見出し画像

夜の浮遊感と現と硝子のお部屋の話。

浮遊感。安心感。

夜、ベットに寝っ転がり、テレビや電気を消して布団をかぶってぼんやり上を見る。

冷蔵庫の稼働している音が唸る。Wi-Fiやテレビの主電源のLEDが、猫の目のように浮かぶ。

少し経って目が慣れてくる。物の輪郭がぼんやり曖昧な夜の一角。空間。

その日の気持ちにもよるけれど、布団以外にも、暗闇の、闇の綿が、私を包んでくれているような安心感に包まれる。

ぽわーっと、窓の方に目をやる。
カーテンの両端から、外の街灯の光が漏れている。
ぼんやり、うっかり、浮遊感。

うつらうつら、しているはずなのに、何処か頭は冴えている。冴えているのか、眠気すら通り越し、夢見心地で目を虚ろにしているのか。

ごろごろ、体を自由気ままに動かしながら、目を瞑る、寝れるように猫のように丸くなる。

うつらうつら、微睡みながら、ああ、誰も知らない、何処かへ行きたいと思う。

***

次の日、休日、少しおめかしをして、行ったことのないところへ行ければいいなと、部屋のドアを開ける。

そこで、昨夜の微睡みの魔法は消え、現実がそこに待っている。

人がいる、車が通る、昼間だけれど明かりのついた明るい店。喧騒。粉塵。風。信号の音。

それらが目に入り、耳に入り、ああ、そうだった。何処にもいけないんだったと落胆する。

現実の世界で、例え行ったことのないところへ行って、お気に入りの場所になったとしても、そこはもう、知っている場所になってしまう。

けれど、とりあえず、お気に入りの服を着て、外に出てしまったし、いつもの街でお買い物したり、休憩したり、本を買ったり、すぐに帰ったり。

例え、知らないどこかへ行けたとしても、探検に過ぎず、時間が来れば、無意識に家路に着いている。

オチはいつもそれ。ため息。

***

現。うつつ。ウツツ。

突然自分に、羽が生えたとしても、飛べるとしても、私は、夜の、浮遊感と安心感の誘惑に負けて、窓を開けて、飛び立たない。

所詮、現し世の世界。夜空が晴れて、月が見えていても、団地や、店の建物や車の明かりが綺麗でも、現実味というものは、実に面白くない。

夢見心地だなんて、子供でもあるまいし、大人と呼ばれる年齢なのだから、そんな気持ち、小箱にしまって押し入れに置かなくちゃ。

無責任は許されなくなってきた。段々、柵に雁字搦め。制約だって怖いのに、自由だって怖い。我儘なままでいたくない。自分の人生に責任を持てるようになりたい。

けれども、硝子のお部屋の角にうずくまっている、小さな女の子は、ずっとそのまま。いつか、その部屋から出られて、その子が実年齢にまで一気に成長できたら。時間が止まったままでいる、私の一部。

***

あべこべが、少しでも、縮まってくれたら。あべこべが、少しでも、良き方向へ生かせたら。

古い古いコンピューターのような脳味噌で考える。考える。ヒントは少しずつ貰えているはず。蔑ろにしないように、ひとつずつ、拾って、大切にしたい。

焦っても仕方がない。けれども時間は有限。
どうにかしたいよ、切実に。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

読んでいただけでも嬉しいのに( *´꒫`)
7

くらげ

ふわふわ揺蕩う海月です。偶に溶けかけてます。他愛もない、拙い話を気まぐれに書いています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。