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2024/01/20 うろこ雲

 去年Oliとハイタッチした時の興奮やNEX FESTで味わった感動が、挫けそうな私を早くも前に歩かせてくれた。

 年が明けてからゼミに行く度に「私は社会で役に立たない」というメッセージをそこかしこで渡される。
 例えば教授が社会で役に立つ技能を挙げた際に自分にそれが無いな〜と自覚したり、反対に自信のある能力はそんなものは誰でもできると断言されたり。班のメンバーが私の目には言われたことすらやらない人に見えて、教授が言った「あなたにはこの人の存在が必要」の意味も、今では計りかねている。
 そもそも1年いるのにゼミの輪に全然入れないことこそが「全て」を雄弁に語っていると思う。高校とかのクラスならまだしも興味関心が似通った人の中にいてご覧の体たらく。万年後ろに座っている変な奴扱い。周囲にいるのは卒業したら2度と会わない人ばかりで、またこのパターンか……と諦観してしまう。いつになったら私は他者との関係を構築して、どこかに所属するという行為ができるようになるんだろう……。

 そうしてぐるぐる考えているうちに空気が重く纏わりついてきて、気分が相当落ち込んでしまう。そんな時に効いたのが、BMTHのKingslayerのライブビデオだ。

 Oliとハイタッチできたこととか、生でBABYMETALを観れたこととか、あの日のあの感覚が蘇ってきてめちゃくちゃ精神衛生に良い。一瞬だけでも忘れられる。
 ユニゾンのライブBlu-rayもお金が無くて諦めたけど、夏ぐらいに貯金して買おうかな。ライブ映像って参加してなくても薬になるのに、その場に参加してたらここまで劇薬になるなんて。

 今回はOli以外にも私を前に歩かせてくれた人の回です。しばらく会ってなかった人に会って、勝手に背筋を伸ばされた話が2つです。「めんどくせ〜」と思って投げ捨てようとしてる将来の私へ。これを読むんだ!そして思い出せ!

昔の担当生徒が戻ってきた話

 1年前にとある中学3年生を担当して教えていたことがあった。その子はタイミング悪くその年に、見た目へのコンプレックスや優秀な姉との彼我の差を直視してしまい、メンタルが不調になった。結局通信制の高校に進学することが決まった。それまで本人は全日制への進学を希望していたうえにポテンシャルもある生徒だったので、少し悔いが残る結果になっていた。
 そんなことがあってから半年経ち、座席表にその子の名前を見かけるようになった。私は担当していないので「閉じこもってばかりは良く無いという親御さんの判断だろうか」程度に思っていた。またその時の精神状態なら、私の存在がトラウマになっているかもしれないので声は掛けずにおいた。

 それがしばらくして冬期講習のシフトを確認したら私の欄にその子の名前が書いてあった。「担当を変えたんでなかったの?」と思いつつ授業の準備をする。口の中が乾くのを感じた。優しく接するべきなのか、明るい雰囲気を作った方がいいのか……。
 悩みつつ自分のブースに向かうともうその子は座っていて、強制的に覚悟を決めさせられた。出囃子は鳴った。授業を始めるほかない。

 開口一番は「お久しぶりです!」だった。それでかなり気が楽になった。少なくとも覚えられていたし、声色と視線、身体の向きからして悪い印象を持たれているわけではなさそう。「元気でしたか?」みたいな雑談をしたのち、授業の内容をチェックする。
 生徒は興奮気味に「私高校受験をやり直すことにしたんですよ〜!」と話す。引き継ぎに書かれていたので把握はしていたが、「そうなの?!じゃあ頑張らなきゃね!」と驚いておきつつ、(求められたので) ハイタッチをした。

 いや実際驚いた。大学の浪人は聞くけど、高校の受け直しはあまり聞かない。諸々を考えた上で、並々ならぬ覚悟を持ってのことだ。
 とりあえず過去問の出来を見た感じだと、それが出任せじゃないことは分かる。この子は私の知らないところで努力して、その成長を今見せに来たわけだ。それがしたくてわざわざ私の空きがある日を探したんだろう。とにかく褒めちぎろう。

 授業はつつがなく進んだ。高度な問題とも戦えるようになっていて、本当に成長を感じた。お世辞じゃなく心からの褒め言葉が溢れてくるし、問題が難しいとこちらも楽しい。
 授業後の雑談で彼女は最初から私の授業を希望していたことを知った。ちょうどその時私は院試が重なっていて忙しく、事務の人がそれに配慮して別の人にお鉢を回したそうだ。ナイス判断。ただ最後にどうしても私の授業が取りたいとのことで、受験前最後の1ヶ月間だけ、週2コマ私が受け持つことがその場で決まった。

