キャバレー・蟹・ギミック

金曜日は1限があるので唯一はやく家を出なきゃいけない特急に乗るために一駅だけ普通に乗らなきゃいけなく
この普通電車が乗り換えの駅に高校があるためやけに混む大学生活のほとんどを下宿で過ごし満員電車に耐性がないため
金曜日は朝から憂鬱だ

満員電車はなんであんなに入口だけギュウギュウなんだ
椅子の前とか空いてるじゃん
反対側のドアの方もスペースあるじゃん
もう少し詰めればあと数人入れるのに、と
一駅分頭の中はそれだけでいっぱいである

それでも最近それ以外のことを考えるようになった

それは、
社会人2年目で、いまだによく遊ぶ小学校からの同級生と電車が一緒だったからだ
電車が来るまでの5分間
その友達が乗り換える駅までの15分間くだらない話が朝に出来る
昔の遊戯王の話や
次遊ぶときの約束
向こうの仕事や自分の卒論のこと
そんなちょっとしたことを朝に20分間色々気にせず話せる時間がある
満員電車の中でも朝何を話そう、と
そんなことで頭をいっぱいにしている
それだけで早起きも悪くないなと思った


今回はその友達A君について


A君と会ったのは小学生5年生で
好きなものが一緒だったこともありものすごく遊んだ
つい最近
お互い小、中学校の中で一番遊んでる友達だったよねと話したくらい今でも仲が良い

A君はすごく人に好かれる
裏表があまりなく
ちゃんと自分の意見を持っている
A君はよく人を見ている
周りの評価で人を判断せず
絶対評価の軸を持っている
だがちゃんとその時その場に合わせて意見を合わせて変えていた
今思えばA君みたいな人をコミュニケーションが上手っていうんだろう
それを小学校の頃から出来てたんだから
最高にかっこいい

高校に上がってからA君ともう2人仲のいい共通の友達を合わせて4人でよく泊まりをしたり休日や年末もよく遊んでいた
自分だけ高校が違ったが4人全員の仲がいいので特に気にならなかった
その4人では24の代になってもよく遊んでいる


今年の1月

社会人1年目の3人が旅行に行きたいと言ったことがはじまりで
熱海旅行が計画された
自分は「留年分の学費を払わなきゃいけないからお金がないから3人で楽しんできて」
と伝えたが
3人で交通費と旅費を払うから一緒に行こうと言ってくれた
自分も行かせていただくことになった
感謝しかない
無料で旅行に行くのも申し訳なかったので
行きの車内のレクを考えて披露した
盛り上がってくれたから良かった
男4人の熱海旅行が始まった

温泉や観光を十分に楽しみ
一大イベントの夜ご飯で近くの居酒屋に入った
二十歳になってから4人では初めてお店でお酒を飲んで最高に楽しかった
そこでAくんが一万円する蟹をみんなにご馳走してくれて
最高の夜ご飯の思い出が人生で最高に忘れられない最強の夜ご飯に変わった
次に旅行行くときは順番で3人のうち誰かが高くて美味しいものを奢ろうと約束したのが楽しくてしょうがなかった


これが物語ならそろそろ嫌な展開を迎え
一人死ぬんだろうけど
現実は小説より奇なりなんてことはめったに起きず
夜カタンをして
次の日地元のラーメン屋で夜ご飯を食べ
近くのカラオケで遊んだ

最後まで楽しさたっぷりだった

これからもいつでも学生のときの気持ちに戻れる3人と色々遊ぶのが楽しみだ

まだ俺だけ学生だけど


「善良な中年の欲求は狂った思春期の熱を帯びる」
と山田亮一さんが言っているように
まだ中年でもないが思春期を感じたくなっているんだと思う

頭の中全てからっぽになって楽しめる最高の思い出とともに

日頃の小さな偶然から出た幸せも大切にできる大人に

少しずつなれていたらいいなとあのとき食べた蟹にでも願ってみることにします

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