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RGヴァラクート Perfect Guide

 早速ですが、2019年9月1日に高田馬場トーナメントセンターで行われたMCQⅥ バルセロナにて、RGヴァラクートを使って優勝しました。Magic: The Gatheringというゲームを始めて約20年。ついに、Mythic Championship(旧:プロツアー)という憧れの地への切符を手に入れることが出来ました。本当に、本当に、本当に。嬉しいです。
 出場に向けて旅費の工面など、まだまだ課題がありますが、なんとか工夫して調整し、夢の舞台に立ちたいと思います。今回の記事は、当然、無料です。皆さんのお役に立てる内容にしますので、旅費の一部に当てたいと思いますので、ぜひ、サポートいただけると大変嬉しいです。※有料記事の設定になっていますが、有料記事部分には記事がありません。サポートの参考価格とさせていただいています。

 初めてMTGを始めたのは、小学校5年生のときで《メルカディアンマスクス》~《インベイジョン》のスタンダード。《青単Fish Orb》や《ファイヤーズ》が流行っていましたが、カード資産もそんなになく、学校の友達とわいわい遊んでいるに過ぎないカジュアルプレイヤーでした。dci番号も持っていませんでした。

 その後、中学生になり部活等で回りのみんながMTGをやめてしまったので、私も辞めました。本腰を入れて取り組み始めたのは、2009年春頃。《アラーラの再誕》が発売された頃です。当時はやっていたmixiのコミュニティサイトにて、MTGに再開したのがきっかけです。
 その後、スタンダードを中心に競技マジックの世界に足を踏み入れ、初めて競技イベントで勝利したのがエクステンデットで旧店舗晴れる屋で開催されたGPT神戸2011。なにかの運命なのかこのときもRGヴァラクートを使って権利を獲得しました。

《目次》
1. 《RGヴァラクート》を選択した理由
2. 今回のデッキリストの解説(調整過程)と試合結果
3. 小テク集
4. サイドボードガイド
5. 謝辞

1. 《RGヴァラクート》を選択した理由

 巷では、このデッキを《タイタンシフト》と呼ぶようですが、私にとっては《RGヴァラクート》です。《タイタンシフト》というネーミングは、モダンで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》(以下ヴァラクート) が解禁されたタイミングで海外のプロがつけた名前です。私がエクステンデットのGPT勝った頃は、《RGヴァラクート》だったので、その名前を使い続けます。

 さて、本題に入りますが、2019年8月26日に禁止制限改定が行われ、《信仰無きものあさり》(以下ルーティング)、《甦る死滅都市、ホガーク》(以下ホガーク)が禁止されました。また同時に、《石鍛冶の神秘家》(以下石鍛冶)が解禁されました。


 この発表を受け、MOのリーグで石鍛冶デッキを含めて10個程度デッキを回し、私が感じたことは以下2点です。

(1) 環境の低速化
 今までのモダンの環境は、《信仰無きものあさり》に支配された環境が1年以上続いていました。モダン開始時からあるカードですが、ここ1年で印刷されたカードが強すぎた結果、モダンを定義するようなカードとなってしまいました。2t目に《孤高のフェニックス》(以下フェニックス》2体に殴られている・・なんてことも頻繁に起きるような環境。ここ最近は、2t目に《ホガーク》《復讐蔦》《復讐蔦》なんてのも珍しくありませんでした。私の記憶だと、モダンは4tキルで定義されていたと思うのですが...。
 そんな環境も過去の話。ウィザーズによる鉄槌が下され、墓地中心の戦略から盤面のやり取りへと環境に変化が訪れました。

実質禁止

 これにより、勝利ターン数が3tから4tの間に減速すると考えてました。《石鍛冶》というデッキは3tに《殴打頭蓋》を場に出して、4t目に戦闘するデッキなんです。遅い。
 また、Magic Onlineで調整を行っていたり、twitterで流れている勝っているデッキリストを確認している限り、《石鍛冶》の解禁により、フェアデッキを意識したデッキが増えていることを実感。カウンターを減らして《未練ある魂》を採用したり、装備品を多めに採用したり、除去を多めに採用したり、といった感じです。

