見出し画像

『アベンジャーズ/エンドゲーム』バッキーのラストの役作りと、盾を継承出来なかった心境を語る。ブラッシュアップ

この状況で「暇を持て余したソー」みたいになっている、管理人ジャポです。そんな今、愛知県民のソウルフード"モーニング"で愉しみましたよ。

さて、本題です。
初めに言っておくと今日は長いですよ。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)は、いくつもの物語に区切りをつけた。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)から始まったスティーブ・ロジャースとバッキー・バーンズの物語もそのひとつだ。

公開から1年が経ち、バッキー役のセバスチャン・スタンが、ラストの役づくりを明かした。米The Hollywood Reporterでは、セバスチャンによる物語とキャラクターの解釈、ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー(原題:The Falcon and the Winter Soldier)」に繋がるキーワードがじっくりと語られている。

「最後までとことん付き合うよ」。スティーブ・ロジャースとバッキー・バーンズにとって、お互いは唯一無二の存在だった。
1930年9月15日、まだスティーブがひ弱な青年だったころに出会った。バッキーがヒドラの洗脳を受けて、暗殺者ウィンター・ソルジャーになった後は、ともに“現代まで生きてきてしまった”という運命を共有している。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)では、かつての親友を取り戻す為、そして『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で、親友を守るため、スティーブは奔走する。

『エンドゲーム』で、スティーブはインフィニティ・ストーンを元の場所に戻し、ひとり過去の時間に戻り、新しい人生を歩む。

「自分の人生を生きるのもいいかなと思ったんだ、トニーが言ってくれていたように。」

留守中 バカはするな
バカがいないと できないだろ

抱き合うふたり...

気をつけろよ
大丈夫だ バッキー

バッキーはスティーブの意志を知っていたんですよね?インタビュアーの問いかけに、セバスチャンは、
「もちろん。僕もお別れをするつもりで演じました」と語っている。

ふたりは、お互いの行動をずっと理解し合ってきました。お互いのことがよく分かっていて、そういうことが脚本に書かれていたので、そのまま撮りました。僕は、“あいつは向こうに行ったら、もう帰ってこない。でもそのことは言えないな。もし言ったら彼ら(ブルースやサム)は、スティーブのやりたいことを止めるだろうし。まあ、俺は応援してやらなきゃ”という思いだった。だけどその後、いきなり戻ってきた時には、“そんなつもりとは聞いてなかったぞ”って感じ。向こうに行って、盾をどうするのかは知ってたけど、また戻ってきて、しかも年を取ってるなんてね。」

アンソニー、ジョー・ルッソ監督は、かつて「キャップとバッキーの物語が魅力的なのは、それが一種のラブストーリーだから」と語っていた。
「ふたりは一緒に成長したし、兄弟のように──もしくはそれ以上に──気持ちが繋がっている。それはバッキーが、スティーブが成長する上での全てだったからでもあります」。ルッソ監督と『ウィンター・ソルジャー』からタッグを組んできたセバスチャンも、自身の解釈を近い視点から深めてきたのだろう。

スティーブとバッキーに『エンドゲーム』で長い時間が割かれなかったことや、曖昧さをはらんだラストになったことには一部で意見が分かれた。これについて、セバスチャンは「ふたりの関係をもっと描いてほしいと思われていたんですよね」と理解を示しながらも、同時に「僕はそうは思わなかった」との意見を語っている。

「あのシーンは、背景に隠されている文脈があまりにも多いですから。それに、3時間ですべてを収める必要もあります。いろんな物語をひとつにする以上、全員がお別れを言うだけでも映画を1本作れそうですよね。みなさんが二人を大事にしてくれたこと、もっと観たいと思ってくださったことは、本当にうれしいけれど、僕は“これが精いっぱいの時間なんだ”と受け止めました。」

またセバスチャンは、俳優として「僕はセリフで語るシーンも好きですけど、多くを語らないシーンもすごく面白いんです。変な話、バッキーってそういうところがありますよね」とも話している。「僕らは人の振る舞いや目を見て、どんなことを考えているのか知りたいと思う。積極的に関わって、思いを寄せる。だから僕も、セリフなしで、なるべく多くのことを語りたい。それがいつだって楽しいんです」。

スティーブは盾を、サム・ウィルソン/ファルコンに託した。しかし、そもそもコミックではサムもバッキーもキャプテン・アメリカを名乗っているだけに、どちらが盾を継承してもおかしくなかったのだ。事実、脚本家のクリストファー・マルクスは「(バッキーに託すことも)検討しましたが、すぐにボツにしました」と明かしている。なぜなら「キャプテン・アメリカは理想主義だから。“我々が善き人々であるならば、一体なにができるのか”です。サムはそれができるけれど、バッキーはまた違う。」

