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【Season3 Vol.1】 JATO ATCリレー: 岡本 香織さん

お待たせいたしました!本日より、JATO ATCリレー Season3が始まります!
今シーズンの第1走者は、藤橋 正幸さんからのバトンを受け取ってくださった、岡本 香織さんです。岡本さんと藤橋さんは、以前日本バスケットボール協会のお仕事でご一緒されたことのあるご友人でいらっしゃるそうです。是非ご一読ください!

ATCになろうと思ったのはいつですか?またその理由を教えてください。

アスレティックトレーナーになろうと思ったのは高校2年生で、学校で進路を聞かれた時でした。
所謂普通の会社員をしている自分を想像出来ず、スポーツに関わる仕事がしたいと思い調べていたところ、ATという職業があることを知りました。ATであれば毎日スポーツ現場で過ごすことができて、パソコンと睨めっこすることも少ないだろうと思い、目指すことにしました。実際にATCとして仕事を始めてみたら、ペーパーワークは多いですし、パソコンや携帯と常に睨めっこでしたが。
また、高校時代に1年間アメリカに留学していたこともあり、再びアメリカで過ごしたいという希望がその頃からずっとありました。日本の大学でATを学ぶ中でその気持ちが大きくなり、自然とアメリカに行ってATC として仕事をすることが目標になっていました。
 
大学では、中村 千秋先生が進路について相談に乗ってくださり、当時日本人がほとんど進学したことのないSouth Dakota State Universityの大学院に進学するよう背中を押して頂きました。
ゼミの先生だった福林 徹教授のおかげでStanford Universityのインターンを出来たことも、ATCになりたいという願いをより具体的なものにしてくれました。

South Dakota State Universityにて

在米中に経験したことで、印象に残っているエピソードを教えてください。

大学で働いていた時に、コーチや上司のATCと上手くコミュニケーションが取れず悩んでいたことがありました。
私の性格上、出来れば穏便に物事を進めたいのですが、それが原因で言いたいことをはっきり伝えられませんでした。その時に当時のDirectorだったScott Andersonが「Conflictはこれからいくらでも起きる。だからそれを楽しめ。相手に自分の意見を否定されても、それはあなた自身を否定してるわけではない。大人同士で建設的に会話すればいい。」と言ったんです。その後、未だにconflictを楽しむ境地までは辿り着けていませんが、constructive criticismとしてお互いを尊重しながら自分の意見ははっきりと伝えることを心がけています。

Scott Anderson氏と

今、どのようなお仕事をされていますか?

今は3人制バスケットボール(3X3:スリーエックススリー)日本代表の専任アスレティックトレーナーを主として活動しています。アンダーカテゴリーからA代表までの男女全ての合宿、遠征に帯同し、テーピング、怪我の評価、病院帯同、ウォームアップ、クールダウンといった実務や、選手の所属チームとのコンディションの連絡などをしています。
加えて、ユース育成にも関わっているので、中学生年代のトライアウトやナショナルキャンプに帯同することもあります。
 
3x3の日程が空いている時は、5人制バスケットボールのアンダーカテゴリーを手伝ったり、日本バスケットボール協会のスポーツパフォーマンス部会(専任のATやパフォーマンスコーチの部会)の一員として、一般の指導者向けにセミナーなどを行ったりしています。

ご自身の仕事の好きなところ、やりがいを感じることについて教えてください。

一番好きなところは、選手達の努力が結果という形で報われる場面を特等席で見られて、一緒に喜べるところです。
選手やコーチの努力が勝利という結果として報われなかったとしても、そこまでの過程から何かに気づき学んで成長していく姿を目の当たりにすることで、いつも刺激をもらっています。
今の現場では、同じ選手とずっと関わることは少ないですが、それでも選手が合宿や遠征に来た時に抱えていた痛みを少しでも軽くすることができたり、自分の身体を知るきっかけになれることがあるというのは、私のやりがいと言えると思います。

