ケタミンは、一般的には外科手術や患者の鎮静化に使用される麻酔薬ですが、最近では抗うつ薬としても注目されています。この薬は、NMDA（N-メチル-D-アスパラギン酸）受容体をブロックすることで作用し、グルタミン酸の放出を減少させます。これにより、脳内の神経伝達が変化し、抗うつ作用や鎮痛作用が発現します。

ケタミンは通常、経口摂取や点滴注射の形で投与されます。注射された場合、作用が速やかで、その効果は数分から数時間続きます。これは、特に自殺念慮のある患者にとって重要な点です。従来の抗うつ薬に比べて、効果が早いことが特筆されます。また、ケタミンは治療抵抗性のうつ病や双極性障害の患者に対しても有効であることが示唆されています。

ただし、ケタミンには乱用や依存症のリスクがあります。特に、非医療目的での乱用が懸念されます。そのため、ケタミンを使用する場合は、医師の監督のもとで行われるべきです。また、長期的な安全性や副作用に関する研究もまだ不十分な状況です。

総括すると、ケタミンは急性期のうつ病や治療抵抗性のうつ病など、特定の状況下で有効な治療オプションとして注目されていますが、その使用には慎重さが必要です。