では、バッキーは“盾”についてどのように考えていたのだろうか。

セバスチャンは「僕のお粗末な考え方ですけど、MCUとコミックはちょっと違います」と述べて、自身の演じるバッキーは「盾を引き継ぐことへの願いや葛藤はなかったと思う」と話した。

「ようやく、バッキーは自分が望んでいた場所にたどりついたのだと思っています。それはヒドラから解放され、やり直すということ。人生の再出発です。自分が何者かをもう一度発見し、過去をすべて忘れる。もちろん、すべては起こったことですが、誰しも自分の失敗や過去をどこかで忘れなければならない時、やり直そうとする時がある。それが『エンドゲーム』ラストのバッキーだと思います。

また、バッキーがスティーブに求めていたことでもある。キャプテン・アメリカになったスティーブの人生には、途轍もない大きな影響が出ていた。だから自分もスティーブもやり直すんだという思いがバッキーにはあったんじゃないでしょうか。それは必ずしも、盾がどうこうではないと思います。

スティーブは過去に戻って、“自分のためになることをしよう”と思った。“これまでは人々のために全力を尽くしてきたけど、今は一人の人間として、過去に戻って自分の人生を生きよう”と。

それは、バッキーが親友にやってほしかったことだし、同時にスティーブも、バッキーには“お前も自分の道を行ってくれ。盾はお前には任せないから、それぞれ自分の人生を生きよう”と言っているんです。軍に入った1940年代から、自分たちの人生を取り戻すんだって。『エンドゲーム』のラストでは、スティーブにせよ、バッキーにせよ、盾は大きな問題ではないんです。」

ちなみに、セバスチャンは「サムこそが(盾を)引き継ぐにふさわしい男でしょう。それだけの理由がありますしね」と話している。しかし、“盾”が人生の問題をある面では象徴しているのだとすれば、その継承は並大抵のことではなさそうだ。事実、今後のサムについては「もちろん(継承すること以上の)重荷があるわけで、それはドラマで描かれることになります。それがDisney+を観るべき理由だと思いますね」と笑っている。

ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー(原題:The Falcon and the Winter Soldier)」は2020年8月、Disney+にて米国配信予定。撮影は中断されており、配信が予定通りスタートするかはわからないが、『ソー/ラブがサンダー』(2022)の監督、脚本を任されているタイカ・ワイティティは、MCU作品が軒並み延期されている事で、内容をブラッシュアップしているとのこと。悪い事ばかりではない、この現状も悪い事ばかりではない。バッキーの新たな物語が、新たな人生が描かれることは確かだ。これまでの物語を見直しながら、来たる展開に備えたい。

このふたりにも、隠された文脈が多い。

(相棒の)俺も一緒に行こうか?

ありがとう サム
でも(必ず帰ってくる。(帰ってきた自分は、どうなったいるかわからないから)信頼できるサムに、僕の盾を渡したいから、これは)僕の仕事だ。こう読み取れないだろうか。

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で、パラシュート隊から、退役軍人省で勤めていたサムは、「慣れた夜間の降下救出任務の最中、相棒のライリーを撃墜で亡くし、それ以来戦う意味を見出せなくなった。」と話している。サムは、経験を生かし退役兵へのカウンセリングを開き、悩みを親身に聞き、また癒していた。

カウンセリングと言えば、『エンドゲーム』で農園"THE PLANET 0259-S"で、隠居生活をしていたサノス倒しするも、生命や仲間の半分を取り戻す事が出来ず、その後5年後の2023年では、スティーブは、生き残った人々にカウンセリングをしていた。

サム、スティーブと同じアメリカの軍人であり、アベンジャーズだし、よく似ている。

『キャプテン・アメリカ/シビルウォー』(2016)では、ソコヴィア協定に調印するかどうかの話し合いでは、"ここには意思決定プロセスがない、チェックを受けるべきだ。"と考えるトニー・スタークに対し、
"犠牲者が出たら諦めるのか、それは責任放棄になる。選択の権利も失う、行くべきではない所へ行けと命じられたら?僕ら自信で決めた方が まだ安全だ。"と意見するスティーブに、サムは同調した。

チームキャップに就いたサムは、『アントマン』(2016)で、すでにオーディション済みだったスコット・ラングをスカウトするなど尽力した。ラフト刑務所を脱獄した後、シークレットアベンジャーズとしても活動した。

盾の継承は、洗脳に未だ不安があるバッキーではなく、これまでのスティーブの経験から、サムが適任だった。『シビルウォー』で自ら冷凍保存を申し出ていたバッキーの行動で、おとずと理解できる。いずれにせよ、今後のドラマでの、ふたりの活躍、ラブストーリーが楽しみでならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?