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2023/10/28 SETLIST ELECTION 参戦

 誰しもみんな「遊びの約束」に心を支えられた経験はあると思う。小学校の頃の「放課後あの場所に集まって遊ぶんだ」という約束。それがあるだけで6時間授業は乗り切れた。
 遊びと遊びのスパンは長くなって、その分遊びの種類や規模は大きくなって。でも大変な毎日の中に変わらず「遊びの約束」があって、それを支えに歩くのは大人になっても変わらないと思う。というか変わってほしくないな。

 私はそんな「遊びの約束」を1つ果たしてきた。人生初のラウドロックバンドのライブ。coldrain の SETLIST ELECTION だ。

SETLIST ELECTION

 周りの人からは「海月といえばEve」「ユニゾン好きなんだっけ?」「ボカロとかアニソンのイメージがある」と言われるけど、私の奥底に刻みつけられてるのは意外とハードな音楽だったりする。その中でも私を「ハード」の道へ引き摺り込んだのがcoldrainだ。
 coldrainは安定感抜群のリズム隊の上にツインギターをかき鳴らし、さらに甘さと激しさを兼ね備えたボーカルが加わる、総じてヘヴィーだけどバランスも良いバンド。結成当初から音楽性が変わるラウドロックバンドは数あるが、coldrainはずっと変わらずどこよりも高くラウドを標榜し続ける最高のバンド。
 高1の冬にたまたまENVYを見つけて、そこからのめり込んだ。以来今日まで、私の精神の超重要な起爆剤として大きな位置を占めている。

 人生で一度はヘドバンしてモッシュしてメチャクチャになるライブに行ってみたい……。と思っていたので、公演日が大学院受験後になるチケットを取って、一日千秋の思いで待ち続けていた。
 SETLIST ELECTIONはチケット購入時に自分の聴きたい曲を投票できるシステムで、私も10曲ほど希望を出した。これが本当に悩ましく、ライブMCでMasatoも言ってたけど、コケた時期も突出した時期も無い、ずーっと満点のバンドなので選べない。
 それでもせっかくなら定番以外の曲が聴きたいな〜と思い、Conterfeits & lies や After Dark にも票を投じた。

 そんなこんなで当日。事前に欲しいものは買ったので物販の列をすり抜けてロッカーへ。300円のロッカーは「Feel Free To Take Flyer」と書かれていたが、別に要らなかった。上着を脱いで財布もカバンも置いて、スマホとドリンク代だけ持って出る。この後動き回るのだから、荷物は少ないほうがいい。

それを持って帰って何になるんだ。

 会場にBaysideとある通り海風が寒かったけど半袖で待つ。coldrainなら激アツにしてくれるという信頼……。でもそれにしたって寒かったので気を紛らわそうと周りを見ると、女の人もかなりきていてビックリした。ラウドは完全に男向けのジャンルだ(この令和に於いて適切な表現ではないかもしれないけど)。しかし体感4割は女性。バンドTを着たおばちゃんが4人で集合写真を撮るシーンもあった。私もあんな風に歳を重ねたい。

 中へ通されてしばし待つ。外にいた時間も含めると3時間くらいは立っていた。もう脚が限界というところで暗転。一気に鼓動が早くなる。SEが流れた瞬間、失神しそうになった。赤いライトの下、私も手拍子に加わる。今までで1番強い力で手を叩く。痛みは感じない。最前に近いところでは肩車の壁ができている。その奥には登場するバンドメンバーの姿。DVDで何度も見たあの光景が、今目の前にある。それだけで感動モノだった。

幸運にもスタンディングの中央付近で観れた。

 VENA で幕を開けた。最初はなんの曲か全く分かんなかった。ただただ目の前にcoldrainが存在する衝撃で、頭がいっぱいだった。続いて WRONG 。”Breath in” “Hold on” と必死で叫ぶ。声が枯れるのも構わない。むしろ枯らして帰るという気概。F.T.T.T まで来た時にはもう夢中で頭を振っていた。最初からトップスピードだ。このライブ、食らいついて行かないと振り落とされる……!

 ギアを全く落とすことなく AdrenalineEvolve と続く。もうすでに汗だくだ。周りの人は慣れているのか、はしゃいでいるのにまだ涼しげ。

あなたたちが選んだ曲を、俺たちが演奏します!

