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夏にコンテストに応募していなかったらきっと今頃フェードアウトしてた

8月最後の日曜に丸一日かけて書いた小説があります。子ども向けの、短いお話です。このたび、ポプラ社さん×noteさんのコンテストで佳作に選んでいただきました。やった。

去る8月末日がコンテストの締め切り日で、結果のメールをいただいたのが10月上旬。なので、9月のどこかで選考作業をされただろうと思います。

じつは同じ9月、わたしはnoteからフェードアウトしかけていました。書き手としても、読み手としても。

数日間休むことはそれまでもちょくちょくありましたが、この時は数日どころか1ヶ月。

ふらっと休むのは簡単だけど、ふらりと戻ってくるのには意外とパワーがいります。そのパワーがわたしには出せませんでした。

このままnoteから離れることになるかも。

ぼんやりと思い始めたちょうどその頃に届いたのが、事務局さんからのメールでした。

佳作に選ばれました!おめでとうございます!

嬉しくて、情けなくて。

まるで、noteに戻っておいでと言ってもらえた気がしました。

自力では動けなくなっていた、こじらせのわたしに、これ以上ないタイミングで。

何より、数千もの応募作品に埋もれたわたしの投稿を、見つけて、読んで、選んでくださったという事実を思うと、力が湧きました。

応募してよかった。

もしもコンテストに応募していなかったら、この記事を書くこともなく、脱力状態のままnoteからいなくなっていたと思います。


コンテストに応募した時もそのあとも、賞については無縁だと思っていました。なぜなら、わたしは昔から文章を書くことが得意ではないからです。

応募作に先駆けてボツも1本書きました。

我が家には現役の小学生がいます。2、3年前まで小学生だった中学生もいます。「読者は小学生を想定」という要項を見て、それなら我が子に向けて書けばいいじゃん、と思いついて書きました。

それに児童書なら子どもが借りてくるものを時々わたしも読んでいました。「わたしにも書けそうな気がする」と思って意気揚々と書きました。

惨敗でした。

理由はたぶん「子どもに読ませたい内容」を意識して書いたからだと思います。あるいは「伝えたいこと」「教えたいこと」だったかもしれません。

説教くさくてメンドクサい、問題提起だらけでウザい、「お話」ですらない、楽しくない文章になってしまいました。そんなつもりはなかったのに。

文章を書くのってやっぱり難しい。ましてやお話なんて。

わかってる。向いてない。

だけど、なぜだか諦め難い。

コンテストの締め切りが翌週に見えてきた日曜日、わたしはもう一度だけチャレンジしました。

こんどは自分が子どもになって、わたしが読みたいお話を書こう。残酷さからは縁遠い世界観、聡明な登場人物、ストーリーは謎解きの要素があったら楽しい。

そんなふうに自分の好きを見つめながら書いた文章が「ミオくんのスカート」というお話になりました。

お話に登場させた4人の少年少女たちのことを、わたしはとても気に入っています。彼ら彼女らはいきいきと存在していて、わたしの頭の中で勝手に別のお話を始めたりします。わたしは親のような気持ちで4人の成長を楽しみに思い、物語の9年後にあたる成人式の様子を絵に描いたりしました。

お話を書き終えてから2ヶ月近くの時間が経ちましたが、4人は今もわたしにとって大切な存在です。きっとこの先もずっと、特別でいつづけてくれると思います。


夏の終わりのあの日、思いきって小説を書いてみてよかったです。

愛しい登場人物に出会えたから。たくさんの人に読んでもらえたから。思いがけず良い評価をいただけたから。再びnoteに戻ってこられたから。

ありがとうございました。



終業式を数日後に控えた3月の朝、5年1組の男子「ミオ」がスカート姿で登校してきた。そのスカートはどうやら中学校の制服のようなのだが。スカートの謎を介して、ミオの隣の席の「サトミ」、サトミの親友「ホノカ」、言動が雑めなクラスメイト「リョータ」の4人の心が偶然近づいた、とある日の物語。




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