 そんな中、週末にかけて《エルドラージトロン》《トロン》の2種類のトロンデッキと、上記《石鍛冶》デッキに強い《ジャンド》が増えているのをtwitterやMagic Onlineでの調整で感じました。

 よくよく考えれば当たり前なのですが、3t《解放された者、カーン》はフェアデッキでは捲れないので、《ジャンド》はかなり《トロン》に相性が悪いです。そう、3t-4tの現在最強のアクションが出来るのは《トロン》です。3t《解放された者、カーン》(以下7カーン)、4t《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 は最強です。
 そして、その《トロン》デッキに少し有利がつくのが、今回私が使った《RGヴァクート》というデッキです。(もちろん他のフェアデッキにも基本的には有利です。)

《石鍛冶》に強い

3t《7カーン》は環境定義

(2)石鍛冶デッキはまだ発展途上
 レガシーというフォーマットでは、私も石鍛冶を愛用しています。《真の名の宿敵》に《梅澤の十手》を装備して戦闘するのは簡単にゲームに勝てるので最高です。
 ですが、モダンではどうでしょうか。《石鍛冶》は先週末解禁されたばかりでまだリストも固まっていない。レガシーでは《剣を鋤に》(以下ソープロ>》が使えますが、モダンでは《流刑への道》(以下パス)です。相手の石鍛冶に《パス》をキャストすると、次のターンには《精神を刻むものジェイス》(ジェイス)が出てきます。全然よくないですね。そうなると3色にしよう、とか考え始めますが、まだまだそれにはマナ基盤含めてデッキリストを練りこむ時間が足りないので、調整時間だ足りずに《石鍛冶》デッキは断念。周りのほかのプレイヤーもそれは同じだろう・・と思っていました。
 ということで、《石鍛冶》デッキを使う人はいるものの、上位にはそんなにあがってこないのではないか、と考えていました。

以上2点が今回《RGヴァラクート》を使うことに決めた主な理由です。

2. 今回のデッキリストの解説(調整過程)と試合結果

 上記の理由から、なんとなく《RGヴァラクート》を使おうかなあと考えていましたが、つい1週間前まで、《ホガーク》環境であったため、最新のデッキリストがほとんどない。これは新環境に向けて自分でリストを作るしかないか・・・と考えて、とりあえずサンプルリストを作りMagic Onlineのリーグにジョイン。

 適当に組みました。結果は2-3.
トロン 〇〇
BG 〇〇
トロン ×〇×
トロン ×〇×
トロン ××

トロン?!?!

 相性有利とはなんだったのか。対戦相手、全力でマリガンしてくる。
ロンドンマリガンの利を受け、ダブマリからでも平気で負ける。これは...。
トロンが板なのでは?!と思っていたところ、次のリーグ(ちなみに死せる生を使いました)でマッチした《RGヴァラクート》に《ムウォンヴーリーの酸苔》(以下酸苔)を連発されて負ける。そして私は思い出しました。さっきトロンに負けたことを。これを使えばトロンに勝てるのでは?!

