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「ギリシャ訪問は冬が最高」説は本当だった!


この冬、初めてのギリシャへ。

小さい頃擦り切れるほど読んだ大好きな本はギリシャ神話の本でした。
愛、憎しみ、嫉妬、裏切り…
勧善懲悪みたいな単純な話ではなく、人間の煩悩を高炉で溶岩にして固めたような神々の行為に、時折恐怖を覚えながらも、宇宙レベルで繰り広げられる愛憎劇というスケールの大きさに魅了されたものです。

ギリシャ神話の国、ゼウス神殿にパルテノン神殿がそびえ立つ国、オリンピック発祥の地…
ギリシャの地に降り立つと、歴史を改めて学びたい欲がむくむくと首をもたげます。

ギリシャはずっと来てみたかった国でした。しかし東京-アテネ間の直行便は無いし、十数年前に経済危機に陥り失業率も高いと聞いていたので、なんとなく治安が悪化してるのでは?と思っていました。

カタールを経由してギリシャの地へ。
ギリシャといえば、ヨーロッパ人が夏に訪れるイメージの強い国ですが、果たして冬のギリシャは楽しかったのでしょうか。

かつての経済危機国ギリシャは奇跡の大復活を遂げていた

ドイツなど、今までEU経済を牽引してきた国がのきなみ深刻なスタグフレーションに苦しむ中、ギリシャが驚くほど好調なのはあまり知られていないかもしれません。

ギリシャと日本はあまり多くの貿易もなく、ギリシャ経済に興味のある人もさほどいないでしょうし…。(主要輸出先:イタリア、ブルガリア、ドイツ。主要輸入元:ロシア、ドイツ、中国)

観光が主要な産業の一つであるギリシャ。コロナ禍で主力の観光業が打撃を受け、直後にはユーロ圏全体よりもその経済状況は深刻でした。それが2021年に入ると状況は一変。いまやユーロ圏全体を上回る経済成長率を示す存在感のある国になってきているのです。

主な要因としては設備投資や輸出増もありますが、日本などよりずっと早くから規制緩和の手を打ったことによる観光業の立て直しです。

2022年には、ギリシャの景気回復はさらに弾みを増し、ユーロ圏全体を上回るスピードで成長していす。

ギリシャの生きる道は「観光」。コロナ禍で下した勇気ある決断

ギリシャの主要産業第一位は農業です。

オリーブの生産量は世界第3位の生産量。他にも綿、や葉タバコです。
一方、小麦やトウモロコシなど主食となる穀物の生産はさして多くはなく、食料自給率は高くありません。

そんな中で今後伸びる可能性が高いと見込んだのが観光業。これだけの歴史的建造物に恵まれているならば、それらを上手に使わない手はありません。

有名なパルテノン神殿ばかりではありません。

世界中からセレブリティの撮影がひっきりなしに訪れる美しい島「サントリーニ島」やその昔迫害から逃れた聖職者が今も暮らす崖の上の修道院群「メテオラ」、地中海に浮かぶ美しい島々など、魅力をあげ始めたらキリがありません。

観光立国として経済立て直しの起爆剤としようとしたギリシャは、面白い作戦を取りました。

人口1千人以下の島に限定して、全島民にワクチンを優先接種し、「コロナフリー島」をいくつも作り、そこに外国人観光客を呼び込む作戦です。面白い!

賢い戦略は功を奏し、大勢の観光客が島を訪れてメキメキと観光による収入を増やしたのです。

優先接種への国内からの批判、蔓延への外国からの批判など、リスクもあったはずですが、自国の経済のために決断をしたのですね。

ベストシーズンと言われる夏。しかし「夏のギリシャは地獄のよう」と地元民が口を揃えるのはなぜ?

