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雨の話。

よく晴れた日は、レースカーテンから透ける、あの日差しが好きだ。その暖かさを感じてベットで微睡むのが好きで、晴れている休日は家で過ごすことが多い。

 誰かと外出する約束のある日は晴れていてほしいけど、自分が外出する日は別にそうじゃなくてもいい。もちろん晴れている日に外に出ることが嫌じゃないけど、眩しさと暑さに弱い。すぐに日陰に移動したくなる。


 もしかしたら、私は雨女かもしれない。さあ、お洒落して外出するぞと決めた日は、晴れていても、直前で曇りや雨に変わることが多い。全く予報にはなかったのに、外に出た瞬間に雨が降ってきたりする。狐の嫁入りにも何度か遭う。そういえば、最近東京へ行った日は、梅雨入りの日だったっけ。

 ぱらぱら雨粒が、家の屋根に当たる音を聞きながら本を読むと、とても集中して読むことができる。他の音が雨音に吸い込まれていくようで、いつもより周りが静かに感じるのだ。それは、外に出たとき、傘に雨が当たる音に対しても同じように感じる。いつもより、外が騒がしくないように思える。


 私は、雨が降る前、或いは、雨が降った後の、あの"雨の匂い"が好きだ。

 雨の前の特有の妙に涼しくてゆるい風に、湿った土埃やアスファルトの匂いが乗ってやってくる。ああ、近いところで雨降ってるかな、もうすぐこちらでも降るかもしれないと、その匂いで雨に備えるのが、小学生くらいから好きだった。

 雨が降った後は、一変して、爽やかで突き抜ける風に眩しい日差しと、雨に濡れた草木の匂いが乗っていて、清々しい気持ちになる。虹なんか見えたら最高だ。


 その"雨の匂い"に、ペトリコールという名前がついていることは、最近知ったけれど、私はあまり使わないようにしている。文章などで表現したいときは特に。"雨の匂い"という現象と、名前が、 何だか、別物のような気がして。

 けれど、名前をつけてくれた方に感謝をしたい気もする。私みたいに、"雨の匂い"を感じる人は他にもいて、この曖昧なものに、名前をつけようと、考えてつけてくれたのだと思うから。


 今読んでいる小説に、"雨の匂い"が好きな子が出てきた。その子は、レインコートについた"雨の匂い"がお気に入りらしい。"雨の匂い"、いいよね。

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くらげ

ふわふわ揺蕩う海月です。偶に溶けかけてます。他愛もない、拙い話を気まぐれに書いています。
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