この悲しみの世に

我が心の友に薦めてもらった本。

いきなりシナイ山を登るところから始まる。これは神の楽園を追放されたアダムとイヴの物語なのだろうか。有名なモーゼの十戒には次のようなものがある

「隣人の妻を欲してはならない」

愛は時に掟を破り、神に背く。インドの聖者と呼ばれたラマナ・マハルシは「隣に住む人妻が魅力的で間違いを犯してしまいそうで恐い」と相談に来た信奉者に対してこう言った。「たとえ間違いを犯したとしても気にするな。」

神はどんな罪でもお許しになる。人が人を裁くのだ。或いは自分自身によって。善彦がアフリカの砂漠へ行ったのは自分自身を「裁く(砂漠)」ためだったのかもしれない。そういう作者の裏の意図を感じながら。とても味わい深い作品だった。いつかシナイ山に登ってみたい。

「この悲しみの世にあっても、私たちには、実際に聖人たちも天使たちも持っていなかった幸福があります。それは、私たちが最愛の人(キリスト)のために私たちの最愛の人(キリスト)と共に苦しむという幸福です。」


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