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全米35州で再び感染が広がる今

Juneteen(6月19日・奴隷解放記念日)以降、一旦デイリー会見はストップしたクオモ州知事だったが、このところ、全米35州での感染が再び増加傾向、及びプロテスト後の警察問題など相次いだトラブル発生で、再び一昨日に引き続き、今日は長時間の会見が行われた。

まず、NYの現状としては、現在第2フェーズまで都市はオープンしているけれども、その状況は、基本的な都市機能が回復した状態からはまだ程遠く、引き続き不便な状態が続いている。もちろん人が集まる類の事柄は、当分はオープンにする予定はない。

恐らく、テレビで見る限りでは、みんながSocial Distanceなど頭にない感じで抗議デモを続けているので、さも街は普通の状態に戻っているかのように想像してしまうかもしれないけれども、それはプロテストの中だけの話であり、実際には街が普通に機能しているのとは違う。

第2フェーズでは、何とかオープンレストラン(サイドウオークなどに机や椅子を置いてSocial Distanceを十分に取れる状態で飲食する)は許可されたものの、ロックダウンだけでなく、その後のプロテストから暴動に至る被害が大きかったせいで、恐らくその状態まで何とか持ち込めたレストランは全体の40%から50%程度ではないかと思う。そして、マンハッタンはブルックリンやクイーンズなどと違い、人も多くサイドウオークも狭いので、場所によるかもしれないけれど、そういった距離が取りにくい店では、座席が圧倒的に少ないせいもあってか、それほど多くの人が積極的に飲食している感じにも見えない。(ちなみにブルックリンの十分にスペースがある人気のオープンレストランでは、2時間待ちだったりもするようだけど)

そして、死者数、感染者数ともにピーク後の現在は横ばい状態のNYでは、来週からは第3フェーズになる予定で、その中には50%以下の顧客数であれば、店内での飲食可能、という条件が入っていたのだけれども、現在リオープンを早まった全米の他州にすごい勢いで感染が飛び火している状況や、多くのNYのバーやレストランなどでは、プロテスト後にマスクやSocial Distanceが再び無視されている現状と重ね合わせて考慮された結果、店内の飲食許可は、今回は見送られることになった。

とりあえず、夏の間はオープンレストランという状態にすることが可能なので、それを利用しない手はないという判断もあったのだと思う。

そんな街の状況をよそに、George Floyd氏の事件以降広がった巨大過ぎるプロテストは黒人差別から警察の暴力問題、そしてゲイ差別の問題と人権運動が膨らんだ挙句の果て、今や”Occupy Cityhall"だ。

つまり、今回のパンデミックの歳入不足を始め、Floyd氏の事件によって、市民の警察に対する不満が更に爆発した部分もあり、市長が前述した警察への予算削減発言に責任を取れと言わんばかりに、この期に何としてでも出来うる限り多くの予算削減を行うべきという断固とした訴えの人たちが市長官邸であるGracie Mansionの前でプロテストを行い続けた後、ここ数日は、Cityhall(市庁舎)の前に泊りこみで集結している状態だ。

幸い、昨日の段階で10億ドルの警察の予算削減が合意されて一段落したかと思ったのだけれども、それではまだ納得が行かないと、未だに雨の中、泊まり込みのプロテストを行い続けている人たちもいる。

一方警察職員たちは、この決議に不満を訴え、ストライキ行動を起こしたりもしている。この街で警察がストライキを起こしてしまうというのは、市民にとってはかなりの痛手にもなってしまう。しかも、プロテスト後に暴動が起こって以降、連日どこかしらで発砲事件が起こったりと、街の治安は確実に悪化してしまっているのだ。

そして今日の会見でクオモ氏は、やはり、以前に引き続き、今回のことは市民と警察との関係性、信頼関係を新たに作り直す最大の変革の時だと訴えた。フロイド氏のことをきっかけに、様々な場所でプロテストが起こり、今までみんなが納得しないままに存在していた差別行動を始め、矛盾の中で続行され続けて来た様々な人権無視にも繋がるシステムが信頼関係の欠如を生み、それに対して声を上げることが、状況を変えていくための、最初の重要な産声であると熱く語った。

クオモ氏としては、先にサインした警察法の改革に対し来年の4月までの時間にみんなが塾考して考えを知らせることがまずは最重要だと主張している。

現在はまだ、Cityhallの前に占拠する人たちは残っている状態だけれども、クオモ氏が言うように、全ては人間同士の信頼関係でしか始まらないので、それを取り戻すために私たちが今、何ができるのかを真摯に考えていく事は、これからの世界のあり方にも重要な影響を与えていく事柄に他ならないと思う。







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