偶然の答え
ひ:ねぇ〇〇、〇〇はあの日私たちが会ったのって運命だと思う?
とある日の昼下がり、ふとそんなことを尋ねてくる隣に座った僕の彼女。
どうだい?かわいいでしょ。あげないよ。
〇〇:ぜっっったい運命だよ!僕はそう確信してるんだから!
ひかる、あの日僕と会ってくれてありがとう。
これからもよろしくね。
ひ:えへへ。こちらこそよろしくね。大好きだよ〇〇!!!
どうもみなさん、こんばんは。
今日は僕のかわいいかわいい彼女と付き合うきっかけになった出来事を特別に教えて差し上げましょう。
5月某日。
今日は3連休の最終日。
任されていたプロジェクトもひと段落し、3日間家でゆっくりしようかな...なんて思ってたけれど、甘いものが食べたくなり前から目をつけていたPARCOにある京都の抹茶スイーツが食べられるカフェへ。
「ご馳走様でした〜。美味しかったです。」
レジの店員にそう言ってお店の外へ。
〇〇:ん〜〜〜美味しかった〜!!!わらび餅に抹茶パフェ、お団子まで食べちゃった。ちょっと食べすぎたかな...。
ま、たまにはいいよね...?
14時過ぎか...。明日は仕事だし帰るか。
そう思いPARCOを出て、スペイン坂へ足を向けたその時だった。
階段を登ってきた女性とバッチリ目が合う。
お互いに驚いて目を見開いた後、小さな笑いが込み上げてきた。
〇ひ:「「 なんでここにいるの?!」」
なんて見事にハモってちょっとツボる森田さん。
かわいいな...。
〇〇:ちょっと甘いものが食べたくてね。
森田さんは?
ひ:わたし?わたしはねぇ、ポケセンに行くの!
〇〇:そっか、森田さんポケモン好きだもんね。
ひ:そう!見てよ、わたしのホゲータかわいくない?!
そう言ってスマホを見せてくる森田さん。
『君の方がかわいいよ。』
なんて心の中でつぶやいてみたり。
〇〇:え、めっちゃかわいい!
昔やってたんだけど、新しいのやってないんだよね。
やってみようかな...。
ひ:やろうよ!周りにやってる人いなくてさ、ちょっと寂しいんだよね。
〇〇:そっか。じゃあ買って帰ろうかな。
ひ:ほんと?やった!
そういえば、もしかして帰るとこだった?
もしよかったら、ポケセン一緒に行かない?
〇〇:いいの?行きたい!
ひ:よし!じゃあ、れっつご〜!
というわけで、さっきひとりで出てきたPARCOに今度はふたりで入ることに。
ひ:ん〜〜〜いっぱい買っちゃった!!
付き合ってくれてありがとね。楽しかった。
そう言って微笑む彼女を見て、胸が高鳴る音がした。
僕、森田さんのことめっちゃ好きじゃん...。
〇〇:こちらこそ楽しかったよ。
ありがとう。
ひ:じゃあそろそろ帰りますか!
ひとりで来た道をふたりでゆっくりとセンター街の方へと歩く。
ひ:もし誰かに見られたら誤解されちゃうね。
〇〇:え、あ、うん。そうだね。
いや、待てよ...。
それアリじゃないか?
あした会社で冷やかされるの、アリだな...。
この世に意味のない出来事なんてなくて、
偶然、今日、ここで会ったことにきっと意味があるんだ。
いつもなら言えないけど、今日、今なら言える。そんな気がする。
センター街を抜け、スクランブル交差点へ。
〇〇:ねぇ、森田さん...。
僕たち、このまま付き合っちゃってもいいよね。
なんて少し怖気付いて冗談ぽく言ってみたけど、どうだろう。
横目で彼女の様子を伺う。
僕より少し低い位置にある彼女の首が縦に振られた気がした。
本気にしていいってことなのかな...。
どちらからともなく手を繋ぎ、ふたり無言のまま交差点を渡り、ハチ公の前で立ち止まる彼女。
急にこっちを向いて、
ひ:ひかる。
〇〇:え?
ひ:わたしのこと。
“森田さん”じゃなくて、“ひかる”って呼んで。
じゃ、またね。
そう言って少し赤くなった頬をチラリと覗かせ、トコトコと小気味良い音とともに去っていくひかる。
彼女がハチ公口改札をくぐり、見えなくなって漸く我に返り、僕も帰るため地下鉄のホームを目指して歩き出した。
〇〇;次に会うときは偶然じゃなくて、必然がいいな。
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