一般的にはギリシャといえば夏がベストシーズンとされています。

しかし、ここ十数年で様子は大きく様変わりしているのをご存知でしょうか。
気候変動の影響により、夏がとにかく暑すぎるのです。

日本と違い湿度が少ない分不快指数は幾分低いですが、気温の高さと言ったらありません。50度を超えることもあり、昨年はあまりに暑く危険だという理由で、日中アクロポリス(神殿などのある場所)が閉鎖されたというニュースも記憶に新しいです。

しかも、夏季はどこを見渡しても人・人・人。行列せずに楽しめる場所はありません。
街の至る所に可愛いオープンテラスのレストランがたくさんある街アテネですが、それでもまったく足りず、どのレストランも常に行列。
トイレも、水を買うのにさえも行列、歴史的建造物の敷地にはいるまでに灼熱の炎天下で何十分も待たされることもあるのだそう。

昨日行ったサントリーニ島も、夏季はまともに観光地を回れるような状況ではなく、フォトジェニックな場所は人の波に埋め尽くされ、セルフィーの場所を巡ってケンカが勃発するほどだとか!

一方で、冬はというと、気候が驚くほど暖かくなっているのです。そしてオフシーズンなのでどこへ行っても「ほどほどに混んでいる」という状況。
冬の海水浴場みたいな寂れ感もなく、どの店も元気に営業中です。クリスマス当日ですら、ほとんどの飲食店が通常営業をしていてびっくり!
(昔住んでいたイギリスでは、クリスマスはまさに家族のための休日。どこもかしこも店はしまっていてまさに日本の元旦。日本のウキウキクリスマスのような気持ちで街へ出ると悲しい思いをします)



「寒くて暗くてシトシト…ただ悲しいヨーロッパの冬」とは無縁のアテネ。一年じゅう太陽に愛される国

私が大学院時代を過ごしたロンドンで、何が嫌だったって、冬の天気です。
AM9時近くまで真っ暗、寒いしいつもしとしと雨が降り、昼過ぎにはどんどん暗くなりPM3時台には暗くなる…。
鬱になりそうな気候です。

昔は少し内陸に行けば雪も降っていたというギリシャ。ですが、今の気候はとってもマイルドです。
年末だというのに最低気温は10度、最高気温は20度…という東京でいう10月末〜11月初旬のような清々しい気候です。

ギリシャの12月は1年でもっとも雨の多い月なのですが、それでも東京と比べてもほんの少し降雨量が多い程度(東京)。東京の12月なんて晴天続き、めったに雨なんて振りませんから、それよりほんの10ミリ程度の降雨量なんて、全然雨降りのうちにはいりません。

実際、すでに1週間くらい過ごしている年末のアテネですが、晴天率100%。雨どころか曇り天気すらありません
(「特に今年は雨が少ないね!」と地元の人はいいますが、例年もさして降りはしないのです)

まさにギリシャは太陽に愛された国ですね。

ラテンの人懐こさと日本人的ホスピタリティが心地よく合わさる国

「せっかく来てくれた観光客、何かスペシャルな体験をしてほしい…」
これは多くのギリシャ人から感じる心意気です。

もちろん私がいるのは観光地ですので、すべてのギリシャ人がそうだということではありませんが、街中でも小さな子を連れていると優しい微笑みを投げかけてくれる人が非常に多い印象です。

子連れで店に入ると、何も買っていないのに小さな子には「これあげる」と言って小さなアクセサリーをくれたり、レストランで眠り始めてしまった娘のために余分に椅子を持ってきてくれたり…。

今回、今回、仕事の都合でオーストリアウィーンからの取引先と会食をする機会がありましたが、その際に会った女性も、「ウィーンではこんなホスピタリティ絶対にない!」と何度も何度もびっくりしていました!そのくらい、ホスピタリティと優しさに溢れる街なのです。

ギリシャと日本の繋がりは強くない上、さほど豊かな国ではないためかアジアに旅行をしたことがあるという話はほとんど聞きません。
なので日本人だと伝えても即座に「行ったことある!」と言われたことは1度もありませんでした。

国名は知ってるけど遠い国。あまりよく知らない国。
だけど、悪いイメージを持っている人は特におらず、「漫画が有名だよね」「東京ってすごい綺麗な街なんでしょ?」みたいな、何となくのイメージを持っている人が大半でした。

街をきれいに!