トロン対策のマスターピース

 カードの存在は知っていたが、すっかり忘れていた。これだ!と思い、深夜2時にデッキを再構築。

(1) 採用したカード

①《レンと六番》

絶賛レガシーで猛威を振るっており、《死儀礼のシャーマン》の再来では、とまで言われているこのカード。

 《RGヴァラクート》では守る手段があまりないため、そこまで強いカードではないのですが、今のモダンのメタゲーム上、トロンに強いデッキとして増えるであろう《ドルイドコンボ》の《貴族の教主》などのマナクリーチャや《療治の侍臣》を難なく除去することが出来ます。また、青白コントロールなどの《廃墟の地》で破壊されてしまった《ヴァラクート》や《死者の原野》を回収して再度セットランドすることが可能です。
 最後にとても重要なのが、ライブラリーの「山切れ」の防止です。デッキに存在している山は14枚です。土地7枚で《風景の変容》をキャストすると、森が場に出ていない場合は山がなくなります。対戦相手が《7カーン》を持っていそうなときや《献身のドルイド》をコントロールしていて次のターンに負けそうなときなど、どうしても相手のライフを0に出来ないタイミングで《風景の変容》をキャストするシーンがあります。そのときにデッキに山が残っていないと相手のライフを削りきることが出来ません。そんなときに、対戦相手のライフの残りを削る際に山を墓地から回収できたら安心できませんか? 
 ちなみに、このカードはデッキの基本的な動きに一切干渉しないカードなので、2枚以上いれると動きが弱くなります。したがって1枚のみの採用。

②《死者の原野》
 
レガシーの土地単で愛用しているこのカード。

 はっきりいいます。最強です。《ヴァラクート》を3枚にしてでも採用する価値があります。基本地形タイプを散らしたり、サイクリングランドを入れたりと工夫しているため、すぐに誘発します。ただし、このカードの存在が《RGヴァラクート》というデッキをひと昔前よりも難しくしています。フェッチランドの起動を含めて、すべての土地のサーチに念入りに気を付ける必要があります。(詳しくは後述)
 《原始のタイタン》をキャストすると、これを持ってくることによってなぜかゾンビトークンが2体出るため、この動きは《墓所のタイタン》にあやかって《ゴルガリのタイタン》と私は呼んでいます。
 ちなみに次のターンから、戦闘して土地を持ってくると《ヴァラクート》も誘発してダメージも飛ぶため、《ジャンドのタイタン》になります。
 このゾンビトークンによって、負けそうな盤面で相手のクリーチャーをチャンプブロックしたりと負けの目を防くことが出来るようになったので、このデッキのマスターピースです。《原始のタイタン》に《パス》でフルアタックで負け、みたいなことはなくなりました。

③《溜め込み屋のアウフ》

 私は《ホガーク》が禁止になる前まで、《ウルザソプター》を使っていましたが、《ヴァラクート》は《ウルザソプター》に勝てません。相手のコンボに干渉する手段がほとんどないため、だいたいはスピード差で負けてしまいます。そんな中、せめてもの対抗策を・・・と考えて採用したのがこのカード。《召喚士の契約》でサーチ可能で3t目にはキャスト可能です。また、《トロン》相手に《彩色の星》等の起動を止めることが可能です。《減衰球》なくても、たまたま引いたこのカードを先手2tにキャストすると、対戦相手がトロン揃わずに勝つこともありました。

④《内にいる獣》

 直前までこのカードを採用していた枠は、追加の除去になる《削剥》か《石鍛冶》の装備品を1枚でほぼ完封できる《古えの遺恨》にする予定でした。直前に某ヴァラクートのみを使い続けている知り合いに聞いたところ、《内にいる獣》が万能除去としてよいという意見を聞いたため、3/3ビーストが出るデメリットよりは、① トロンや同型で相手の土地を破壊し減速させることが出来る。追加の《酸苔》としての運用 。② インスタントタイミングでしか破壊できない《マイコシンスの格子》への対応。③ 場に出てしまった《精神を刻むものジェイス》などのPWへの対応。④ 除去しないと負けになる《献身のドルイド》《ウルザソプターコンボ》への対応。など幅広い範囲を1枚でみられるため、採用しました。結果、トロンを割ったりと最高の動きをしました。

