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個人の働き方改革 -これを読めばすべてわかる経験者が語る新卒でも海外の現地企業で働ける方法-

はじめに

海外で働くというとどんなイメージを抱くだろうか

「華やか」とか「楽しそう」などのポジティブなイメージを抱くが、その反面、「雇われるのが難しそう」とか「ミスをするとすぐクビになる」などといったネガティブなイメージを抱くのではないだろうか。

確かに、海外で就職するのは簡単ではない。日本で希望の会社に就職することも簡単ではないが、海外就職には「労働ビザ」という大きな壁がある。また、言語の壁もある。しかし、不可能ではない

僕は私立の4年制大学を卒業して、そのまま新卒で中欧ハンガリーのIT企業に正社員として就職した。決して大きな会社ではなく、従業員は全員合わせて40人前後といったいわゆる小企業で、日本人従業員は僕が初めてとのことだった。

そのIT企業で僕は日本語と英語の通訳や翻訳、ITテスターとして働き、仕事ぶりは上司や社長から認めてもらえた。このように書くと、僕のことを帰国子女やITの専門的なスキルがあったと考える人がいると思うがそんなことはない。

大学ではフランス語を専攻し、約1年間フランスの大学に留学した経験はあるものの、英語に関してはほぼ独学で身につけ留学経験もない。ITスキルについてもWordやExcelの使い方など基礎的な知識しかない。つまり、平凡な大学生だった

そんな特別なバックグラウンドやスキルがない僕でも新卒で海外の現地企業で就職することができた。そして、ミスを犯してもクビにされず今もなおハンガリーで仕事をしている。

では、海外で働きたいと思った場合、僕のように職歴や特別なスキルがなくて、新卒でも全員が全員、海外の現地企業で就職できるのだろうか?条件はあるが可能だと思う。

本書は、僕の経験をもとに海外の現地企業に就職する方法を書き、海外就職を考えている全てのひとの助けになることを目的としている。

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① 労働ビザの話 -海外就職における最重要項目!これがないと働けない-

労働ビザは海外就職において最も重要なことである。これがなければ海外で働くことはできない。ところが、近年、ヨーロッパでは外国人労働者に対する姿勢が非常に厳しくなっており、ビザを出してくれる会社は非常に稀である。

僕はハンガリーのほかにフランス、ドイツ、スペイン、ベルギーの現地企業に対しても就職活動をしたが、採用を断られた理由の8割は労働ビザの問題だった

一般的に、レストランも含め企業はまず自国民を優先的に雇用しなければならない。もし外国人を雇用したい場合はその理由を移民局に説明し、それを移民局に認めてもらわなければならない。

つまり、いくら企業側に採用の意思があっても移民局がそれを認めなければビザは出してもらえないのである。

また、外国人を雇う場合、企業が国に払わなければならない税金は非常に高い。中小企業にとってはもちろん大企業でもかなりの負担になる。なので、よほどのことがない限り企業はビザの持っていない外国人を正社員として雇おうとはしない。 

そうすると、労働ビザをあらかじめ持っていないと海外で働くことは絶望的なのかと考えるかもしれないがそうでもない。僕は実際ハンガリーで3つの異なる会社で働き、3社とも労働ビザを出してくれた。したがって、不可能ではないということである。

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では、どのような類の企業がビザを出してくれるのか僕の就職活動の経験から分析してみたい。

まず、飲食店であるがこれはかなり厳しい。僕はハンガリーとフランスで主に個人経営の大きなレストランから小さなレストランまで数十社に履歴書を送ってみたが100%ビザの問題で断られた。

レストランの仕事は大きく分けて接客と調理の2つに分けられ、レジも含め接客業は外国人を雇わなくても自国民がそのポストで仕事ができる。したがって、仮に外国人を企業側が雇いたくても責任者以外のポジションで接客のポジションだと移民局が首を縦に振らない。

では、調理はどうだろうか?これは接客よりもかなりチャンスがある。というのも、調理は誰しもができることではないからだ。しかしながら、調理のポジションで応募する場合、ほぼ必ず調理経験が求められる。しかも、ほとんどが3年以上の長期の経験である。

例えば、日本食レストランの場合は「寿司やてんぷらのお店で調理師として働いた経験が3年以上」といった条件が求人票にはほとんど記載されており、お店によっては調理師免許が必須のところもある。

また、フランスのレストランではソムリエやパティシエを募集していることがあるが、これも「ソムリエとして3年以上の経験があるものに限る」など条件があることがほとんどである。

稀に「未経験者でも可」というレストランもあるが、その場合は「労働ビザ所持者に限る」といった但し書きがあることがほとんどだ。

実際に日本人の方がパリでやっているレストランに履歴書を送った際の返信を載せておく

「こちら、とても労働ビザ取得が難しい国です。
(実際にはパリは特にと言ったほうがいいかもしれません)

他のレストランはあまり分かりませんが、大概の場合、最初からビザを持っている人(結婚などで)を雇用、学生ビザもしくはワーキングホリデーなどで最初働いて、信頼を得たのち労働ビザへの変更申請、というケースが
多いのではないかと想像します。

現在、当店でも一名学生ビザからの労働申請を出しているのですが、3月末に提出したものが11月現在いまだに返事ないままの状態です。
(来週あたりにまた統括機関である県庁に問い合わせに行こうかと
思っています)

もし、本気でフランス、パリにて働きたいと思っていらっしゃるのであれば、まずは学生ビザ、もしくはワーキングホリデーからのスタート(どちらかというと学生ビザをお勧めします)がいいのではないかと思います。

そうでなくて、もし、フランス以外、欧州どこでも大丈夫という場合は、上記のように、比較的労働ビザが出やすいドイツなど検討されてもいいかもしれません。

最後に、履歴書を拝見させていただいたところ、飲食での調理師としての経歴を伺うことが出来なかったのですが、さらに、経験のない方の場合、お互いのことを知らない状態で、ではビザ申請をしましょう!というのはなかなか難しいのが正直な心情です。
(もし、そういう店、会社がいたらむしろ怪しいんだほうがいいのでは
ないかと思ってしまいます)

また、フランスで会社が従業員への労働ビザ申請をする場合、沢山の資料提出、弁護士費用、時間、沢山のかかります出来れば、2,3年に一回くらいにしたいというのが実際の本音です。ただ、会社も本当にいい人材で、かつ信頼できる人だと判断した場合、それだけのエネルギーを使っても申請する判断に至るのではないかと思います。

フランスで飲食をやっていると、割と多い頻度で、フランス以外の国からの求人問い合わせを頂きます。今回のように、丁寧にビザに関する困難さを説明差し上げるのですが、それから、実際に話が進んだ経験はございません」

これが採用する側のリアルな声である。

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