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おいしいってどういうこと?

世の中には、分かる人には当たり前に違いが分かるようなことでも、ぼくには分からないことが多すぎる。

野球中継を見ていると、解説者や実況者がピッチャーが投げた球種を見分けて、「今のはスライダーですね」とか「今のフォークはよく落ちましたね」などと言っているが、見ているぼくにはその球が曲がったのか落ちたのか真っ直ぐなのか見分けがつかない。今は、スロー再生や球の軌跡をCGを使って線を描いて説明したりしてくれるのだが、それを見てもやっぱり違いがわからない。さすがに速球のストレートと超スローカーブを比べれば違いが分かるが、超スローカーブが大きな弧を描いているのは分かっても、その球が曲がっているのかは分からない。

食べ物についても、甘い辛い酸っぱいなどは分かる。だけど、美味しい不味いの感覚が分からない。安い肉と高い肉の味の違いがわからない。回転寿司とカウンターで職人さんが目の前で握ってくれる寿司(1回しか食べたことないが…)の味の違いが分からない。スーパーで売っている中国産の鰻と有名店の鰻丼やひつまぶしの鰻の違いが分からない。
苦手な味はあるが、それが不味いのかと言われたら「苦手」としか言えない。例えば、納豆やとろろ、トマトなどは、食感が苦手だが、そもそも食べようとしないので、不味い食べ物だという認識ではない。加熱した果物(パイナップルやアップルパイ)も苦手だが、果物は冷やして食べるか常温で食べるものだという認識だから、温めてある果物が違和感があるのであって、食べられないわけではない。
これは反感を買うことを承知の上で書きますが、ラーメン屋で千円以上出して何十分も待って食べるラーメンと、家で作るインスタントラーメンであれば、ぼくはインスタントラーメンで十分満足できてしまう。お店で食べるラーメンの方が美味しいかどうかが分からないから。

コーヒーも好きだが、深い味わいだとか酸味が強い味だとかくらいは分かるのだが、それが美味しいのか不味いのかの区別をつけれない。ボスやジョージアと、コメダやスタバで飲むコーヒーの優劣がつかない。喫茶店のマスターが一杯ずつドリップして淹れてくれるコーヒーと、業務用のマシンで出てくるコーヒーの味わいの違いがわからない。

それよりも、音楽好きを公言していて、なおかつDJなんてことを無理にお願いしてやらせていただいているにもかかわらず、音の良し悪しが分からないのには困ってしまう。
もちろん、録音状態の良し悪しは分かるし、ステレオミックスの音源と空間オーディオの音の広がりの区別はつく。ただ、一般的に良い録音だと言われている名盤とそうでないメジャーなアーティストの音源を聴いても、どこら辺が良いと言われているのかが分からない。ライブハウスなどでも、出音の大きさや各パートの音の分離具合、低音の響き方の違いはわかるけれど、いい音というのは分からない。そして、ヘッドフフォンでも1万円以下の中国製のヘッドフォンと数万円の有名音響メーカーのヘッドフォンを聴き比べても、同じように聴こえてしまう。

世の人々が感じ取っている違いを感じ取れない。なんかとても損をしている気分もするが、違いが分からなくても、自分の感覚にフィットするものさえ分かれば、それはそれでいいのかなとも思う。


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