協会けんぽの傷病手当金申請書から代理受領の場合の記載欄が削除される

協会けんぽの傷病手当金の様式が変更される

2023年1月から協会けんぽの傷病手当金申請書の様式が変更され、代理受領をする場合の委任文言などの記載欄が削除されました。

この様式の変更を受けて、代理受領ができなくなったという趣旨の説明をしている例も散見され、実務担当者に困惑が広がっている模様です。

代理受領の法的規制と厚生労働省の説明

法的には、代理受領は単なる受け取りの代理で特に規制がないわけですので、様式の変更でもって代理受領を禁止するということ自体は本来考え難いところです。
これを裏付けるように、労働新聞において、厚生労働省は代理受領を禁止した趣旨ではないと説明していることが報道されています(労働新聞2023年2月10日付16面)。

傷病手当金の代理受領の機能と今回の様式変更の関係

傷病手当金を受け取るということは、私傷病で働けないということですが、この間も健康保険料が免除になるわけではないため、会社は本人負担分を給与から源泉徴収できない以上、何らかの方法で回収する必要があります。これを簡便に実現する一つの手段が代理受領で相殺してしまうというものでした。
今回の様式変更の背景には、そのような使い方にとどまらず、悪用されている実態があることが指摘されています。
そのような事情もあり、従前から、代理受領を認めない運用をしている都道府県支部があったり、今回の様式変更でも、旧様式も使えるとするものの、新様式でないと時間がかかるなどと言及している例が出ています。
悪用事例に対する対処が必要だとしても、法的には規制しようがない仕組みであるはずなので、様式変更のような運用変更でやりにくくすることで勧めようとすることは妥当とは言えないように思われます。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat297/q&a/

なお、このような様式変更は、協会けんぽで行われたもので、健康保険組合では確認した限りでは特に追随しているようには見受けられませんでした。

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