(2) 採用していないカード

① 《カルニの心臓の探検》

このカード、弱いです。

 1枚で2枚土地をサーチすることが出来るカードであるため、マリガンを取り返しやすいカードであり、4t目に土地7枚から《風景の変容》につなげられる爆発力のあるカードではありますが、デメリットとしてトップしたときに上陸の誘発が出来ないため、死に札になってしまうデメリットがあります。このデメリット、最初はメリットと比較して大したことないかなと思ったので、先週金曜日の信心亭のFNMに3枚入れた《RGヴァラクート》をもっていったところ、最終戦の同型のマッチで「土地かマナ加速引けば《風景の変容》を引けば勝ち」というところでこのカードを引いてしまうことが2ゲームありマッチに負けてしまいました。初手にきてほしいカードなので4枚採用したいのですが、そうするとトップして負けることが増えます。つまり、
もう絶対にデッキに入れません。

② 焼けつく双陽

 サイクリングすることで腐らない3点除去ですが、生き残った《ドレッジ》をサイドボードにカードを割くことなく対処したかったため、《神々の憤怒》を3枚にしました。

③ 自然の要求

 4点ゲインのデメリットつきのエンチャント、アーティファクトを破壊できる除去ですが今回は採用を見送りました。このカードの主な利用目的は、《神聖の力線》《血染めの月》等のこのデッキにとって致命的になりうるカードへの対策として利用することが一般的ですが、これらのカードは今の環境であまり流行っていません。それよりは《ウルザソプター》をシャットアウトできる《溜め込み屋のアウフ》を採用しました。

④ コントロールに強い各種カード

 これらのカードは各種コントロールにはかなり強い素晴らしいカードですが、《死者の原野》《レンと六番》により多角的に攻めることが出来るようになっている上に、《夏の帳》で安全に《風景の変容》を通すことが出来るようになったため、専用サイドボードを割く必要が正直なくなっていると感じています。このデッキが意識され始めて、《軽蔑的な一撃》などのカウンターが増え始めたら採用を考えないといけないかもしれませんが、現段階のメタゲームではここまでは不要だと考えました。

以上のことを考えてMCQに臨んだ結果、

R1 黒緑死の雲 ×〇〇 
 1Gはメインに入っている《夢を引き裂く者、アショク》に完封されました。3Gは《死の雲》をキャストされましたが、既に原始のタイタンとゾンビトークンが出ており、あまり関係ありませんでした。

R2 グリクシスデスシャドー 〇〇
 2G目、土地しか引かず困っていたところ、相手が《思考囲い》と《通りの悪霊》によりライフ4。盤面には《レンと6番》。ヴァラクートが場にあったため、山を引いて勝ち。ついてました。

R3 ドルイドコンボ 〇〇
 1G目は相手がダブマリのところに《神々の憤怒》。2G目は、相手が《崇拝》を置いてきたので、《ヴァラクート》でクリーチャーを全部薙ぎ払って原始のタイタンでビートダウン。山を使い切ったのでぎりぎりでした。

R4 ホロウワン(タグチさん)〇×〇
 ラストサン予選などでよく当たる方。G3、対戦相手が自分の《血染めの月》で黒マナが出なくなりドローゴーを繰り返しているところに《召喚士の契約》で《再利用の賢者》持ってきてフェッチを2枚起動して18点飛ばして勝ち。

R5 トロン ×〇〇
 2Gは《減衰球》で勝ち。3Gは《酸苔》で勝ち。

R6 ドルイドカーン 〇×〇

SE1 トロン 〇〇
SE2 トロン 〇〇
SE3 トロン 〇×〇

優勝!
 正直、引きたいときに引きたいカードを引けたので、本当についてた1日でした。マッチアップのほとんどが、メタゲームで想定したとおりのものであったことも+に働きました。また、対戦相手のマリガンにもかなり助けられた部分があり、本当にバカヅキな一日だったと感じています。

3.  小テク集

 このデッキ、正直他のデッキと比べてそんなに難しいところはないのですが、意識しないと負けにつながる点があるので紹介します。超基本的なこと(《ヴァラクート》や《死者の原野》の誘発条件)については触れませんのでご了承ください。

