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宇佐美慶

安定した強さで常にポイントランキングのトップ10内をキープする宇佐美慶プロ。好不調の波を表情に出すようなことはあまりなく、常に自分のペースを冷静キープ。ハートの強さを感じさせる選手だ。

宇佐美プロは、どんな気持ちでダーツに向き合っているのだろうか。その強さの秘密を知るべく、ダーツをはじめたきっかけから話を訊いた。

勝負ごとだからダーツはおもしろい

「大学を辞めさせてほしい」。宇佐美プロはそう言って両親に土下座をしたことがある。大学を辞めるようと決意した理由は、ダーツショップでスタッフとして働きたいから、ダーツの世界にどっぷり浸かりたいから、だ。宇佐美プロのただならぬ様子に、両親はその申し出を受け入れざるを得なかった。

宇佐美プロがダーツに出会ったのはいまから14年ほど昔のこと。アルバイト先の先輩に誘われてダーツショップに遊びに行ったのがきっかけだ。ダーツで遊んでみて、宇佐美プロはその魅力にすぐにハマっていった。

「ダーツはそのときが初体験でしたがすぐにハマりました。的を狙う感覚がすごく楽しくて。あと、勝負ごとであるという点にも魅力を感じました」

美しいフォームで投げる宇佐美プロを見ていると、もともとダーツのセンスが備わっているタイプのように見えるが本人はそれを否定する。

「最初は下手でしたよ。ダーツショップに僕を連れて行ってくれた先輩にも勝てない。それがくやしくて、それでハマったんですよ」

宇佐美プロは自分のことを、“熱しやすくて冷めやすいタイプ”だと話す。

「高校生や大学生の頃はバンド活動をしていました。バンドもダーツに負けないくらい、かなりのめり込んでやっていたと思います。でも、ダーツに出会ってからはまったくやらなくなりました。ひとつのものに集中したいタイプなんですよ」

ダーツをはじめる前は、脇目も振らずにバンド活動に打ち込んできたという宇佐美プロ。そんな宇佐美プロの姿を見てきたからこそ、両親も「大学を辞めさせてほしい」という申し出を受け入れたのかもしれない。そんなふうにして宇佐美プロのダーツプレイヤーとしての歩みがはじまった。

プロとして“勝つダーツ”に徹したい

現在のスタイルはダーツショップのスタッフになる以前に培われたものだ。

「ダーツショップで働きはじめる前は毎日8時間くらい店に通って練習していました。その時はお金を借りてまで投げていましたね。その頃に基礎ができたと思っています。それだけ練習していたので、ダーツも日を重ねるごとにうまくなりました。スランプもとくには経験したことはありません」

JAPANでは2010年からずっとトップ10圏内をキープ。2014年度は初めて年間2度目の優勝も経験と確実な前進を見せている。

「自分の成績を振り返ると毎年“もっとできたんじゃないか?”という想いが沸き上がります。2014年度ははじめてツアー2勝目を挙げましたが、でも、それで満足できたかと言えばそんなことはありません。この先もずっと、“もっとできたはず”という想いを抱き続けるんでしょうね」

宇佐美プロのダーツには静けさがある。冷静に、淡々と投げる印象が強い。プロとして、どんなプレイヤーを目指しているのだろうか。

「理想とするプレイヤー像はありません。“こんなプレイヤーになりたい”という想いは、ある意味エゴなのではないかという気がしていて。あくまでスポンサーや応援してくれる人がいてこそのプロ。みなさんに喜んでもらうダーツをすることが大事だと思っています」

みんなが喜ぶダーツとはどんなダーツなのだろうか。

「勝つダーツです。内容どうこうよりまずは勝ちにこだわりたい。勝負に勝たないと見てもらえないので、どんなに泥くさくても、勝ちにいく姿勢は持っておかないと」

静かな語り口の宇佐美プロ。しかし、その口調とはうらはらに、勝負に対する想いには熱いものがある。

まわりの人が応援してくれたから続けてこれた

2014年10月31日~11月2日にかけて開催されたTHE WORLD STAGE 4と同時開催となったDARTSLIVE USA OPEN 2014 (米国・ラスベガス)では、村松治樹選手とペアを組んだダブルス戦で見事優勝を果たした。

「あのトーナメントはすごく楽しかったですね。アメリカの名だたるダーツプレイヤーとの対戦することができたので、毎試合、夢中になって楽しむことができました。村松プロとのペアということもあり、“勝ちたい”という想いも強かった」

決勝ではゴードン・ディクソン選手とDJセイヤー選手のペアと対戦。ファイナルレグまでもつれて、勝負を決めたのはたったの1ブル。文字どおり手に汗にぎる試合で観客を魅了した。

「ゲームショットは村松プロが決めてくれました。僕は淡々とやるべきことをやっただけ。どんな状況でも冷静にダーツができるところが、僕らしさなのかもしれません」

クールだが、応援してくれる人たちへの想いは、いつも胸にある。

「多くのプレイヤーがそうなのかもしれませんが、僕は誰かに求められてプロになったわけではありません。ただ、自分が好きだからやってきた。でも、応援してくれる人がいたからこそ、続けることができたんだっていまは思えるようになりました。いろいろなチャンスをいただけたからこそ、いまの僕があると思っています」

優勝すると必ず、両親から電話がかかってくるのだそう。

「無理言って大学を辞めさせてもらったのですが、そのときの決意が嘘じゃなかったことを伝えられてよかったと思っています。両親もダーツプレイヤーとしての僕を認めてくれているみたいで、それはとてもうれしいです」

ダーツにはまってから14年。いままで一度もダーツ熱が冷めたことはないと話す宇佐美プロ。そのストイックなスタンスで、これからもJAPANをリードし続けてくれるに違いない。

-Profile-
宇佐美慶(東京都)
2014年間ランキング:8位(STAGE 14 終了時点)
スポンサー:Green Room / L-Style / THE DAY

JAPAN STAGE 15 京都
12月20日(土)13:30よりLIVE中継スタート
http://dartslive.tv/

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