日本バスケットボール協会でお仕事をされており、昨年の東京オリンピックでもバスケットボール3x3の日本チームを担当されていましたが、ナショナルチームで働くことで大変なこと、気をつけていることは何ですか?(前回の藤橋さんからの質問です。)

ナショナルチームに特化した大変なことは国際大会で行く各国でメディカルシステムが違ったり、言語の壁があることです。ヨーロッパのドクターは大体英語が喋れますが、アジアだと少しコミュニケーションが取りづらい時があります。現地のオーガナイザーやホテルの人が英語を苦手としていると、細かいニュアンスがお互いにわからず少しフラストレーションになる時もあります。特に日本人は細かいので、海外の人達からはそんなこと聞いてどうする?と思われることもあります。
また、この現場で働くまではS&Cやパフォーマンスコーチと働いていたのですが、今はウォームアップやクールダウンを私がしないといけないので、その点は最初慣れなくて大変でした。トレーニングに関しては、佐藤 晃一さんや5人制日本代表のスタッフに相談に乗ってもらったり外部からサポートの方を呼んだりして、周りの方々に助けてもらっています。
 
気をつけていることは選手の教育と各選手の所属チームとのコミュニケーションです。
誰かに何かをしてもらうことが当たり前になっている選手がまだまだ多いのが実際です。なので、自分の身体には自分が責任を持つこと、そして自分で出来る身体のケアは自分でやるといった基本的なことを教えるようにしています。特にアンダーカテゴリーでは、この教育が選手達の選手寿命を伸ばすことにつながると信じているので、トリートメントよりも練習や試合前のpre-habに時間を使います。
最後に、各チームとのコミュニケーションですが、必ず合宿後、遠征後に報告書を作成し、こちらで選手を預かっている時に行ったトリートメントや全体的なコンディションの情報を送るようにしています。万が一病院に連れて行くことになった際には、まずチームに確認をとって、病院帯同の結果もすぐに報告するようにしています。当たり前のことですが、これを行うことで少しでも安心して選手を送り出してもらえたらと思い気をつけています。
各所属チームのATの方々も協力的な方が多く、それぞれのチームの仕事で忙しい中でも招集された選手のコンディションを事前にご連絡頂くなどコミュニケーションをとっています。

Stanford Universityにて

今後の目標や展望を教えてください。

当面は、2024年のパリオリンピックの出場権を獲得し、次のオリンピックではチームがメダルを獲得できるように私ができることを頑張ろうと思っています。
今後のことはわからないことだらけですが、幸いにも周りにとても刺激的な人達がいるので、興味がある分野の勉強を続けて、どこで働いても選手やチームに貢献できる人間になれるように日々研鑽を積もうと思います。
いずれ隠居する時には、以前関わったことのある選手達とゆっくり競技観戦したいですね。

あなたにとって、JATOはどのような存在ですか?

同じ日本人のATCと繋がれる場所です。
正直なところ、私は2017年に帰国して、昨年まではJATOに加入していませんでした。
現会長の中新井田さんのご紹介でJATOに加入したことで、U25の講演をさせて頂くこともありましたし、日本での知り合いも増やすことができました。

あなたにとって、ATCは<ひとこと>で言うと、どのような職業ですか?またその理由を教えてください。

ATCは私に色々な扉を開いてくれた鍵です。
ATCだけを見ればただの資格ですが、それを目指し、取得したことで様々な尊敬できる人と出会うことが出来て人間として日々成長することが出来ていると思います。
ATCがあったから、ハイレベルな選手・コーチ・チームから間近で学ぶことが出来ましたし、私一人では絶対に見ることが出来なかった色々な景色を見せてもらいました。

【編集後記】岡本さん、大変お忙しい中ご質問にお答えいただきどうもありがとうございました。岡本さんの日本バスケットボール協会でのお仕事のこと、またお仕事をされる際に気を配られていること等、とても興味深いお話を伺うことができました。代表チームが2024年のパリオリンピックの出場権を獲得できるよう、応援しております!
次回は、岡本さんにいつもポジティブな刺激を与えてくださる方をご紹介いただきます。お楽しみに!

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