豪州録~JDPアセットマネジメント株式会社 野外サークル

オーストラリアの自然保護区

オーストラリア(豪州)の北の玄関口、クインズランド州ケアンズから車に乗って1時間。熱帯雨林の大分水嶺(れい)山脈を越えると、なだらかなサバンナ台地ハン・テーブルランドが広がっています。その一角に約2000ヘクタールのマリーバ・ウェットランド自然保護区があります。

草原とユーカリの疎林、点在する計120ヘクタールの水面、カンガルーやワラビーなどの野生動物、空を舞うカラフルな水鳥、人の背丈より高いアリ塚…。ビジター・センターのカヌーを漕ぎ出し、水面で時を忘れるカップルや、双眼鏡を手にバードウオッチングに興じる親子連れ。動植物が織りなすワイルドライフを肌で感じ、手近に観察できる「サンクチュアリ」を実感できます。

失われた森林

この一帯はかつて、バイン・フォレストと呼ばれる森林におおわれていました。

つる(バイン)をはじめ何種類もの着生植物が巻きついた巨木に代表される、多様な生物種のすみかでもあったサバンナの森林。しかし、先住民による焼き畑をはじめ、その後の放牧や用材調達のための伐採、洪水などで消失してしまいました。

再生への取り組み

この失われた太古の森をボランティアの手でよみがえらせようという植林ツアーの試みが、自然保護区を管理するマリーバ・ウェットランド財団の主導で行われています。

野生生物の保護を目的に1996年に設立された財団は、近郊農業に向けた湧水(ゆうすい)による潅漑(かんがい)用水路の整備が終わると、自然観察の楽園づくりに本腰を入れました。

自然観察の楽園づくり

バイン・フォレストの再生プロジェクト

核の一つとなるのが、バイン・フォレストの再生プロジェクトです。

マリーバ・ウェットランド自然保護区レンジャーによると、バイン・フォレスト再生用に土地を用意しました。植える樹種は、つるが巻くパンヤ、バオバブ、イチジクを中心にユーカリなどです。

熱帯だけに生長は早く、樹木の周りにつるをはわせ、一つの木に何種類もの植物が着生するようにします。小鳥の糞(ふん)に混じった様々な種子も地面から芽を出し、いつしか豊かな森林が形成されてゆきます。

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