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似非ロシアン式、倒木の撮り方

承前(以降、↓の投稿を共有元と呼びます)
https://www.instagram.com/p/BwZeJ5IAfxS/

共有元のコメント欄(承前としたInstagramではなく、MeWeのほうですが)で倒木の撮り方に悩まれている方がいたので、役に立つかまったく分かりませんが、ちょっとでも参考になればいいなくらいの感じで私の撮り方などを。
「撮り方」と言ってもあくまで私のやり方なので、それが正しいとかそういうことではないですけどね。

さて、美的なセンスに欠ける私のような人間にとっては、自然風景って写真にするのが難しいものではあると思います。
もちろん「自然」と言っても色々あって、ミニマムといいますか、対象が明確に決まっている物や生き物なら撮りやすいんです。
けど、倒木を含んだ風景のような比較的広い風景や群像なんかは、これがなかなかに撮るのが難しいんですよね。
私の場合、そういう風景を”撮ろう”と意識しちゃうと、大抵、一枚も満足に撮れずに帰ってくることが多々だったりします(途中で他の物に気を取られて、気付いたらぜんぜん別のことをやってたりするせいも大いにありますが)。

ただそういう風景も、意識して撮りにいくのではなく、出会って感銘を受けたものを撮る場合は、必ずその風景なりに感銘を受けた理由ないしはポイントがあるわけです。
そこを明確に意識できると、大きな風景をあたかも主役の決まったミニマムな風景(例えば昆虫を撮る場合)のように扱えるようになるので、私みたいなダメーな理系人間でも撮りやすくなるように思います。

例えば共有元の写真の場合、全体的にはの写真のように見えていたんですね。

でまあ、序文と重複しますが、そういうとき私は「自分は何に感銘を受けたのか」を考え、そこを唯一のポイントとして絞り込むようにして撮ることにしています。
そうすることで、昆虫を主役に据えて撮っている時のような、或いはポートレートを撮っている時のようなミニマムな写真の撮り方を可能とするわけですね。
で、この風景の場合は、共有元のキャプションに書いた通り、私は「激しささえ感じる生命の名残のようなもの。その硬質さ」に感銘を受けました。
この風景の中でそれを感じさせるのは、明らかに幹が複雑に入り組み走ってる右半分あたりの部分です。
なので、単体で見れば魅力的な「裂けた幹の部分(添付画像の左側)」や、「倒れた傘またはキノコのような、倒木の形状の面白さ」は、涙をのんでさっ引いちゃいます。
つまり幹と枝ののたうち具合が一番顕著かつ硬質さを感じさせる右側だけを日の丸構図で撮って、その他の部分はフレームアウトさせました。
こうすることで、自分が魅力的に感じたモノだけを解りやすく説明できるようにしたわけですね。

――みたいな感じで、自分が魅力を感じた部分が一番顕著にかつ目立つような撮り方をすると、格好良く撮れるかはともかくとして、説得力は増しやすいのじゃないかなあと。

その他、上記内容とは全く別に、体裁を整えるという意味では……。
硬質な木を撮る時はカメラの設定または現像で、コントラストを高めにする。逆に朽ちた木のようにやや軟質な物を撮る時は、コントラストを少しだけ低めに。
暗い場所で感銘を受けたものを撮る時は、露出補正を使って暗めに撮る(現場のイメージを大事に)。
イメージセンサーが大きめの写真機で硬質な木を撮る時は、普通よりも絞り気味に(ものの質感、特に硬さというのは全体で表現するものなので、全体像がボケていると上手くいかないことが多いです)。
木の広がり自体を撮りたい時は、広角系のレンズで近付いて撮る。逆に枝の形なんかが面白いと思った場合は、ライカ判換算で50~85mmくらいの焦点距離のレンズで離れて撮る(パースによって肉眼と見え方が変わるのを防ぐため)。

ってあたりを意識すると、それっぽく、或いは格好良く撮れるようになるやもです。
まあこれ、いわゆる「格好いい写真」が陥りがちなリスクを孕んでもいて、あまりやりすぎると被写体それ自体の魅力が薄れ、あざといだけの写真になっていくので、他に何か伝えたいことがある場合は、見せたいモノと見栄えとのバランスが大事だと思いますけどね。

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