(1) 土地のサーチの基本
 このデッキは土地を探すカードがデッキのほとんどを占めていますが、そのサーチの順番には一定の優先順位があります。またゲームプランによっても変わってくるので言語化することがかなり難しいのですが、基本的には以下のような形になります。

原則:同じ土地を出来る限りサーチしない

その上で初手のゲームプランによって基本的には以下の2通りになります。

①:《風景の変容》が初手にある場合
 デッキ内の山を残したいため、優先的に《森》《冠雪の森》をサーチする。
②:《原始のタイタン》が初手にある場合
 
ヴァラクートを出来るだけはやく誘発させるために、《森》《冠雪の森》はあまりサーチしない。《原始のタイタン》が除去されてもいいように、《原始のタイタン》でヴァラクート2枚を持ってきます。その際の8枚の土地が、《ヴァラクート》《ヴァラクート》《別々の山5枚》+《森》or《原野》になるようにサーチします。その後の土地セットで6点と原野の誘発を狙えるようにするのが目的です。

(2) 土地サーチでミスりやすいところ
①:血染めの月のケア
 
血染めの月が入っている可能性のあるデッキに対しては、必ず《森》《冠雪の森》を優先的にサーチします。


②:特殊地形のサーチ順
 2t目の《遥か見》は基本的にサイクリングランドをサーチします。このデッキは6枚のタップインランドが入っているため、6t目に《原始のタイタン》をキャストする際にタップインでマナが足りないことが無いようにリスクケアを行います。ただし、手札や場に既にサイクリングランドがある場合は、この限りではありません。

③:風景の変容のサーチ順
 
対戦相手が死なないけど、《風景の変容》をキャストする、ことはよくあります。その場合の風景の変容のサーチ順番については、かなり気を使ってください。生贄に捧げたカード、既に墓地にあるフェッチランド、デッキに残っているカードをすべて検討した上でサーチを考えます。この緊急事態の場合は《原野》の誘発は考慮しません。何故なら、この後もゲームは続くため、デッキの中の山の枚数とサーチできるカードを考慮する必要があります。《明日への探索》《桜族の長老》は基本地形しかサーチすることが出来ないため、基本的にはすべて《特殊地形》を持ってくるようにサーチを行います。

(3) 対戦相手のライフ管理
 このデッキは土地7枚からの《風景の変容》で18点が一番最速の勝ち筋になります。したがって、相手のライフが18点以下なのか19点以上かがかなり重要です。なので、緊急性のない《桜族の長老》は相手の場にクリーチャーがいないときは特に生贄に捧げずに戦闘する方が良いです。また、稲妻も安易に対戦相手のクリーチャーにキャストせずに、本体にキャストすることで、キルターンを1t短くすることが出来るので常に意識しましょう。

(4) 桜族の長老の使い方
 
このカードは対戦相手のクリーチャーをブロックして生贄に捧げることによって、実質アドバンテージを失わないフォグとして運用することが出来ます。特に、絆魂を持っているクリーチャーをブロックすることによって、対戦相手のライフゲインを防ぐことが出来ます。また、1t-2t目に出てきたパワーが低いカードをブロックして生贄に捧げるより、3t目に出てきたよりパワーが大きいクリーチャーをブロックすることによってより延命を図ることが出来る可能性もあるので、ゲームプランを考えて慎重につかうようにしましょう。

(5)《召喚士の契約》は【絶対に絶対に絶対に】払い忘れない
 
重要なところでのパクト死は、何度後悔してもしきれません。絶対に忘れないように、「ダイスケースをデッキに置く」「相手ターン中にアンタップする土地と契約用のマナをわける」等の工夫をしましょう。次のターンで勝ちが決まっていることが多いですが、【絶対に歯を見せるな」。

