見出し画像

2023/09/11 振り返って

「藤井風」の話

 いつもより気の抜けたバイト先。心の重荷が降りたことで、なんかいつもより輪郭が丸く見える。
 友達に改めて祝福されつつ、新しい生徒のファイルを眺めてどんな人なのか分析を始める。事務の人が飛んできて、簡単な人となりと授業方針を教えてくれた。曰く、よく喋るタイプなんだとか。よかった!好相性!ただ「内部進学が成功するかどうかはツーアウトだと思ってください」と言われたので、そこは背筋を伸ばしてやらなきゃいけないっぽい。

 中学生とは思えない、普段の私の何倍も気合の入ったメイクとアクセサリーで座ったのがその生徒らしい。確かに不覊奔放そうな雰囲気。600mlのラテを机の上に放り出し、鏡を見て前髪を調整して、私に向き直るや否や喋り出す。これは一筋縄ではいかなさそうだ。
 実際「私〜やる気出せばできるんですよぉ」と言いながら全然できないタイプの子だった。おそらくは自分の現段階での能力不足を直視できず、モチベーションの不足に転嫁することで逃避を図っている。部活の話などを聞いていても、少し他責思考の傾向がある気がする。彼女の吐き出す言葉の3割は、何かへ向けた悪口だった。
 予感は的中。毎週大変そう。

 ただお喋り好きなだけあって、面白い話を持ってきてくれた。
 ご存知、藤井風というシンガーソングライター。彼女は彼を、藤井風(ふじいふう)というモノマネ芸人だと本気で勘違いしていたらしい。藤井という人物が別にいて、その人の真似をしている藤井風だと思っていたそうな。
 大変そうな予感はするけど、退屈もしなさそうだ。

院試振り返り

 ほんと忘れないうちに。もう徐々に記憶は薄れているけれど。人に見せるような口調の方が書きやすかったので、ここだけ口調が変わります……。


 受けたのは経済学研究科と公共政策研究科です。タイムラインはこんな感じです。

3月: 院進決意。何をしなきゃいけないのか調べる。
4月中旬: 研究計画書のRQを考える。いくつか草案を教授に持って行き、全て門前払いを食らう。
5月上旬: 論文を10本強読み、その内容をまとめる。興味のある分野を絞っていく。
5月中旬: テーマを決め、見よう見まねで研究計画書を書き始める。受験先を決めて筆記試験の対策を始める。
6月上旬: 合格した人のお手本を読み、それに沿って研究計画書を書く。問題集も並行して進める。
6月下旬: アドバイスを貰って修正し研究計画書完成。ひたすら問題集を消化する。
7月: 出願。問題集を消化しながら、過去問を解く。
8月初旬: ひたすら過去問を解く。研究計画書の概要説明やその意義など、面接で必須の質問は対策しておく。
8月下旬: 想定問答をとにかく出し、それに対する自分の考えを言葉にする。

研究計画書がとにかくキツかった……。筆記は友達のおかげです。仲間の有無で精神負荷と難度が大きく変わるなと感じました。

 研究計画書が1番時間がかかったし、苦しかったです。特にテーマ決めの段階で何度も突っぱねられて心が本当に折れかけました。筆記から協力してくれた友達も折られてたので、2人で慰め合ってました。
 「医療」とか「労働」とか大きな枠と「ガン」とか「ワークライフバランス」とかキーワードを決めて、適当に検索をかけて論文を読むのがカギかと思います。GWに10本読むのはキツかったですが、内容のインプットだけじゃなくて、読むため体力の面や読み方の面でも、あれが最後まで活きたと思います。

 最終的にテーマになるものは思ってるよりも狭くなりました。「日本の労働時間」とかじゃなくて「日本の〜に従事している人の、時間外労働について」みたいな感じです。ただ、そうでもしないと書けないので、結構絞るつもりで書いた方が後々楽です。
 テーマが決まったら書き始めます。なるべく合格した人の手本があると良いです。私はその手本の論理展開を丸パクリしました。研究背景→RQ→仮説→先行研究→新規性→手法→今わかる懸念事項の順で書きました。生煮えでもとにかく書いて、誰かに見せれば洗練されていきます。その間も論文は探して、なるべく似たような研究をしているものを漁ってました。

 筆記試験の方は、スタンダードになってる教科書があると思うのでそれをやり込みました。加えて専門の教授とパイプがあると挫折率が下がりますし、テキストの誤りを教えてくれたり、より分かりやすく説明してくれたりするのでオススメです。
 過去問はあればあるほど良いと思います。本番は簡単な問題を確実に取るつもりで臨みましたが、演習時は全問自分なりの答えが出せるまで解きました。その上で3周はしたと思います(この塩梅は人によるでしょう)。少しオーバーな気はしますが、1つ1つ理解が深まるのと、圧倒的な自信になるので余裕があれば是非。
 もし過去問の答えがなくても、友達と一緒に解くと「一緒ならセーフ」という基準ができるので安心できます。また、私は友達から過去問を恵んでもらったので、なんにせよ仲間がいた方がグッと楽になると思います。(最後まで1人だったら途中で発狂してたかもしれません……。)


 なんやかんやで情報戦な側面も強いなと思った。過去問然り、面接の内容然り。筆記試験なんかはスタンダードになってる教科書を間違えると詰むかもしれないし。
 私に関しては教授のパイプが2本あったから首が繋がったけど、両方無かったら確実にダメだった。そしてゼミで偶然同じところを目指してる友達に会えなかったら、精神的に参っていたと思う。持つべきものは仲間です。本当に……。

 私が院試を通して得たもの。
 1つ目は将来。雌伏の時を手に入れた。
 2つ目は友達。これが1番大切で嬉しい。
 3つ目は知識。キチンと学び直す機会になった。

 苦労したけど、そういう時はインプットが足りないということも分かった。分からないウチは全体像を掴むことを先に。そのために量を。後から的を絞る。質も求める。そんな順序で。
 振り返ってみると満足。もう一周するのは御免だけど、そういう経験ができた(うえで生き延びられた)のは良かったと心から感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?