ギリシャ政府がまず観光立国として、税金をしっかり投入したことは街中の清掃だったそうです。

ヨーロッパにありがちな「街並みは綺麗だけど、ゴミだらけであちこち臭い」という状況はギリシャにはありません。

街のあちこちで清掃車が稼働していて、道路のゴミや道端の汚れをスウィープしているのです。
だから、どれだけ観光客がゴミを散らかそうが、あっというまに清掃されるので、本当に街中が綺麗。

そもそも本来、ゴミはゴミ箱に捨てましょう、というのは日本人の感覚からすると当たり前なのですが、世界では全然それが当たり前じゃないんですよね…。
街を歩いていると、こちらが呆気にとられてしまうくらい自然に、アイスの袋を開けて、そのまま袋を道に捨てて食べ始めたり、火のついたままのタバコをその辺にぽいっとしたりする光景を目の当たりにします。

掃除をしなければどんどん汚くなっていってしまうのが残念ながら現実ですが、それをよごれたそばからすぐに綺麗にしていく。
そうして、街をきれいに保っているのです。

街が綺麗だと、治安も良くなる


割れ窓理論にあるように、ある場所が汚いとその周りも汚くなり、そこを通る人の心もチョット荒むのではないかと思います。

アテネでは、治安の悪さを感じたことはほとんどありません。

途中仕事の都合で電車のアテネ駅までタクシーを走らせて行った時、駅の近くを通る際に「このあたりは少し貧困層や移民が多い地域だよ」と教えてもらった道は確かに少し暗くてどんよりした空気が流れていました。

しかし、観光地を含めてかなり安全です。
1ヶ月前にも出張でスペインに行きましたが、スペインの街と比べると圧倒的に雰囲気が違います。

やはり、治安の悪いところでは、何をするでもなくブラブラしている人が異常に多いんですよね。
スペインの大きな展示会に行った日本人のうち、直接聞いただけでも4人がひったくりやスリに遭ったという、驚異の遭遇率でしたが、街を歩くと、何をするでもなくブラブラとカモを探している風の人が多くいるんです。

アテネではむしろひったくりに遭うのは珍しい体験だそう。
美味しすぎて何度も会食で使ったお店『Ella』というレストランでは、日本人の方の素敵な口コミも。
知らないうちにひったくられていたのを、お店の方が全力で捕まえてくれたり、その後警察もしっかり対応してくれたり、お店からは「不快な思いをされたから」とお代まで無料になったという、眩しい逸話もありました。


広報PR業は未成熟 でも欧州にありがちなポリティカルコレクトネスを感じさせない心地よさ

広報PRとしては、ギリシャはまだまだ英米どころか、日本にも遠く及んでいないのが実情です。

そもそも経済危機に瀕していたこともあるのか、あまり多くの外資が進出していません。強力なPRチームを持つ外資の影響があらゆる産業において少ない分、PRは発展しておらず、地元の企業が地元のPRを細々とやっています。

一方で、PR先進国にありがちな「あれもダメ、これもダメ」というポリティカルコレクトネスが全然ないことに感激。
もちろん、いろいろな人種や宗教、思想、性別や性的嗜好はもちろん、環境や動物のことなど何から何まで「正しく」あるのは、必要なシーンもあります。
一方で、あまりにがんじがらめにされるあまり、自由な発想や表現が制限される状態に、私自身は必ずしも100%肯定はできていません。

未成熟なPRだからこそ、自由な広報で爆発的な効果を生む可能性を感じたものでした。

備忘録

アテネのタクシー:あまり英語を話せない運転手さんが多いです。なので、『FREE NOW』というアプリがオススメです。これ、スペインでもイギリスでも使っていましたが、ヨーロッパの多くの国でUberよりもよく使われているアプリで、すぐにタクシーがつかまるし、道順も明確、料金もFix。

アテネ空港から市内までのタクシー乗り場:アテネの国際空港は狭い空港で、ターミナルは1つしかありません。降りてタクシーに乗るのなら、先ほどの『FREE NOW』でPick up point で1番Exitか5番Exitのどちらかを選んで乗ります。小さな空港ですので、1番乗り場も5番乗り場も歩いて3-4分です。

オススメホテル:Athens Ikon Hotelに今回滞在。小さなブティックホテルですが、本当にサービスも、食事も、何もかも最高でした。潔癖症気味の私からしても、バッチリ嬉しい超清潔で綺麗なホテルです。



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