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ジロリンタン備忘録210817

 ここ数日、大変だったよ。
 お盆休み(と言っても、こちらは毎日休みで、毎日仕事日だけど)にチューインガムを噛んでるときに、どういう具合か、舌を強く噛んでしまった。すると、血が舌から多めに出てくるんだよね。芝居や映画で女性が自害するために、舌を噛む場面があるだろ? 口の中に液体が溢れてくるんだよ。気持ち悪いなあと思って、ティシュー・ペイパーに吐き出すと、赤い液体だ。血だよ、真っ赤な血だよ、O型の血だ。
 放っておいたら、どんどん血が出てくる。お盆でもあいているクリニックに電話してもらったら、舌を縫うのは難しいので、血が固まるまで待つしかないですねと言われたらしい。それで、口をあけたまま、10分以上じっとしていて、やっと血が凝固してきた。
 なんとか血が固まり、傷口が塞がっても、食欲がないというより、食べるのが大変なので、晩御飯もビールも抜きである。しかし、翌朝はだいぶ治って、朝御飯も昼御飯も晩御飯も食べられた。まあ、いちおう治って、よかった、よかった。

 そう、見出しの画像はトニー・ベネットとレイディー・ガガの共演アルバム Love for Sale ジャケット写真だ。今年の10月1日に発売される。
 7年ほど前に出した共演アルバム Cheek to Cheek が大当たりしたので、ベネットがガガにまたレコードを一緒に録音しようと誘ったらしい。ガガのことだから、承知するよね。Cheek to Cheek は<チーク・トゥ・チーク>とカタカナ表記されているけど、「頬よせて」とかいう日本語タイトルがついていなかったっけ? それに、<ラヴ・フォー・セール>には「恋は売り物」という日本語タイトルがあったような気がする。
 さて、ベネットは8月3日の誕生日で95歳になったが、これからのコンサートはキャンセルすると8月5日の誕生日記念コンサートで述べた。医師の命令だとベネットのマネジャーである息子のダニーが言っている。数年前に、ベネットはアルツマイマー病にかかっていると告白したばかりで、ステージの上でどんな事故が起こるかわからないらしい。ベネットとガガは8月3日と5日の誕生日記念コンサートを無事終えた。これは共演アルバムの宣伝コンサートでもある。
 ベネットを初めて聞いたのは、<霧のサンフランシスコ>だったような気がする。あの頃、60年代は、その歌をフランク・シナトラやブレンダ・リーも歌っていて、<思い出のサンフランシスコ>というタイトルもあった。今では、ベネットのおかげで、その歌はサンフランシスコの第2の市歌になっている。その歌詞を覚えられるほど、よく聴いた。でも、印象に残ったのは、カウント・ペイシーとの共演レコード(ルーレット・レコード)だった。ベネットはジャズも歌えるのか。でも、その中で好きな歌は Growing Pains だった。伴奏はギターのフレディー・グリーンとフルートのフランク・ウェスだけだ。いちおうバンドとの録音が終わり、メンバーたちが帰ったあと、もう1曲入れようということになって、残っていたグリーンとウェスが伴奏をしたらしい。

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 ……と書いているのだが、これを書き続けていると、話が脱線して行きそうなので、悪いけど中断して、続きの脱線話をいつかそのうちに書くつもりだ。
 ということで、ニューヨークに住んでいるときに、ベネットのコンサートには行ったことがない。引退から現役に戻ったフランク・シナトラのコンサートにはレイディオ・シティー・ミュージック・ホールまで聴きに行ったことはあるんだけどね。
 ベネットは1960年代に、ザ・ビートルズなどのブリティッシュ・ロックバンドがアメリカン・ポップ界で人気を博するだろうということで、コロムビア・レコードから見放され、初めての映画<オスカー>(1966年公開)で歌わない演技をけなされ、低迷してしまった。シナトラやクロスビーのように、歌と演技の両立はうまくいかなかったんだね。
 2006年発売の Duets では、そういうブリテイッシュ・ロッカーの一人だったポール・マッカートニーと一緒にスタンダード曲のThe Very Thought of You を歌っているのは皮肉だよね。それに、最近では、TVや映画に出演しても、ベネットとして歌うだけだよ。うん、自分自身に扮してるんだから、「演技」は完璧にリアルだ。

 ということで、皆さんはチューインガムを噛むときは、充分に注意してね。おれは当分ガムを噛まないだろうな。


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