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エンジニアからDXリーダーへ。JAPEX渡邉 一成さんが語る「新しいもの」への探求心

JASPER note編集部の高瀬です。インタビュー企画「Bricolageの先駆者たち。」の第二弾です。

第一弾は石油資源開発株式会社(JAPEX)の経営企画部副部長の堤 建城(つつみ たてき)さんにインタビューを行いました。「経営課題を明確にし共通認識を持たせることがDX推進のコツ」とおっしゃっていたように、強いビジョンでチームを引っ張っていくようなリーダー像が印象的でした。

今回インタビューするのはJAPEX経営企画部デジタル戦略グループ長の渡邉 一成(わたなべ かずなり)さんです。エンジニアとしてキャリアをスタートし、今はDXを推進するリーダーの役割を堤さんから引き継いでいます。

私の手前勝手な意見ですが、DXはキラキラしたイノベーティブなイメージエンジニアは質実剛健で職人気質なイメージがあります。両者には距離があるように感じますが、渡邉さんはどんなことを考え、どのようにDXを推進しているのでしょうか?

これまでのキャリアを振り返りながら渡邉さんの内側に迫りました。

石油資源開発株式会社 渡邊一成さんのプロフィール

DXに興味は無かったが、新しいものに興味があった

ーーこれまでのご経歴や仕事内容を教えてください。

大学で資源工学を学んでいて、その経験を活かしてJAPEXに入社しました。入社してから10年程度は地下に石油などが溜まっている場所である”貯留層”を対象とするエンジニアとして働いていました。その後、経営企画部に異動して、現在はデジタル戦略グループでグループ長として全社DXの推進を担当しています。

ーーエンジニア時代のお仕事の内容を詳しく教えていただけますでしょうか。

貯留層の中に石油や天然ガスがどこにどれくらい溜まっているかをシミュレーション※¹し、開発計画を立てることが主な仕事です。

また、地中に埋まっている石油や天然ガスを取り出すために、新しい井戸(坑井)を作るプロジェクトの立ち上げも担当しました。会社に投資意思決定をしてもらうために、チームを率いて提案を行いました。

※¹貯留層シミュレーション技術-石油資源開発株式会社

ーープロジェクトマネジメントを行う上で苦労などはありましたか?

社内の合意形成が大変でした。今までとは違う新しい技術の活用に挑戦したいと思っていたのですが、実際に坑井を掘る部門の方々は確実に掘り上げることが使命です。リスクのある挑戦を納得してもらうために説得が必要でした。

考え方を変えてもらうための必殺技は無くて、少しずつ説得して納得してもらいました。最終的にそのプロジェクトへの投資が決まり、現在は掘削作業中です。

ーーそこから今のDXのお仕事に異動されたのですか?

はい。その後、経営企画部に異動しました。数か月間は他のグループにいましたが、デジタル戦略グループの立上げに際してグループ長に就任し、現在まで全社DX推進を担当しています。

異動前からDXに興味があったわけではありませんでしたが、新しいものをやってみることには興味がありました。エンジニア時代にプロジェクトを立ち上げる際も新しい技術にチャレンジしましたし、正攻法とちょっと違う、新しいやり方で攻めるのが性に合っているのかもしれません。

エンジニアとしての自分もDXのリーダーとしての自分も「変わっていない」

ーーエンジニアから企画の仕事に変わったことで、働き方や考え方の変化はありましたか?

エンジニアとしての仕事とやり方は同じだと感じます。プロジェクトをリーディングする立場として、関与者との合意形成を図る部分などこれまでの経験を活かせることは多いです。

考え方の面で言うと自分が先駆者であるという意識を持って仕事ができるようになりました。これまでは社内のどんな業務においてもエキスパートがいて、自分の仕事に自信を持てなかったのですが、DXは会社としても初めての取組みなので新しい気持ちで向き合えています。

ーー堤さんへのインタビュー※²で「DXを通して渡邉さんやチームが変わった」という発言がありましたが、渡邉さんご本人はどう思いますか?

私もチームも変わっていないと思います(笑)。

私の会議での発言が増えている様子をみて変わったように感じるかもしれませんが、元々自分が知らないことに対して無責任に物事を言えない性格なんです。

DXの取り組みを通してだんだん知識が蓄積されてきたことで、会議でも積極的に発言できるようになりました。とはいえ、まだまだ不十分だと思っていて、コメントや判断を求められる場面で対応できていないと感じることもあります。

チームの雰囲気も、最初から新しいものに取り組むことを楽しんでいる状況で何かガラッと気持ちや意識が変わったとは感じていません。DXは既存事業と異なり社内に事例が無いので、自分たちの考えで判断し進めていけることが分かってきたというのはあるかもしれないですね。

※²「Dは知らないがXはできる」DXに心臓を捧げるJAPEXのリーダーの思い|Jasper

地道にDXを社内に広げ「みんなで同じ夢を見たい」

ーーそうなんですね(笑)。それではこれから自分やチームの中で変えていきたいと思っている部分はありますか?

私個人としてもチームとしても、想像力や未来を発信する力をつけたいと思っています。

私たちのチームはDXを楽しみながら取り組んでいますが、全社的にはまだDXは浸透していません。取り組みを広げるために知ってもらうことが必要です。

そのための活動のひとつに、Notionを活用した社内向けブログを始めました。DXの取り組みやその楽しさをカジュアルに発信しています。

こうしたチャレンジを地道に続けることで、DXを社内に広げみんなで同じ夢を見たいと思っています。

ーーインタビューを通して、渡邉さんの丁寧に、地道に物事を進めていくようなリーダー像が見えてきました。

そうですね。自分にあっているのはそういうリーダーだと思います。強いリーダーシップでメンバーを引っ張るというよりは、みんなで一緒に進んでいくようなチームを作りたいですね。

さいごに

集合写真<渡邉一成さん(左)&フューチャーアーキテクト株式会社寺戸周介さん(中央)&同社 高瀬陸(右)>

DXは新しいテクノロジーでガラッと会社を変えるような、急進的でキラキラしたイメージがありますが、実際には社内の合意形成や意識改革など地道な取り組みが必要で、まさに渡邉さんがリーダーとして適任者であることが分かりました。

インタビューで印象的だったのは、ひとつひとつの質問にしっかり向き合い返答する様子。この姿勢が、DXを進めるうえで必要な関係者との信頼関係構築に必要なのだと感じます。

以上、JASPER note編集部高瀬がお届けしました。


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本記事執筆|フューチャーアーキテクト株式会社 高瀬陸