家の藤森照信先生にお願いした。ここでしか見られない風景を作り出す。 p.7 自然に学ぶ。なぜ菓子屋が田んぼをやるのか。お米がなければ明日から大福も作れません。お米がどうやって育つかを体験し、知ることも私たちにとっては大切なこと。 p.8 ここは何かを売る場所というよりは、たねやの生き方を知っていただく場所 p.9 近江商人は、近江に本拠地を残したまま全国で行商、わおこない、諸国産物回しといって、その土地に足りない物

          『近江商人の哲学』/山本昌仁