MCより

 一体感という意味ではなく、セトリから私たちが作り上げているライブ。だからなのか、一層の高揚感がある。何が演奏されるか分からないドキドキもライブの醍醐味だけど、こちらがセトリを作るライブがこんなに楽しいものだなんて!
 そして私の選んだ1曲 SIX FEET UNDER のギターが鳴った。その瞬間、自分でもビックリするくらいに叫んでいた。もうなんか後のことはどうでも良い……今この場に人生の全てを置いていきたい…………!とさえ思いながら全力で腕を突き上げる。私はとんでもないところに来てしまった。ならとんでもないことをしても良いじゃない。

 続いては GIVEN UP ON YOU 。リードトラックとかでは無い、知る人ぞ知る名曲。いいねぇこういうレア曲はセトリ投票システムがあるからこそだろう。SEを挟んで COEXIST が引き継ぐ。私の両腕は手拍子でもう上がることを拒否していたが無視した。

柵を挟んで WALL OF DEATH が2個作れちゃうんだな〜

MCより

 coldrain を知る人なら何の曲かお分かりでしょう。24-7 です。さすがに初心者の私がWODに参加するのは危険だと思ったので、横にいた男の人の肩を叩き、空いた手の親指で背中を指す。意図を察したその人はそのままの笑顔で、口の形で「ありがとう」を伝え、果敢にも死の壁にブチ当たっていった。その背中に心の中で声をかける。待っててね!次は私もそっち側に行ってみせるから……!
 そんなこんなで立ち位置変わって Rescue Me 。ちょっと意外だった。そこまで肩入れしてる曲でもなかったけど、ライブであんなに化けるとは。というかあの場ならもう何でも騒げる気がする。

 そんな「私は別に」だった曲の後は「私は大好き」な曲。Counterfeits & lies だ。まさか選ばれると思ってなくて、投票した身としては最高の気分。間奏のギターソロの音がとにかく良い。Y.K.C. カッコ良すぎるよ……。結婚してくれ……。
 武道館ライブのDVDで聴いてから期待大だった R.I.P. 。さすがに炎の演出は無かったけど、生で聴くと迫力がすごい。曲の締めがとんでもない。”The game is over” ダンッ——。みたいな。

確かMC中(撮影解禁後)。演奏中は撮ってる暇なんて無い。

 ここでようやくしっとりパート。全体から見るとまだ半分ほど。もう既に汗だくというレベルを通り越した私に対して「お前らまだ汗かいてねぇだろ」と煽るMasato。いやもうお陰様で大洪水ですが……。

 さぁそのしっとりパート1曲目、Miss you で事件は起きた。”The next song is called ‘Miss you’ “ と言った瞬間、Y.K.C.が「ドゥーン!」と重い音を鳴らしたのだ。暗転した場内は一転して明転。「待って待って待って嘘嘘『Miss you ドゥーン!ww』じゃ無いから笑」「みんな忘れた?記憶から消した?」というMasatoに会場からは笑い声。この後さらにもう1回仕切り直してようやくMiss you は演奏された。このやり取りの後普通に歌えるのすごい。

 もう少し続くしっとりパート。2曲目は THE STORY 。これも選曲した身としてはありがたい限り。冒頭の暗い雰囲気からサビで一気に盛り上がるのがとにかくカッコいいし、まだ倒れないという強い意志を感じられる曲。辛い時何度も救われた。

 しっとりパートはここで終わり、PRETTY LITTLE LIAR で再び着火が宣告される。会場からは「お?」という声も上がっていた。私自身も意外に思った選曲だったが、”GO!” と叫ぶ時誰よりも高く跳んでいた気がする。
 炎の勢いは止まらない。MAYDAY で更に強められる。十分休憩できただろと言わんばかりの熱狂。シャウトの迫力がとてつもない。まさにモンスターだった。これ Ryo とのコラボも聴きたかったなぁ……。もう聴けないのかと思うと残念でならない。(p.s. と思ってたらRyo は別のバンドで活動できてるっぽい…?対バンで共演があったそうな。)

 私史上過去最高のボルテージを更に上げながらライブも終盤戦。 Nonnegativeから3曲、Before I GoHelp Me Help YouPARADISE(Kill The Silence)だ。もう脚が震えていたと思う。跳び過ぎで。そして日頃の運動不足で。それでも “Breathless! Hopeless!” と全力で叫ぶほどに、どうしようもなくブチ上がってしまう。こんなに楽しい時間は今までの人生、比喩抜きで1度も無かった。
 欲を言えば私はCALLINGに投票してたんだけど、まぁそれは今度必ず聴きに行くからね。お預けとしよう。

