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Clubhouseはグローバルでは伸びている?「ライブオーディオ」に注目したい、2022年の音声市場とは(レポート翻訳)

USのActivate Consultingによる"WSJ 2022 Technology and Media Outlook”が公開されました。このレポートでは、テックとメディアの最新動向と2022年の展望に関して、メタバース、NFT、音声といった14ポイントが分析されています。今回は「音声」の領域について、Clubhouse以降のライブオーディオやポッドキャストが国内の認知以上におもしろいトレンドを見せているぞ、とワクワクした点を翻訳してまとめていきます。

14 Takeaways from the Activate Technology & Media Outlook 2022

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(以下、WSJ 2022 Technology and Media Outlookの翻訳/一部、日本市場に置き換えて理解を深める目的においての意訳あり/私見や補足はグレーで囲います/音声を語る上で切り離せない音楽サービスの分析にも一部触れます)

音声は、もっとも成長が加速しているメディアの1つ

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ポッドキャストは、楽曲配信のサブスクサービスを含めたオーディオプラットフォームにとってコアな聴取習慣を作ることができます。ポッドキャストによってエンゲージメントが促進され、ユーザーが重要顧客となることが期待されます。

ポッドキャストの成長ドライバー

①音楽サービス内のポッドキャストが増えること
トークコンテンツや、サービス限定ポッドキャストを聴くために音楽サービスを使う、というリスナーが増えると予測できます。

②ベテランポッドキャスト配信者の成長と、ポッドキャストの配信障壁を下げること
あらゆるタイプのポッドキャスト配信者に開き、コンテンツが増えることでリスナーが増えていきます。

③他のメディアフォーマットとの接続、統合
ポッドキャスト本編以外に、他のプラットフォームに紐づく別コンテンツを作ると、新しいリスナーを惹き付けることになります(サブコンテンツなど)。

(補足)国内だと、たとえば「ラジオトーク」で配信した音声を、一部切り抜いてTikTokやInstagram Stories、Twitter等にショート動画として配信できたりします。例:Twitterにシェアされた動画例はこちら

ラジオは縮小、それ以上にインターネットの音声が普及していることで、音声全体は成長傾向

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インターネットの音声リスナーの増加要因
①音楽ストリーミングサービスの普及
②ポッドキャストの成長
③ソーシャルライブ音声、ユーザー投稿型の音楽&音声コンテンツの増加
④オンラインイベントの拡大

音楽リスナーが使う音楽サービスは平均2.6個

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1人あたりの利用サービス数は年々増えている傾向にあるんですね(2019年1.6個→2020年2.2個→2021年2.6個)

音楽ストリーミングサービスの人気ランキング

(無料&有料 不問。過去1ヶ月の利用比率)

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音声プラットフォームと、各特化型の企業の概要図

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音声領域の企業たちは、増大する音声リスナーのニーズに対応すべく、音声プラットフォーム全体を網羅することを目指しています(①全方位的に包括する企業 ②大手とのアライアンスを通す特化型企業 の二面あり)。オーディオエコシステムが作られる予兆といえそうです。

大手音楽サービスは、ポッドキャスト機能の開発に投資、買収

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ポッドキャストのコンテンツが、ユーザー獲得、リテンション、課金率などのエンゲージメント改善につながるため、大手音楽サービスによるポッドキャストの独占配信や買収、買取が多数進んでいます。

Spotify
以下を独占コンテンツとして買収(総額600~1000億円あたり?)
▶バラク・オバマとミシェル・オバマ
・メーガン妃&ハリー王子
▶ジョー・ローガン
(契約金額100億円。世界のポッドキャストのキングと呼べよう)
▶キム・カーダシアン
(リアリティ番組司会女性、刑事事件を扱う番組)
▶ブレネー・ブラウン
(TEDで有名、 勇気・恥・共感などの研究者)
▶アレクサンダー・クーパーの”Call Her Daddy”
(契約金額68億円。恋愛や下世話なガールズトークもアリのお悩み相談。いろいろ裁判沙汰になったけど復活‥して止まっちゃっていますね)

Amazon
▶“SmartLess”を買取(数百万ドル予測 / 2021年6月)

“SmartLess”ーー 3人の愉快な男性(Will Arnett、Jason Bateman、Sean Hayes)が、しゃべくり007形式で、1人が謎のゲストを紹介→答え発表→インタビュー、の構成で進めるバラエティ豊かな人気番組。2022年にはディズニー+でも独占配信予定。

SiriusXM
▶RomanMarsの”99% Invisible”を買収
。(評価額不明)

”RomanMars”ーーサンフランシスコの公共ラジオ局KALWとアメリカ建築家協会による、デザインと建築をテーマにしたラジオ番組。美しいリズムと音楽性を評価され、Apple Podcast上位50のチャートに長年ランクインしており、2015年のサードコースト国際オーディオフェスティバルでは受賞)

Clubhouseに続き、ソーシャル/ライブオーディオは消費者行動の主流になる

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▲Clubhouseのアクティブユーザー数(グローバル)

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▲代表的プラットフォームでのライブオーディオ参入状況

また、音声は様々な「副音声」としてのかけあわせ効果が期待できます。
<すでに行われている事例>
・Twitch × 楽曲レーベル
・Twitch × ワーナー・ミュージック
・Discord × Spotify
・PELOTON × Spotify
・PHILIPS × Spotify

(以上、レポートを抜粋した翻訳まとめ)

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国内だとClubhouseのユーザー数は2021年2月〜3月をピークとして下向きですが、実はグローバルで見ると伸び続けているんですね。このギャップは、国内だと収益化に対応できないこと(日本の資金決済法の都合)と、Clubhouseならではのコンテンツの魅力が広がるよりも先に芸能人の参入によって「ラジオと比較される存在」になったことで、価値が大衆層まで浸透しなかったという環境とタイミングの問題と見ています。

ただし、最後の図を見るとわかるように、Facebook, Twitter, Spotify, Slack, Discordなどの大手プラットフォームが、おもしろいほどこぞって同様機能を実装しました。つまりClubhouseではなくても「Clubhouse的体験」ができる場はむしろ増え続け、自然な存在になったとも言えると思います。そして、この機能をグローバルでは「ライブオーディオ」という呼び名で定着してきています。

そしてじわじわと伸び続けてきたポッドキャストには2021年、Amazon, Apple, Google, Spotifyとさらなる大手テック企業が続々と積極投資中であることがわかります。
音声は起きているすべての時間が可処分時間になるからこそ、プラットフォーム間連携や多種多様なコンテンツで拡大の余地があります。このポッドキャストと、2021年に開花した新体験のライブオーディオとが融合しながら、クリエイターエコノミーを創り出しているのがRadiotalk(ラジオトーク)です! ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

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