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「MASAKI TAMURA - POWER JAZZ」 リリース記念インタビュー [後編]

10月15日より全国販売開始された「POWER JAZZ」のミックスを手がけたMASAKI TAMURA氏に前編では今までの音楽遍歴について伺いましたが、今回の後編ではMix CDのコンセプトについてをインタビュー!

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JSK: 今回のMix CDのテーマは何ですか?

MASAKI: 全体の構成は”旅”。冒頭部分に旅立ち、中盤の力強いホーンが入ってくる部分あたりからテーマである「POWER」を見つけて、最後は故郷に帰っていく、そんなイメージで選曲を考えました。MIXの面白さって、単体の曲で聞いてももちろん素晴らしい曲ばかりなのですが、流れで聞くことでまた違うイメージで聞こえてくると思いますので、やはり全体通して聞いて頂きたいですね。もし収録されてる同じ曲を知っている方がいましたら、一曲で聞くイメージとMIX構成された曲とで聞き比べしてもらえれば面白いかもしれません。

JSK: 今回はスピリチュアル・ジャズがメインで収録されていますが、Jazzの中でもなぜスピリチュアル・ジャズを選んだのですか?

Jazzは色々要素がある音楽なので、どういうJazzにするか考えました。精神の開放であったり自由を求める強さ、そういったメッセージをミックスの中にいれたいなと思い、インプロビゼーション的な側面が強く、かつフリーすぎない構成の曲を選んでいくと結果的にスピリチュアル・ジャズにたどり着きました。Jazzy Sportの音楽が好きな人達のなかでのJazzというとHipHopのサンプリングソースであったり、ブレイクビーツが取り入れられてるJazz、たとえば70年代のSky High Productionのような曲は浸透しているとは思っているんですが、スピリチュアル・ジャズはどうなのかな、、、と悩んだのですが、近年リリースをされるUKJazzであったり、アートやファッション方面でもプリミティブな、土着的な文化に影響されているものが多くなってきていると感じたので、いけるなと。曲の構成とかメロディラインとかアフリカンのようなルーツミュージックの要素が色濃く出ている音楽で、湧き出る力が凄い曲が沢山ありますので、こちらを入門編にして、どっぷりはまってもらえたらとてもうれしいです。

JSK: タイトルの「POWER JAZZ」はどういった由来で名付けたのですか?

MASAKI: キング牧師の有名な演説だったり、もともと人権運動に対して力強いエネルギーを感じてたんですよね。昨今の国際的な運動のブラック・ライブズ・マター(BLM)の拳を突き上げるようなメイン・ヴィジュアルがパッと浮かんできて。決して派手ではない曲も入ってるんですけど、派手=力というよりは静かだけど内に秘める曲の力強さ、そういうものを表現したいなと。いざタイトルにするときに、イメージを言葉にしないといけないんですが、色々考えた末に、ひねりなくストレートに「POWER+JAZZ」が一番いいなと。イベント名の「DoitJAZZ!」もそうなんですけど、簡潔なほうが好きなんで(笑)

JSK: 特に思い入れある曲や、意識したミックスの流れは?

MASAKI: まず冒頭部分のBobby Hutcherson - Hello To The Windのイントロ部分をループさせてイントロにWeldon Irvine - Time Capsule Verse 2の詩を重ねています。地球は狭く混雑しているけど調和は存在する、そのバイブスをタイムカプセルに封じ込めた、という内容で。このミックスもそうなればよいなとのメッセージを込めました。

JAZZを通してブラックミュージック全般に影響を受けてますが、どんなにあこがれて影響を受けてても僕は日本で生まれてる日本人なんですよね。その立場も含めて中盤Billy Harper - Love On The Sudan(日本企画盤)部分からは日本人が企画したJAZZ、日本人アーティストの曲を違和感なく聞けるようにMIXをしています。この部分はWWFMで世界の人に音楽を発信するときに学んだことです。それぞれのルーツを持つ人たちがそれぞれのルーツを自信を持って発信出来るようにもっとなればいいな、と思ってます。

近年のテーマでB面の曲っていう意識があって、簡単に説明するとアルバムであったらタイトル曲がA面で有名な曲とすると、B面のレコードの内側に入ってるような曲というか、ニュアンス伝わりますかね?(笑)そういった曲に側面をあてて、ラジオでは特に意識して選曲してるんですけど。自分の中で最大級にそのB面を発揮できたポイントとして、終盤にRoy BrooksからPharoah Sandersの曲でジャズワルツになる部分ですね。Pharoah Sandersといえばスピリチュアルジャズの有名曲があって、アルバムを買う際にはその有名な曲を求めて買う人が多いと思うんですけど、じゃなくて”Yemenja”という曲を収録しています。もちろんミックス全体の流れから創造された流れなんですが、とても美しく、力強い流れになってます。

トラックリストが非公開なので、伝わりづらく申し訳ないのですが、色々言いましたが聞いてくれる方一人一人の感性が大切だと思うので、それぞれの解釈で自由に聞いて頂けたらうれしいです。

JSK: その他もし何か一言あればお願いします!

MASAKI: JAZZのみのMIX CD、スピリチュアルジャズ中心のMIX CDはおそらく流通量も少ないと思うのですが、攻めた企画を快くCD発売してくれたJSKに感謝です!そして是非、これからかジャズを聞いていきたい方、興味のある方には是非手に取ってくれたらと思います。星の数ほどある素晴らしい音楽を発見できるきっかけになれば最高ですね。インタビュー有難うございました。

Speaker: Masaki Tamura
Interviewer & Editor: Yukari BB (Jazzy Sport Kyoto)

〈リリースを記念して「DoitJAZZ! 」ロンTをJS Kyotoにて限定販売中!〉


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