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JAL争議財政の正常化を求めた民事訴訟の提訴にあたって

私たちの整理解雇事件は、最高裁でも上告棄却・上告不受理(2015年2月4日、5日)で敗訴が確定し、司法による救済の道は閉ざされましたが、その後も両原告団は争議を継続して全国のご支援と日本航空キャビンクルーユニオン(以下CCU)、日本航空乗員組合(以下JFU)の強力なバックアップを受け、職場復帰と労使関係の正常化を柱とした4要求の実現を目指し全力で活動してきました。

しかし、2021年に闘い方や要求などの違いが生まれ、パイロット3名によるJAL被解雇者労働組合(以下JHU)の発足(2021年4月4日)を契機に客乗原告団の所属組合が二つに分かれた結果、CCU所属の原告は63名中44名となり、19名がJHU所属となりました。その後は、それぞれの組合の方針に基づき活動を継続する中で、2022年6月23日に会社から3労組(CCU・JFU・JHU)に対し整理解雇解決策が提示され、CCUは合意文書(労使関係の正常化・全員対象の業務委託による就労補償など)、JFU(CCUとほぼ同内容)は協定書に正式調印(7月29日)しました。一方、JHU(公表では32名)は会社提案を拒否して未加入の乗員原告3名を含めて争議を継続しています。なお、CCU原告は、合意内容に基づきJAL本社内の業務委託を請けながら、引き続きCCU組合員として客室乗務員の職場の仲間と共に日々組合活動の取り組みを進めています。

争議終結と争議継続で分かれたことから、JAL不当解雇撤回裁判客乗原告団(以下客乗原告団)は12年続いた組織の区切りをつけることとなり、2022年10月9日に開催した客乗原告団全員集会で解散を決定しました。それに伴い10月30日には、乗員原告団と合同で開催した全員集会に於いてもJAL不当解雇撤回裁判原告団の解散と財産の処理を決議しました。ところがその後になって争議継続グループが一方的な財産占有の挙にでました。決議の履行を求めても拒み続けてきたことから、処理されるべき財政問題への対応が頓挫する事態となり、2022年10月30日以降の経緯は以下の通りです。

1. 2022年11月2日の国民支援共闘解散総会の場で、参加者のJHU三役より「当事者間の話は行わない。弁護士マターになった」と通告されたことから、弁護士を介さざるを得なくなった。その後、3回の書面による申し入れを行なっても不誠実な対応が続き、争議継続グループは決議に基づく対応を拒否し続けてきた。

2. この間、CCU所属の原告44名で開催した「JAL解雇争議解決報告集会」(2023年4月8日)に於いても12年間にわたる財政報告ができず、現在に至ってもその義務を果たせていない。

以上の状況から1年4ヶ月の間、代理人弁護士を通じ解決の努力を払っても打開の見通しは全く立たず、もはや裁判以外に解決できる手段はないと判断し、東京地裁に提訴しました。

 争議を終結した者も継続する者も、2010年の解雇から長期の争議を支え、ともに闘って下さった全国の支援者の皆さまに、この間の財政についてのご報告が一切できていないことに加え、JAL争議全体の財務処理を巡って不穏な状態に陥り極めて不正常な状況となっています。私たちには、2011年の提訴当時に立ち返りJAL争議を健全な形に戻す責任があります。私たちはその責任を果たすために、万止むを得ず司法で解決する道を選択しました。第1回目の口頭弁論の期日が裁判所より提示され、4月12日となっています。司法の場で全ての事実を明らかにさせながら、財政運営が一日も早く正常に戻されることを念願して、早期解決のために引き続き努力して参る所存です。

 訴状(骨子)を開示させて頂きますので、提訴に至った事情をご理解いただき、引き続きのご支援をお願い申し上げる次第です。ご一読頂ければ幸甚に存じます。       

    2024年3月

元JAL客乗原告団三役
 内田 妙子
斎藤 良子
森  陽子
安藤 眞由美
飯田 幸子


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