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多系統委縮症と歩むオジサンです。 日々の出来事や思いを綴って行こうと思います。 病状の…

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多系統委縮症と歩むオジサンです。 日々の出来事や思いを綴って行こうと思います。 病状の進行によっては、いつまで続けられるかはわかりませんが、他愛ないことを綴ることで、 少しでも前を向いて歩んで行ければ良いのかな。

最近の記事

悲しいくらい みじめやなぁ

職場で「心のバリアフリー研修」なるものが実施された。 共生社会実現に向けた活動の一環なのだそうだ。 研修は「ブラインドサッカー」を通じて、人の温かさを知るのだという。 僕は、多系統萎縮症患者で、障害者である。 左足に運動失調があり、トボトボとしか歩けない。 ましてや、走ることなんて、ジョギングさえ難しい。 体幹に著しい障害があるらしく、何でもない時に、 とんでもなくバランスを崩す。 突然、バッタ~ンと転ぶ。 潔いくらい、見事に地べたと友達になる。 先日も、息子のアパート

    • えっ もう終わり?

      帰路につく 夢の世界から 現実の世界へと戻ってゆく 何という心の重さだろう 楽しかった思い出を 目いっぱい膨らまして 心の底の 鬼の節穴を 塞いじゃえ 夫婦で旅の出る。 お気に入りの場所がいくつかあって、リピートするのだ。 時に息子たちがついて来る。 「しょうがねぇなぁ。温泉入るとき、見守っとかにゃ、心配やけん。」 息子たちは、ニコリと笑う。 決して、嫌々ではないのが嬉しい。 楽しい現実逃避の旅は、待ち遠しく そして、あっという間に終わってしまう。 「さあ、帰るか」 帰

      • 鬼が出るぞ

        薄暗い部屋で テレビだけが光っている 見知らぬ芸人が 何やらぎょうらしい 映像も 音も 一瞬 脳味噌を横切るだけ ハッとした 鬼の目が光った 我が家は 共働きである 女房殿の休日は土日のみ したがって 祝日は、ひとり 留守番となる そんな日に 相手をしてくれるのはテレビと言うことになる ボーっとして 気を抜いた瞬間 心に底の節穴から こちらをのぞいていた鬼の目が光った 普段は おとなしく 隅っこに押し込んでいるのに 恐怖やら悲しみやら 色んな感情たちが  鬼のように こ

        • 生きていた足跡

          つたなき文章をネットに載せて つたなき文章が世界を駆け巡る たった数行 今、ここに、僕が生きていた 足跡を残したくて 多系統委縮症なる難病だと確定診断が下った時ショックが大きすぎて、 「何だ、治んないんじゃん」って、ただ苦笑いしていた。 悲しいというかいう感情さえ無い。 時が経つにつれ、事の重大さが覆いかぶさってきて無意識の中で 涙が流れた。 ブログでも書くか。 動機は、単純だった。 その思いを吐き出すことで、少し気がまぎれるかもしれない。 つたなき文章なれど、

        悲しいくらい みじめやなぁ

          秒速5ミクロン

          「ねぇ、秒速5センチなんだって。」 「桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル。」 新海誠監督の短編三部作、「秒速5センチメートル」、第1話「桜花抄」。篠原明里の冒頭のせりふ。 この言葉から、「孤悲(こい)のものがたり」がスクリーン上に展開する。見返すたびに、胸が痛む。 今の人生と重なってしまう。何度も見返す。何度も、何度も・・・・・・ 秒速5ミクロン。 僕の病の進行速度。 アリさんが歩くより、ずっと遅い。 でも、決して、決して、止まってはくれない。 まだ、階段の1

          秒速5ミクロン

          今は それでいい

          あなたは 何気なく 僕を見ている その視線が 僕の心に突き刺さる かつては 気にもしなかった 視線の先にいるのは 僕という弱者 単なる 被害妄想かもね 僕は、多系統委縮症なる難病患者となって程なく杖歩行となった。 なったというよりは、そうせざるを得ない状況になったのである。 5年前のことである。 50代半ば、病院の待合室では若い方かもしれない。 杖をついて歩く青年(?)を見て、多くの視線が注がれる。 どうして その若さで? 足が悪いの? それとも脳出血か何かの後遺症? 無

          今は それでいい

          花丸に生きる

          僕らは、多様性の世界で生きている。 解離性同一性障害 Dissociative Identity Disorder :DID 多重人格障害と言ったりもするらしい。 悪いイメージがあるけれど、良く知れば、そういうものでもない。 haru君が、地上波に出演している。 彼の中には、主人格であるharu君と10人の交代人格が住んでいるという。 えっ、そんなことが・・・と思うかもしれないが、現実である。 多系統委縮も同様だけど、DIDの研究も進んでいない。 だから、健常者には理解

          花丸に生きる

          JBという人格

          僕は、多系統委縮症(MSA)なる名前の進行性・致死性の難病患者である。 多系統委縮症は、3つの病気のグループ名であるので、正確に言えば、僕の病名は「オリーブ橋小脳委縮症(OPCA)」というのだそうだ。 以前、この病が全国的に有名になった時期があった。 その頃は、脊髄小脳変性症の一種に分類されていて、当時15歳だった少女・木藤亜也さんが記した手記「1リットルの涙」が話題を呼んだ。 映画化され、さらに2005年10月11日から12月20日まで毎週火曜日の21時にテレビドラマとし

          JBという人格

          母のテレパシー

          健常者でも 難病患者でも 障がい者でも 何でもいいけえ 生きてさえいてくれれば 還暦の祝いなるものをしてもらった。 家族全員がそろった宴。 ふ~ ここまでは来れたか。 少しだけ安堵する。 わいわい食事している中で 静かに母が箸を動かしている。 自分より先に 息子(僕の弟)に逝かれ。 夫(僕の父)も すでにお浄土に旅立っている。 唯一残っている息子は、多系統委縮症なる進行性の不治の病。 私が、何か悪いことでもしたというのか?という 熟字たる思いがあるだろう。 その息子が 6

          母のテレパシー