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マツダというローカル会社から世界一の車のデザインを作った男

本書は世界的な賞をいくつも獲得したマツダの物語と、マツダデザイン部門最高責任者である前田育男氏によるデザインやブランディングなどの、ものづくりについて言及されている本である。

フォード傘下から離脱したマツダに前田氏が久しぶりの日本人デザイン部門トップに就任し、迷走していたマツダのデザインを見つめ直し、「魂動(こどう)デザイン」というブランドコンセプトの元、再発進する話がメインストーリーとして記述されている。

本書で特に述べられているのはデザインやその会社のあり方を表すブランディングが非常に重要という事である。創業100年とヨーロッパの有名な車会社と同じくらいの年月をマツダは過ごしているにも関わらず、ブランド価値として大きく劣っている事、日本が主戦場としていたカジュアルで安価な車作りが中国やインドの会社にすごい勢いで追い上げられているという事を踏まえ、現状よりもブランディングによって価値をあげることが必須だと述べた。
その際用いられるブランディングの手法や考えは、様々なブランディングに関する文献などの中でも特筆する価値がある。
その結果、world car design of the yearやmost beautiful car of the yearなどの賞をいくつも受賞している。

その他にも、良いデザインとは、マツダが魂動デザインというコンセプトを用いたわけなど、デザイン書としても上質で前田氏の生涯の経験を踏まえている濃密さがある。
本書はマツダのデザイン、ブランディングの全貌を知ることのできる素晴らしい本である。


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