はじめてのブルーノート


去年、はじめてブルーノート東京へ行ってジャズライブを観てきた

お目当てはジャズベーシスト界の巨匠ロン・カーター。ジャズベースの中では最も有名で最も華がある人。そしてウッドベースよりもデカい人 笑

この人はジャズファンの間でも評価は分かれる。過大評価されすぎだという意見もあるけれど、ぼくはジャズというただでさえ難解な音楽でこれだけ多くの人を集められる人は凄いと思う。ソロでバッハの無伴奏を弾いてくれたのだけど、まるでチェロのような音だった

元々はチェロを弾いていた人だから、あのような独特の伸びのあるサウンドになるのかもしれない(ロンはベースにナイロン弦を使っている)


漫画「BLUE GIANT」でもロン・カーターは登場する。この人は演奏でジャズを表現する人ではなくて、雰囲気や佇まいがすでにジャズなのだ。だから、音程がハズレていようがピッチがズレていようが客が集まる。それが華であり、これは努力して獲得するものではなくて、どちらかというと先天的に備わっているものだろう

薔薇の花にはトゲがあっても人は魅了されるように、ロン・カーターのような毒気のあるサウンドでも、そこに美しさがあれば人は寄ってくる。反対にどんなに高いテクニックを持っていても華がなければ人は見向きもしない。それが舞台に立つ者が背負っている宿命である

「シャツとタイとポケットチーフにいつも気を配っている。仕立てのいいスーツも大切だ。」

ファッションセンスがダサいジャズメンが多い中で、ロンは取り分けオシャレだ。ぼくもステージに立つ者にとって服は楽器の一部だと思っている。外見心理学という言葉があるように、人の印象は最初の3秒で決まってしまうのだ

何十年も一本のウッドベースの横に立ち続けるというのは、きっと並大抵のことではない。80歳にはとても思えないパワフルで若々しいプレイに脱帽した夜でした。


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