LPGAアジアシリーズとTOTO Japan Classicを考える

 2023年のアメリカ女子ゴルフツアー(LPGAツアー)も残すところ、アジアシリーズ4戦とThe ANNIKA driven by Gainbridge at Pelicanと最終戦のCME Group Tour Championshipを残すのみ。

 今年から参戦した勝みなみ選手、西村優菜選手に加えて、昨年から参戦している渋野日向子選手も、来期のシード権や今期の最終戦の出場権をかけた正念場。

 明後日から第1戦Buick LPGA Shanghaiが始まる今、アジアシリーズを考えてみたい。


LPGAアジアシリーズ

 2023年のLPGAツアーは1月19~22日に開催された初戦Hilton Grand Vacations Tournament of Championsを皮切りに34試合が予定されている。アジアシリーズは、中国で行われる第29戦Buick LPGA Shanghai、韓国で行われる第30戦BMW Ladies Championship、マレーシアで行われる第31戦Maybank Championship、日本で行われる第32戦TOTO Japan Classicで、間を空けずに開催される4連戦。

 シーズン終盤に予定されていることもあり、冒頭に書いた3選手のみならず、シード権や最終戦の出場権を確保できていない選手にとっては、アジアシリーズ直前のWalmart NW Arkansas Championship、The Ascendant LPGA、および、その直後のThe ANNIKA driven by Gainbridge at Pelicanを含めた7週間はポイント稼ぎの正念場であろう。

出場者数や優先順位

 LPGAツアーのトーナメントの出場権は、トーナメントによって微妙に異なるが、LPGA Priority Listで優先順位が決められるのが一般的と思われる。一方、アジアシリーズについては9月7~10日に開催されるKroger Queen City Championship後のCME Globe Rankingによって出場の優先順位が決定されることになっている。

 エントリーリストを見る限りでは、出場者数はBuickのみ81名、BMW、Maybank、TOTOは78名。ただ、BMWとMaybankは10名の主催者推薦以外はCME Globe RankingによってLPGAから68名が出場できるのに対して、BuickとTOTOはそれぞれCLPGAから19名、JLPGAから35名の出場枠が用意されており、LPGAからはそれぞれ62名、43名しか出場枠がない。

賞金総額

 賞金総額はBuickがUS$2.1M、BMWがUS$2.2M、MaybankがUS$3M、TOTOがUS$2M。それぞれ中国、韓国、マレーシア、日本の開催で日本開催のトーナメントの賞金総額が最も低いというのは、何とも寂しい限り。

 とはいえ、JLPGAツアーのメジャートーナメントで賞金総額が最も高額である日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯の賞金総額が2億円、JLPGAツアーの最高額がアース・モンダミンカップの3億円であることを考えると、円ドルレート次第では日本で開催される女子ゴルフのトーナメントでは最高額となる。

 もっとも、今年のLPGAツアーの最高額はU.S. Women's OpenのUS$11Mなので、LPGAツアーとJLPGAツアーの賞金の差は大きい。

TOTO Japan Classic

 これらの状況を踏まえて、あらためて日本で開催されるTOTOを見てみると、いろいろと考えさせられることがある。

 まず、アジアシリーズの第4戦、すなわち最終戦というスケジュール。これはLPGAツアー最終戦まで続く8連戦の中の第6戦であり、そこから北米に戻って1戦を戦い、最終戦に臨むスケジュールとなる。すべての選手が8連戦に挑むわけではなく、最終戦に向けてポイントを稼がなくてはならない選手、すでに最終戦出場を確定して体力を温存する選手など、いろいろだろう。

 TOTOの翌週に開催される最終戦の前の最後のトーナメントはThe ANNIKA driven by Gainbridge at Pelicanで、賞金総額はUS$3.25M。最終戦のCME Group Tour Championshipと同じフロリダ州で開催されることもあり、遠い日本で開催されるTOTOを欠場して早めにフロリダ入りし、体調を整えて最終戦に挑むほうが、まあ、素直であろうとも思う。

 実際のところ、各トーナメントのエントリーリストを見ると、ランキングトップ10のエントリーは、Buick 3名、BMW 9名8名(10/12修正)、Maybank 7名、TOTO 3名、Gainbridge 8名で、アジアシリーズは第1週のBuickと最終週のTOTOがトッププレイヤーから敬遠されていることがわかる。10月10日時点ではBMWではCME Globe Ranking77位、Maybankでは80位までしかLPGAからの出場権が得られないところ、TOTOではLPGAからの出場枠が狭いにも関わらず87位まで出場できてしまうところからも、TOTOがランキング上位のプレイヤーから敬遠されていることが確認できる。

おわりに

 TOTO Japan Classicは、1973年にLPGA Japan Classicとして開催され、現在に続く歴史あるトーナメントで、JLPGA登録選手が優勝してLPGAにステップアップしたこともあるトーナメントという意味では、アジアシリーズの他のトーナメントと同列に扱うべきものではないかもしれない。

 とはいえ、アジアシリーズで賞金総額が最も低い、トッププレイヤーが参戦していないというのは、日本のゴルフファンとしては若干寂しいものを感じる。

 来年以降、この状態が変わるのか、変わらないのか、しっかりと見守っていきたい。

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