(6) 《召喚士の契約》のマナを払える土地基盤を生成すること
 《召喚士の契約》(以下パクト)を唱えるときは、相手の土地に干渉できるカードに気を付けましょう。例えば、自分が緑マナ2枚しかないときに《契約》すると、返しの相手のターンに《地盤の際》や《7カーン》で緑マナを破壊されてしまうと、パクト死します。他にも森2枚含まない緑マナ2枚で契約した返しに《血染めの月》を置かれるとパクト死します。本当に気を付けましょう。

4. サイドボードガイド

 ここからは、サイドボードガイドをお送りいたします。来週のモダン選手権や再来週以降のMCQで使用される方向けです。このデッキのサイドインアウトについては、「メインデッキの動きを損なわないように最低限にする」のがかなり重要なポイントです。

VS トロン

【イン】
2 《減衰球》
1 《活性の力》
1 《内にいる獣》
1 《溜め込み屋のアウフ》
【アウト】
2 《神々の憤怒》
2 《大祖始の遺産》
1 《レンと六番》

 《再利用の賢者》(以下賢者)をサイドインしないことがポイント。最近アーティファクトをたくさん採用した《4カーン》型が増えているものの、一番破壊したい《マイコシンスの格子》(以下格子)は《賢者》で破壊できないため、意味がない。
 ただし、今後サイドボードに《魔女封じの宝珠》が採用され始める可能性があるため、もしこれが流行する場合は、《賢者》のサイドインを検討します。その場合は《稲妻》がサイドアウト候補です。

■VS ドルイドコンボ

【イン】
1 《丸焼き》
1 《内にいる獣》
1 《神々の憤怒》
1 《再利用の賢者》
1 《活性の力》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
1 《召喚士の契約》
2 《大祖始の遺産》

 最近ドルイドコンボにはさまざまなタイプがあるので一概には言えないのですが、基本的にはこのインアウトです。《活性の力》については、2Gで《崇拝》を見なかった場合は、《召喚士の契約》に戻してもいいかもしれません。

■VS ジャンド

【イン】
2 《強情なベイロス》
1 《内にいる獣》
1 《不屈の追跡者》
2 《夏の帳》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
1 《探検》
2 《神々の憤怒》
1 《風景の変容》

 土地デッキマニアとしては、《不屈の追跡者》はフェアデッキ相手用に必ず1枚はサイドに欲しい筆頭カード。確実に除去が減るし、もし除去をもたれていたとしても、2tマナ加速から3tにフェッチランドから手がかりを2枚得ることが出来るのは良い。
 このマッチの負け筋は、《ヴェールのリリアナ》による手札ロックと《思考囲い》等のハンデス連打からの《タルモゴイフ》です。クリーチャーを適当に並べてたり、《レンと六番》で手札を回収するような遅い動きでは負けません。
 《レンと六番》については、対戦相手の大爆発の魔導士で破壊された土地を1枚でも多く回収しつつ、フォグして延命という役割があるため、サイド後も基本的には残します。
 《夏の帳》でカードを引くことが出来るため、フィニッシャー枠は1枚減らしても問題ないと考えています。減らす場合は、《大爆発の魔導士》で減速させられてもキャストしやすい、《原始のタイタン》を優先的に残します。

■VS 青白コントロール

【イン】
2 《強情なベイロス》
1 《内にいる獣》
1 《不屈の追跡者》
2 《夏の帳》
1 《丸焼き》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
1 《探検》
2 《神々の憤怒》
2 《大祖始の遺産》

 追加の勝ち手段をすべてサイドインします。《夏の帳》を利用して《風景の変容》を通すことが出来たら最高ですが、うまくいかないことも多いので、《死者の原野》《ヴァラクート》の通常誘発もうまく利用してデッキ全体を活用して勝利を目指しましょう。《丸焼き》は《精神を刻む者、ジェイス》のようなアドをとってくるカードにキャストします。

