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カザフスタンにただようヨーロッパの香り【中央アジア旅行記①】

 アジアというからには街並みはごちゃごちゃとしていて、食べ物屋台がいろいろ出ているーそんな想像とはまったく違っていた。訪れたのは中央アジア、カザフスタンの最大都市アルマティ。東西南北に整然と区切られた街頭はヨーロッパのようである。歩道は大きめに造られており、街路樹も多い。8月でも空気は乾燥していて、べたべたと汗をかくことはない。市場に並ぶ果物はブドウやリンゴ。イスラム教徒が多数派だというが、ビールも容易に飲むことができた。

 ごちゃごちゃした東アジアの大都市、東京から来るとなんだか別乾坤のようである。実際に別世界だなあと思ったのが、英語がまったくと言っていいほど通じないこと。ホテルの人もほとんど話せない。仕方がないので、去年北方領土を訪れたときに教えてもらったカタコトのロシア語を連呼して乗り切った。彼らは学校で中央アジアの共通言語であるロシア語を習うのだ。今まで自分が下手なりに話すことができて、相手も話せる蓋然性の高い英語で通していたが、それがいかに傲慢かということも思った。

 夏休みの旅行に、カザフスタンとキルギス、さらにウズベキスタンと中央アジアを回ってきた。ウズベキスタンは去年から日本人はビザなしで行けるようになったので興味を持っていたのだが、去年は直行便のチケットが取れず諦めたところ。今回は韓国・ソウルを経由したオープンジョーで探したところ、容易に手に入った。カザフスタンとキルギスは以前からビザ不要。何回かに分けて当地の様子をお伝えします。旅程はこちら。


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 ソウルで乗り換えてアルマティへ。到着したのが午後10時半ごろと遅かったので予約していた宿にタクシーで向かう。空港のタクシーカウンターで5000テンゲ、約1400円と言われてそのまま払ったけど、どうもちょっとぼられたかな。

 宿は街の中心部、中央バザールの目の前だった。道中、タクシーの車窓から街を眺めたが、最大都市というのに夜はほとんど人が歩いていないなあ、というのが第一印象だった。宿はシングル1泊朝食付5500テンゲ、約1500円と安かった。御覧の通り、簡素なしつらえだが十分。ただしシャワーが共用なんだな。手洗いは部屋にあった。エアコンはなかったが夜は十分に涼しい。


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 翌朝。かーっと晴れて暑いのを想像していたが、標高もある程度あるためかそれほどでもない。内陸にあるため湿度が低く、日陰に入ると過ごしやすい。街路樹がつくる日陰がありがたい。そして日が暮れるといっそう過ごしやすくなる。


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 整然と街路樹の並ぶ歩道。よく整備されていて歩きやすい。なんとなくヨーロッパっぽいのが伝わるだろうか。


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 バザール、すなわち市場近辺には商店が並び、人も集う。カザフスタン人の中には日本人みたいな顔をした人も多い。金髪碧眼のロシア系の住民も多い。


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 中央バザールの飲み物売り。こういうところはアジアっぽい。市場の中では肉や野菜のほか、朝鮮系の住民がキムチなどの総菜も売っている。面白かったのだが、残念ながら中は撮影禁止。キルギスやウズベキスタンの市場では写真を撮ってきたので、追って紹介しよう。


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 ブドウやリンゴは東南アジアの市場では見かけない。遠くまできたな…と思う。


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 トロリーバスも走っている。バス料金は150テンゲ、約40円の均一。安さもさることながら、均一というのが旅行者にはありがたい。私は滞在が短かったので買わなかったけど、ピッとタッチするICカードもあった。乗る前に運転手に行き先を確認し、着いたら教えてもらえるように運転席近くに座る。


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 一路線だけだが、地下鉄もある。これはさらに安く、ひと乗り80テンゲ、約20円。たいして乗る人がいないのに無駄にホームが広い。


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 ちょっとドラクエのダンジョンっぽい。


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 地下鉄の路線図と地図。赤線が地下鉄で、黒い吹き出しが駅。極めてシンプルだ。この図では北が下になっているので注意。


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 上述の安宿の朝食。値段の割にかなりしっかりしている。謎の赤いジュースや、赤キャベツのサラダがあるあたりロシア風である。チーズとハム、黒パンがうまかった。


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 市場の食堂で昼食、ほかの客が注文していたのを指さしで頼んだ。プロフという炊き込みご飯だ。ピラフの語源ともいう。羊の油でけっこうしっかりした味つけなのだが、油の甘みがよく米になじんでいた。それだけだとくどくなるのを、トマト、キュウリ、玉ねぎがちょうどいい口直しになる。いろどりもいい。ミルクティーも付けて800テンゲ、約220円。当たりだった。


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 歩き疲れた夕刻。屋外にテーブルを出しているレストランでビールを飲んでいる客がいたので入ってみた。メニューを持ってきてもらったが現地語でさっぱり読めない。ほかの客のテーブルをきょろきょろして、サラダを注文。写真には写っていないが、金串に肉を刺して焼いたシャシリクという料理も頼んだ。一日歩き回ったからビールのうまかったこと! 500ミリリットルは入る大ジョッキ。ビールは比較的苦みが強く、コクがある中に香りが高い。涼しい風に吹かれながら結局2杯飲んで、料理とも合わせて2740テンゲ、約750円。


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 サラリーマンの休暇はそれほど長くない。アルマティは2泊で離れ、隣国キルギスの首都ビシュケクに向かう。写真は、アルマティのバスターミナル。ロシア語ではアフトバグザールといい、路線バスで向かう際に連呼した。


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 貼ってあった時刻表。上から5番目がビシュケク行き。320キロとある。


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 ビシュケクまでの切符はターミナルに入って右手のブースで売っていた。1800テンゲ、約500円。チケット売り場のおばさんは「満員になったら発車」という。特に予約の必要性はないようだ。切符はレシートみたいなぺなぺな紙。


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 ビシュケクに向かう、マルシュルートカと呼ばれるバン。客は18人乗り。私が乗ってから20~30分程度で満席となり、午前10時半ごろ、いざ出発。


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 郊外に出ると、起伏のない草原が続いている。学校で習ったステップってのはこの辺のことかあ…などと考えながらぼんやりする。


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 3時間ほど走って午後1時半ごろ、キルギスとの国境に着いた。写真は、カザフ側のイミグレーション。ここで荷物を持って全員降りる。


【個人旅行者に役に立つかもしれない情報】
 今回の旅行ですごく参考になったのが個人旅行者が日本語で書いていたブログだった。ややマイナーなルートをたどる際に、チケットの買い方や値段など、事細かな情報がガイドブックより詳しいことが多く、ありがたかった。そこで今回からの試みとして、これから行く人の便宜のため、役に立ちそうな情報を私もまとめておこうと思う。路線図や時刻表を載せたのもそのためである。
・アルマティからビシュケクへのマルシュルートカはバスターミナルに行けば乗ることができた。予約の必要はない。1800テンゲ、約500円。所要5時間ほど。
・アルマティ市内中心部からバスターミナルへは、路線バスで行ける。パンフィロフ公園や中央市場近くのバス停から
(バスの番号を控えていませんでした…すみません)。路線によるが中心部からは30分~1時間くらい。


<中央アジア旅行記②へ続く>

※2019年8月の旅行です。通貨はかなり大雑把に換算しています。
※全ての写真は筆者撮影です。一切の無断使用や転載を禁じます。



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