エンターテイナー

うす暗い楽屋でひとり瞑想にふける
観客のざわつく声が聞こえる
おれは考えない
明日のことなど
毎日が命日さ
おれの体調がすぐれないとか
おれの頬にある傷が女に引っかかれたものだとか
家賃を三ヶ月滞納しているとか
そんなものお客には関係ない

おれはエンターテイナー
ひとりよがりな哲学者じゃねえ
客が望むものを見せて金を稼ぐ

ステージに続く細い廊下を抜けたら
おれのショーが始まる
おれは考えない
明日のことなど
脳ミソなんてとっくの昔に捨てちまった


さあ出番だ
準備はいいか
覚悟はできてるか
おれはエンターテイナー
この瞬間のために生きる

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