■VS ウルザソプター

【イン】
1 《再利用の賢者》
1 《活性の力》
2 《夏の帳》
1 《丸焼き》
1 《内にいる獣》
1 《丸焼き》
1 《溜め込み屋のアウフ》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
3 《稲妻》
2 《神々の憤怒》
1 《レンと六番》

 このマッチはワーストマッチです。相手は3キルしてくるデッキであるにも関わらず、アーティファクト破壊だけでは《ゴブリンの技師》により墓地からカードが戻ってくるため、意味がありません。ゲームプランとしては、《大祖始の遺産》+アーティファクト破壊を狙う、《溜め込み屋のアウフ》を引く、アーティファクト破壊+《ヴァラクート》の誘発による《ゴブリンの技師》の除去などが挙げられます。

■ボロス・バーン

【イン】
2 《嵐の乗り切り》
2 《強情なベイロス》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
2 《大祖始の遺産》

 このマッチも相性がよくない、よくないマッチです。《嵐の乗り切り》を探して1回~2回までであれば、マリガンするのもありです。
 まだ試していないのでわかりませんが、《減衰球》をサイドインし、《ムウォンヴーリーの酸苔》を残してマナを縛るプランも、もしかしたら成立する・・かもしれません。わかりませんが。

■石鍛冶(青絡み)

【イン】
1 《再利用の賢者》
1 《内にいる獣》
1 《活性の力》
2 《夏の帳》
1 《丸焼け》
1 《不屈の追跡者》
【アウト】
2 《ムウォンヴーリーの酸苔》
1 《探検》
1 《風景の変容》
2 《大祖始の遺産》
1 《神々の憤怒》

 まだ相手のリストが決まっていないので、インアウトのプランが難しいです。《呪文捉らえ》が入っているようであれば、《神々の憤怒》は残したほうが良いです。

5. 謝辞

 以上、本当に簡単にですが、今回MCQで使った《RGヴァラクート》というデッキについて解説させていただきました。来週のモダン選手権や再来週のMCQ等でこのデッキを使われる方の参考になれば大変幸いです。
 なお、今回も前回のホガーク講座に続いて無料記事とさせていただいております。もしよろしければ、以下リンクから少額で構いませんので、サポートいただけると大変助かります。MCQを抜けても交通費補助を得られなくなっているので、リッチモンド(遠い!)への交通費の補助にさせていただこうと考えています。

 また、2009年にマジックを再開して10年。途中就職等のライフイベントにより、競技シーンから離れていた時期もありましたが、やっとこの舞台に立てる権利を得ることが出来ました。
 10年の間、さまざまな人にこのゲームを通じて出会い、対戦してきました。マナベースの基本的な考え方や、デッキ構築の基本、メタゲームの追い方、各種デッキのプレイング等いろんな人にいろんなことを教わりました。本当にありがとうございます。
 別にこれで引退するわけではありませんが、ミシックチャンピョンシップへの参加という一つの目標を達成することが出来たので、一つの区切りとしてこれまで関わってくださった皆様へ、御礼申し上げます。そして、ミシックチャンピョンシップへ向けて、スタンダード+ドラフトをしっかりやりこみ、あの舞台でできる限りいい成果を残すことが出来るように頑張りたいと思います。

 最後に、今回ヴァラクートを制作するにあたり、《内にいる獣》の採用と《ヴェズーヴァ》の不採用についてアドバイスをくれた某氏のブログへのリンクを以下に貼っておきます。昨年のPPTQを《RGヴァラクート》で抜けているので、もっとこのデッキの詳細を知りたい方はぜひご覧ください。

最後にもう一度、サポートをよろしくお願いします。。。(以下有料記事ですが、参考価格として500円を設定しています。有料記事部分には何も表示されません。)

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MTG(マジック:ザ・ギャザリング)で勝つために試行錯誤中。グランプリトップ8、プロツアー出場を目指して行きたい。横浜近辺、特に信心亭、MOでよくプレイしています。