ジョブズよりも重要なアップルの天才デザイナー /ジョナサン・アイブ

本書は、イギリス生まれの天才デザイナーにしてAppleのCDO(Chief Design Officer)のジョナサン・アイブ氏の自伝である。

12年以上アップルを取材し続けるジャーナリストであるリーアンダー・ケイニー氏が、アップル関係者やジョナサン・アイブ氏(以下ジョニー)の関係者を当たって、秘密主義で隠されたアップル社の中にいる天才デザイナーの正体を追った一冊である。

勤勉さがジョニーの才能

本書はジョナサン・アイブがデザインを学んだ時代のデザインの潮流、育ったイギリスでのデザインの囚われ方やアメリカでのデザインの囚われ方などのジョニーが影響を受けたデザインをまつわる出来事と共にジョニーの成立ちから解説している。彼は学生のときながら、プロをも驚かす非常に高いレベルでのデザインを実践しており、若くして才能を遺憾なく発揮している。

ジョニーの素晴らしさを列挙すればきりはないが、その中でも一番光る才能を挙げるとすれば、彼は非常に勤勉で真面目だったことだろう。常人であれば、挫折するほど彼はデザインに打ち込み、情熱をたぎらせていた。
一つのプロダクトを何十回も試作し、数ミリ単位のデザインの配置を何度も修正し直しプロダクトを完成させていった。
ジョニーのこの勤勉さ無しには彼の偉大な経歴は作れず、世界を変えるほどのプロダクトも作れなかった。作ること、理論を実践し確かめ改善していくことでしか良いデザインは生まれないことをジョニーは証明してくれている。


ジョニーの目標はデザインを消すこと

ジョニーはミニマリズムであることでも有名だ。
製品のネジ一本にも理由を求め、究極まで削ぎ落とすことを目指している。

ユーザーがデザインを意識せずにその機能を自由に使うことが彼の目標であり、無意味なデザインを嫌っている。

「デザイナーのくせにこんなこというのもおかしいけど、デザイナーがこれ見よがしに尻尾を振っているような製品を目にすると、いやになるんだ。僕の目標はシンプルなもの、持ち主が思い通りにできるものだ。デザイナーが正しい仕事をすれば、ユーザーは対象により近づき、より没頭するようになる。たとえば、新しいiPadやiPhoneアプリに我を忘れて没頭し、iPadを使っていることなど忘れてしまうんだ」
本書で語られたジョニーの言葉だ。

ジョニーの最終的な目標はデザインを消すことだ。それがジョニーにとって一番嬉しいことであり、達成感の源なのだろう。


アップルに必要不可欠だった男

本書はジョニーの自伝ながら、デザインのヒントや本質が多くちりばめられている。デザインの在り方や、アップルのデザイン企業としての成功など、を語っている。
ジョナサン・アイブがいないアップルが想像できるだろうか。彼がいなくなったらアップルはどうなってしまうのだろうか。彼抜きでiMacもiPhoneもiPadも作れなかった。

アップルの成功において不可欠だったのはスティーブ・ジョブズではなく、ジョナサン・アイブなのかもしれない。

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