 そして眩しい赤と青のコントラストに照らされて演奏されたのは THE SIDE EFFECTS 。ここでもY.K.C. のギターソロが光る。かなり近くで見ていたけど、意味が分からないくらいの速さで手が動く。早いスピードで頭振るのもいいけど、1回1回重い音を感じながら頭振るのも、ブレイクにちゃんと混ざってる感じがして良い。
 彼らにとって初めてのアニソン。We’re not alone も演奏された。これは最高のサービス!私は大学受験この曲に支えられた。冗談抜きで人生に絶望していた時期だったので、松葉杖どころか脚そのものになってくれた曲。教会で聞く讃美歌のように、大事に聴いた。

 本編最後の曲はやっぱりアレ!The Revelation!イントロが演奏された瞬間、それまで以上の凄まじい熱気を感じて、同時にそれぞれの熱狂が渾然一体となった。やっぱりこの曲ナシでcoldrainのライブは終われない!みんなそう感じてたのかな。事前に聞いてはいたけどすごい光景。確かに前の方にいたら死んでたかも笑。既に身体は悲鳴をあげる力すら出し切ってたけど、それでも叫んだし拳を突き上げた。もう最ッ高だった。

割れんばかりのアンコール。大合唱もとい大絶叫。

 アンコール1曲目は CARRY ON 。終演後にすれ違った女の人が「そうCARRY ONね。最高すぎ。」と言っていた。完全同意。ランクインしないというのも違うけど、このラインナップに並んでくるとも正直考えて無かった。みんなの選曲のセンスの良さよ……。私では追いきれないcoldrainを見せてくれる。
 2曲目はFiction。これは思い入れの強い曲だよね。MCで「ごめん1番は嘘か。2番目に古い曲やります!」と言ったのが個人的にウケた。私はそこまで期待してなかったけど、裏切られた。もう一度ライブで聴きたい……!と思わされるほど。

 アンコールラスト、私史上最強の狂乱となった夜の最後を飾るのは最新曲 NEW DAWN 。「被り曲ナシって言ったけどさ。ごめんやっぱこの曲やんなきゃ終われねぇわ!」もう最高です。実は私この曲はまだこの時聞いたことがなかった。今までの曲から選ぶのかな〜って何となく考えていたからだ。ただ、1回目がこのライブのラストで本当に良かった。もう帰り倒れても良いから全部全部出し切ろうと、全力で叫べたし全力で跳べた。あの熱気と生演奏あってこそ。そして (勝手に) 院試を終えた私と曲名を重ねて感動していた。その感謝と感動を伝えるべくはしゃぎまくった。coldrainは最後の最後まで最高にカッコよかった。

 全部全部出し切った帰り道、とっくに限界を迎えた脚に鞭打ち、フラつきながら帰った。ドリンク交換は迷わずアクエリアスを選択。途中電車を乗り換える瞬間に自販機で飲み物を2本買って秒で飲み干した。出口で貰ったモンスターを飲んだらさすがにヤバいと思いつつ、とりあえず脱水にならないよう気を遣った。これは反省点。次はあらかじめ飲み物を持参しとこう。
 電車の中でも、汗だくなので座るわけにはいかない。USJの閉園とバッティングして、クソ汗臭いから距離をとっていた私に近づかざるを得なくなった皆さんすみませんでした……。私の目の前にいた仲良し女性2人組には、目が合った時に伝わったと思う。ほんとごめんね。

 総じて本当、比喩抜き文字通り最高の時間だった。今までで1番「私の居場所ってここだったんだ!」って思えた。「ここなら裏切られない!」と感じた。ロックというメインストリームへのカウンターカルチャーの最たるラウドロックという場所が、私は1番収まりが良いみたい。今までで1番「共同体の中に溶け込んでいる」という感覚になった。
 すごいよcoldrainのライブって。1度行けば「ブチ上がる」の定義が書き換えられる。メインストリームカルチャーやその近縁では絶対に味わえない恍惚感がそこにある。

 2月のガイシホールがもう今から楽しみで楽しみでたまらない。また絶対行くからな!次はもっともっと楽しませてくれよ!

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