 私としても思い入れの強い生徒で、是非とも幸せに送り出してあげたいので喜んで引き受けた。また、彼女を教えていると背筋が伸びる。相当の覚悟を持ってここまで来て、成長した姿を見せにきてくれた。そんな人が私の授業を希望した。私がヘタレていたのでは合わせる顔がない。
 「10年後にばったり再会するようなことがもしもあるなら、その時恥じることなく堂々と向き合えるように私も頑張ろ!」と思えた。


京都のお寿司と黒いサンタと夜の踊り子

 京大の超絶エリートな2人に京都をエスコートしてもらい、回転寿司に行ってきた。会うのはかなり久々なので、服にもそれなりに気を遣った……はずだったけどコートを着たら全身緑のボタニカルな人になってしまった。
 2人は既に超大手企業に就職が決まっており、もう今は暇を持て余しているらしい。「暇つぶしに留学行ってきたわ」と語ってる姿は本当に楽しそうで羨ましい。

 主に社会人になることについてのあれこれと、ヨーロッパ旅行の話をしてくれた。
 1人は思うような結果にならなくて院進を検討していた。その後もう一度就活し直すかもしれないと。院進の算段はついているらしかった。
 もう1人は勝ち組も勝ち組なので、今後のキャリアプランについても目を輝かせて語ってくれた。転職することももう決めているらしい。
 そしてヨーロッパ旅行は2人とも似たようなことを話してくれた。旅人が集まってくる宿みたいなところに泊まってたらしいんだけど、そこで起きた珍事をいっぱい。
 例えば、寝に戻ったら自分のベッドに他の人が寝ていて、事情を聞いたら「俺のベッドも他人に取られたんだ。お前も他を当たってくれ。」と言われた話とか。買ったばかりの1日周遊パスが初手から使えなくて、レシートを持ってなかったばかりに払い戻しができなかった話とか。
 財布をすられる、交通機関が止まる、コインを機械に吸われる、なんてもうザラにあるそうだ。

 「人生経験」って言葉は抽象的かつ感覚的すぎてよく理解できなかったけど、今なら何となく分かる。「様々なものを見聞きして、様々に感情が動いた経験の全て」が「人生経験」なんだ。
 それはきっと、多分だけど、海外に行くとかそういうことじゃなくても良い。とにかく生活から少しだけ遠くにあるもので、心がどれだけ動いたかが大事なんだと思う。

 友達2人の人生はもう前に進んでる。「ライフステージ」という言葉は上下がある気がして好きではない (特に結婚出産をそう表現するのが嫌いだ) けど、就活という1つの地獄を潜った後をしっかり見据えていた。それは1つライフステージが進んだことを意味する。
 私は文字通り1回休みだけど、結局すぐにそれ以上の地獄がやってくることになった。春休みが終わればまた学生しか参列してない葬式みたいな場所に、何度も何度も行くことになる。そして何度も何度も祈られるんだ。

 2人とも遠いところに行ってしまった……みたいな感じは正直しない。全てを手に入れたかのようなエリートの2人でさえ「自分よりも上がいる」と言うのだから「まぁ全てを得ることはできないよね」と実感した。それ自体はBlacksanta pt.3 で学んだことだ。それ以上でも以下でもなくて、、ライフステージの断絶は思っているよりも連続的に感じられる。
 と同時にやはりというべきか「努力はどれだけ重ねても、真に充分にはならない」とも感じた。

 今は夜の踊り子よろしく、あと少しだけ逃げるよ。でも、同じ曲の中でこんなフレーズも出てくる。

今泣いて何分か後に言う

今泣いて何年か後の自分



笑っていたいだろう

夜の踊り子 / サカナクション

 就活は相変わらず大嫌いだ。好感度ランキングで言えばイジメより僅かに上ぐらい。ゴキブリよりも下だ。はっきり言って限りなく最悪に近い地獄だ。でもどうせ地獄なら、その中でしっかりもがいた方が何年後かに笑っていられる気がする。
 完璧を得ることはできないけど、完璧をなるべく目指しつつ頑張ろう。そんでもって今度は私の見聞きした色々を、友達に語って聞かせるんだ。私の描く未来を語るんだ。

 勝手に決意を新たにしつつ、みんなでカラオケに入った。友達より高い声が安定して出ることと、滑舌が強みなので、そういう曲ばっかり歌いがち。
 歌ったのはもちろん夜の踊り子でした。他にもたくさん。主にsyudouだったけど。デイバイデイズとか歌うと人を驚かせられるし、噛まずに言えたら気持ちいい。友達は洋楽も多かったけど、ヨルシカとVaundyを歌ってた気がする。

 最後まで3人ででわちゃわちゃ騒いで本当に楽しい夜だった。

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